タイトルのリズム
私は以前『僕はタイトルが拙い 〜森博嗣に学ぶ魅力的なタイトル作成術〜』という短編のエッセイを書いたことがあります。
当時はタイトルやあらすじを考えるのが本当に本当に苦手で、自分が最も好きな森博嗣の作品のタイトルから何かヒントを得ようとしていたのでしょうね。
しかし、現在は当時と比べてもう少し見解がアップデートされているので、特にタイトルについて、今思っていることをしたためてみようと思います。
それは、『タイトルはリズムが大事』というものです。
漢字のみで構成されているタイトルについては、この限りではありません。漢字は表意文字ですから、リズムよりも字面を見て何がイメージされるかを重要視すべきでしょう。
リズムの話に戻します。
実はこのエッセイを書くにあたり、他にも似たようなことが書かれていないかと『タイトルのリズム』でググってみました。すると、同じようにタイトルのリズムについて書かれた記事(掲示板)があって、色々な意見が交わされていました。全部アドレスを乗っけるのが面倒なので、皆さんもどうぞググってみてください。
で、個人的には、『五・七・八』のリズムの組み合わせが大事だと思っています。
俳句は『五・七・五』、短歌は『五・七・五・七・七』、都都逸は『七・七・七・五』ですから、『五・七』『七・五』の組み合わせがいいことは言うまでもありませんね。その中で、『八』は字余りのパターンになります。しかし、同じ字余りでも『六』はどうも収まりがよくないな、という感触があります。
例として、昨年ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を挙げてみましょう。
これは『八・五』のリズムですが、冷静に文章として読んでみると、ちょっとおかしいところがありますよね。『逃げる』は動詞ですが、『は』という助詞は前に名詞がくる形なので、外国人が話す日本語のような違和感があります。正しくは『逃げるのは恥だが役に立つ』でしょう。しかし、これはどうにもリズムが悪い感じがしますね。
これはリズムとしての収まりの良さが文法的違和感を打ち消しており、リズムを重視した成功例と言えるでしょう。
他にも、昨年ヒットしたアニメ映画『君の名は。』のリズムは五文字ですし、今ヒットしているギャグ『三十五億』も七文字のリズムです。
なろうに限らずラノベ全般であらすじみたいな長いタイトルが好まれている印象がありますが、短くビシッと決まっているタイトルのほうが覚えやすいしカッコいいですよね。