本を読むようになったきっかけ
リクエストがあったので、今回は私が読書に目覚めたきっかけを綴ってみたいと思います。
十代の頃、僕は活字が苦手な人間でした。
本なんか読んでいると眠くなって仕方がない。周りにもあまり読書を楽しむ人はいません。田舎の社会の底辺だからまあそんなもんなのかな、とは思います。それとも隠れ読書家でもいるのでしょうか。だとしたら申し訳ないですね。
ただ一つ事実を述べさせて頂くと、今、市内に書店は一軒しか残っていません。そこも狭い店舗の半分ぐらいを文房具が占めているので、本のコーナーは広くない。イオンの中にある未来屋書店の方が本のスペースは広くて、そこを含めても二軒でしょうか。書店はここ数年でどんどん潰れていきました。余談ですが、未来屋書店の紙袋は今うちの猫のおもちゃになっています。
そういう環境なので、本を読めなくて困ったこともありませんでしたし、読もうとも思いませんでした。
自分の記憶の中では確かにそうなのですが、もっと以前、記憶に残っていないぐらい小さい頃の自分の話を聞くと、一人で黙って本を読んでいるおとなしい子供だったそうなのです。
不思議ですね。ちなみにその頃の私は人見知りもしない明るい子供だったとのこと。誰だよ、そいつ。
話は飛びますが、私は中学生の頃から不登校になりました。高校は通信制、大学はバイトしながら放送大学です。精神科から睡眠導入剤を処方されるようになって二十年弱の年月が経ちました。社会の底辺からこんにちは。
放送大学をやっていた頃はバイトの休み時間にテキストを読むのが習慣になっていました。話し相手もいませんでしたから、それが一番効率のいい時間の使い方だったんですね。
しかし、放送大学を卒業すると、休み時間がまるまる暇になってしまいました。ただ、その時間に活字を読むという習慣は一応身に付いていたので、じゃあ本でも読んでみようかな、と。それが読書のきっかけです。
もう一つ、二十代になってからALI PROJECT(以下アリプロ)の音楽にハマったことも理由の一つとして挙げられるかもしれません。ちなみに十代のころは椎名林檎に夢中でした。
アリプロとの最初の出会いは、スカパーのアニメ専門チャンネルで偶然目にしたローゼンメイデントロイメントの番宣だったと記憶しています。
オリコン上位にランクインしてロングヒットした『聖少女領域』、そのサビの部分。基本的に声フェチである私は、アニメのイメージにぴったり合致した楽曲の世界観と、アリプロのボーカル宝野アリカさん(以下アリカ様)のかわいらしい歌声に一発で魅了されました。
すぐにアリプロをググってオフィシャルHPに辿り着きます。すると、そのトップページには何と、軍服姿の女性(アリカ様)の画像がでかでかと載っているではありませんか。当時はアリプロ最大のヒット曲となった『亡國覚醒カタルシス』のリリース後で、軍服姿はその衣装だったわけですが、
「あっ、これはヤバいやつや」
と感じた私は、すぐにそのページを閉じました。
しかし、やはり耳の奥に残るアリカ様の歌声が忘れられず、数ヶ月後に再びアリプロのHPを訪れることになりました。すると今度は、トップページの画像が流鏑馬に挑戦するアリカ様に変わっていたのです。それはコードギアス一期のED、『勇侠青春謳』のジャケットでした。
幼い頃から馬と接する機会が多かった私は、このお蔭で心理的障壁を乗り越えることができ(笑)、ようつべで目眩くアリプロの楽曲世界に触れ、CDを集め始めたのです。
さて、ここまで出てきた楽曲のタイトルを見ただけでも、アリプロを聴くことのややこしさが何となくおわかり頂けたのではないかと思います。今私はスマホから『勇侠青春謳』と入力するためにわざわざブラウザでググってAmazonのページに飛び楽曲タイトルをコピペするという作業を行いました(笑)
アリプロの歌詞はとにかく難解です。新譜が出るたびに漢字の読み方や言葉の意味を調べる羽目になります。筋金入りのアリプロファンでも、一度も辞書を引いたりネットで検索することなく歌詞の意味を理解できる人は決して多くないと思います。アリプロの世界観に触れて、難しい漢字や言葉の意味を調べることを自然に覚えられたという点は大きかった。
まあ、アリプロの歌詞は比喩や暗喩や表現がびっしり詰め込まれていて、言葉の意味を知るだけではまだほんの入り口に過ぎないのですが、その辺りはまた後に語ることにして、話を読書のきっかけに戻そうと思います。
本を読んでみることにはしたものの、何を読んだらいいかがわからない。だから私はとりあえず書店の古本コーナーに行って、タイトルに惹かれたものを読んでみることにしました。最初に読んだのが何だったかはもう記憶が定かではありません。印象に残っているのは、ジェフリー・アーチャーの『ケインとアベル』ですかね。
タイトル買いで読んだ本もそれはそれで楽しめたのですが、何かもっと情報が欲しくなった。そこで思い出したのが、激激辛口書評家としても名高いアリプロのボーカル、アリカ様がブログ(当時はまだ日記だったかな?)でお勧めしていた『綾辻行人』という名前でした。
古本コーナーの『あ』の棚の前に立ち、綾辻行人の名前を探してみると、そこに陳列されていたのは一冊だけ。
『眼球綺譚』
何ともおどろおどろしいタイトルですが、既にアリプロの世界観に慣らされていた私にとっては全く問題ありませんでした(笑)
で、早速読んでみると、これがものすごく読みやすい。頭のスポンジが文字を吸い込んでいくような感覚で、スルスルとあっという間に読めてしまった。
これはすごい(語彙力)。綾辻さんに関して調べることもなく、次に手に取った本は『最後の記憶』でした。
この作品で『仕掛け』のある本の面白さに触れ、綾辻行人という人はどうやらミステリー作家らしいとようやく知った私がその次に選んだのが、あの名高い『十角館の殺人』。僕が初めて読んだミステリです。
ミステリ愛好家なら、きっとこれ以上の説明は不要でしょう。私はすぐに綾辻さんの館シリーズを買い集め、ミステリの世界にどっぷりと浸かり始めました。
あれから十年……も経ってないか。私は基本的に遅読なので、あまり数は読んでいません。本棚の中身は大半がミステリで、上二段には特に好きな作家、綾辻行人、森博嗣、三津田信三の著作が押し込まれています。
アリプロ関連は時系列がうろ覚えなのでもしかしたら間違っている部分があるかもしれません。