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文章作法っていうけどさあ

 当エッセイ準レギュラーのKさんに『炎上させてみろ』と言われたので書いてみます。


 なろうに限らず、エッセイなどで文章作法のレクチャーを書いている人がいますよね。時々。

 行頭の字下げ、三点リーダーは偶数で、鍵括弧内の分の最後に句点を置かない、とか、そういうやつです。


 しかし、これらの知識はちょっとググればいくらでも出てくるので、本来『ググれ』もしくは『このページを見ろ』で解決してしまうはずなのですが、いちいちそういう内容をエッセイに書いてしまう人ってPV稼ぎなのかなと思ってしまいますね。


 ちょっと古い本を読めば、これらの文章作法と呼ばれるものなんて全然守られていないですし、それでも小説としてちゃんと読める内容になっているので、本質的な文章作法ってのはそういうことじゃないと思うんです。

 私が思う文章作法っていうのは、


 ●まず日本語として正確であること


 使い慣れたと思っている言葉でも逐一調べながら書くことが大事です。私自身、知っている言葉でも調べながら書いて勘違いに気付いたケースがたくさんあります。


 ●語彙の密度


 これは作風との兼ね合いにもなるのですが、小難しい表現をどれぐらい盛り込んだ文体にしていくかは、その作品の雰囲気とのバランスを考えて決めなければなりません。例えば、一つの文章の中で最も目立たせたい表現はどれなのか、最も印象に残したい描写はどれなのか、優先順位を決めて、その部分が目立つように、他の部分は平易な言葉を選ぶとか。

 しかし、密度が低く平易な言葉ばかりの文章では、読後の印象もそれだけ薄まります。メリハリが大事ということですね。


 ●比喩、表現の密度


 これは先の項とも少し重複するのですが、比喩や小技のきいた表現なども、あまりみっちり詰めすぎると文章が重くなって読みにくくなりますし、言葉一つ一つの印象も薄れます。これもメリハリが大事です。

 比喩表現といえば気になるのが、例えば『彼は燃えていた』のような文ですね。もちろん、文章には文脈がありますし、普通に文章を読んでいれば、彼が炎を上げて燃えていたのか、あるいは彼の心が燃えていたのかはわかるはずです。しかし、読みやすさということを考えるならば、文脈から意味を補完させるような文の書き方は悪手だと言えるでしょう(そこに作者の何らかの意図がある場合は除きます)。この場合、『彼の体は燃え上がっていた』『彼の心は燃え上がっていた』と書いた方が、正確に意味が伝わります。

 一つの文章の中でこういうのが一つや二つあるぐらいならさほどストレスを感じることなく読み進められますが、あまり頻出するようだと、読みづらいなあ、と思いますね。


 ●重複を避ける


 同じ表現が何度も何度も何度も使われる文章は読みづらいです。一つの文に同じ助詞がいくつも使われている文章もセンスが悪いなと思います。しかし、それ以上によく目にするのが、語尾が「~~た」「~~ました」ばかりになっている文章です。ちょっと連続するぐらいならいいのですが、あまりに同じ語尾が続いてしまうとウンザリしてきますし、作品とは思えなくなります。

 誰にでも文章の癖はありますし、同じ言葉を使ってしまうことはあると思います。かくいう私も、無意識でスラスラと文章を書いていくと「こと」「という」「である」を多用してしまう癖があり、推敲の際にこれを削るようにしています。そのために、一つの文だったものを二つに分けるとか、文章の構成を多少変えるとか、自分なりに読みやすい文章になるよう工夫しているつもりです。


 ●使いたい言葉を切り捨てる勇気


 誰だって書きたいものを書く自由があるし、使いたい言葉を使う自由があるのですが、その言葉が文章の中で浮いてしまわないかという点は常に留意しておくべきだと思います。

 なろうの作品を読んでいると、ああ、この言葉使ってみたかったんだろうけど、文章全体から見ると明らかに浮いてるなあと感じるものが度々あります。単体としてはどんなに素晴らしい言葉でも、文章や文脈の中で適切に配置されなければ最大の効果を発揮できません。使いたい気持ちをぐっと堪えて、その言葉に相応しい場面がやってくるのを待つことも大事なのではないでしょうか。


 ●作品の雰囲気が許す範囲でのユーモア


 これも大事だと思います。終始シリアスな作品だったり耽美な作品だったりするとユーモアを織り込むのは難しいと思いますが、文章をジッと読み続けるのって基本的にとても疲れる行為なので、ところどころクスッと笑える場面があれば楽になりますよね。同じ作品でもシリアスな場面と緩い場面とのメリハリをつけることで、シリアスな場面の描写がより引き立つかもしれません。




 いかがでしたか? ←ウザッ


 なろうの作品に限らず、プロの作家の作品でも文章が拙いなあと思うことはありますし、同じ作家のものでも作品によって上手いものとそうでないものがあったりします。

 例えば、私が初めて読んだ有栖川有栖の作品は「スウェーデン館の謎」で、文章も上手いし情景描写も人物の描写も巧みな上にところどころユーモアもあって素晴らしいなあと思ったものですが、最近読んだ「女王国の城」はそのいずれもが雑で、読んでいて辛かった。


 お気に入りユーザーさんの作品でも、これらの感覚が自分と合っていなかったら更新されても読んでいません。すみません。読んで何かしら感銘を受けた作品には、感想やポイント、Twitterでの拡散やレビューなどなるべく目に見える形で表すようにしているので、心当たりのある方はご安心ください(笑)。


 ちなみに、お気に入りユーザーさんの現在連載中の作品の中で最もこれらのバランスが取れていると思う作品は、屑木夢平さんの『琥珀のアルマ』です。

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