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神の子  作者: 櫻塚森
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合流

「ホントに沢山あるね。」

この辺り一体の地図を広げて雷紋が言った。

「それだけ、白虎に対する信仰が篤いってことだろ?次どこだよ…。」

宿場街を朝早く出た二人は、壊されたと噂で聞いた祠を尋ねた。

無惨に壊された祠の中を見て、黄龍は、ココには何もないと言った。

この辺りの土地の人は、熱心に白虎にお参りをしているようで、壊された祠にも、華やお供えの食べ物が祀られてあった。

動けなくなった年寄りや、身体の不自由な人でも信仰ができるようにと各要所に大小さまざまな祠があり、この辺りの人たちが、一番大きいと言っていた社は、花街のすぐ隣にあった。

「次は、祠じゃなくて社だね。コレはちょっと大きいみたい。」

2人は、社に向かって歩き始めた。

この辺りの自然はとても豊かで深緑浴をしながら歩いて行く山道に2人の機嫌はよかったのだが、

「出たよ…。」

度々現れる化け物にその気分は削がれるのだ。

龍綺と雷紋はため息を吐きながら、お互いに背中合わせの姿勢を取った。


「重い…。」

白妙は自分を抱きしめるように眠っている慈音の重さを感じて目を覚ました。

羽交い絞めではないが、彼の腕がしっかりと自分の身体を引き寄せていて、少し体重の掛かってくる姿勢になっている。

目の前にある彼の顔。

寝息が自分の頬に掛かっていることは、くすぐったかったが、嫌な感じはしなかった。

人と肌を重ねて眠るなんてことは親にもしてもらった記憶がない。

鬼達は、抱きしめてくれるが、白妙が眠る時には石に戻っていた。

彼女はきゅっと慈音の袖を掴んで彼の表情を覗き込んだ。

(睫の長い…女のような顔だな…。)

そう思った瞬間ぎゅうっと慈音が自分を抱きしめてきた。

(く、苦しい!)

白妙はその力にジタバタと暴れた。

すると抱きしめていた本人の意識が戻ってきた。

「……目覚めたか?」

目の前に白妙の顔。抱きしめている身体。

慈音はさぁっと顔を青ざめ、突き飛ばすように白妙から身体を放した。

「うわっ。」

「わっ!…ご、ごめん…なんか、…俺…変なことしなかった?」

起き上がり正座して彼女を見ている。顔は青から赤に変っている。

白妙も起き上がり正座する。

「変なこととは、なんだ?」

真っ直ぐに見つめてくる白妙に慈音は視線を逸らした。

「な、何もしてないならいいんだ…。」

「そうか、では、太夫を助けに行くか?」

今、初めて太夫のことを思い出している自分に慈音は唖然とした。

「なんだ?」

「い、いや…そうか、太夫は攫われて…。うん、行こう!…でも鬼の力を封じられてるんだろ?白妙は来ないほうが…。」

彼女がまた傷付くんじゃないかと慈音は不安になった。

しかし、彼女はニッと口角を一瞬上げると言った。

「問題ないぞ。鬼の力が使えなくとも、明王の力は使える。あやつらは、悔しがるだろうがな。」

「明王の力?」

「そうだ。私の本来の力というものだ。普段は、鬼共が、先を争って、はりきっているから使わせても貰えない。」

立ち上がる白妙に合わせて、慈音も立ち上がるが、少しふら付いた。

「では、まず社に行こうか。」

「へ?」

「お前は、力を使って私から毒を消してくれたのだろう?社で力を養うんだ。ほら、少し足元が危ない。」

白妙に手を借りてないと真っ直ぐ立つことが出来ない自分が情けなかった。

「情けなく思うことはないぞ、白虎の力のお陰で、鬼共の回復も早い。あやつらの分までお前は力をくれたんだ。少々無茶だが感謝しないといけないな。さ、ここに触れろ。」

白妙は躊躇なく自分の胸元の印のところに彼の手を添えた。

「えっ、ちょっと。」

「社に飛ぶ。」

彼女がギュッと手を握ってきた。

と、同時に自分の身体がぐにゃっと曲げられる感覚に襲われた。



「目を開けろ?」

自分と同じくらいの身長の彼女の身体にしがみ付いていた。

「ご、ごめん…えっ?」

「…お前は謝ってばかりだな。」

見渡すと青々と茂る木の下。整えられた砂利の地面。ここは慈音にとって見慣れた場所。

「社に飛んできたんだ。お前は本堂に入り、白虎の力の充電を。」

本堂の人通りの少ない場所に降り立った2人。

といっても最近は化け物の出現でお参りする民も減っていた。

慈音は白妙に言われるまま本堂に向かった。



2人が、社で力の充電をしているその頃、白虎の社を目指していた龍綺と雷紋は、度重なる化け物の襲撃に疲れを見せていた。

「い、いくらなんでも多過ぎない?」

弓を引く指から血を流している雷紋の愚痴を、同じく握力との勝負に挑んでいた龍綺が剣を振り下ろし聞いていた。

「社に何かあるのか?邪魔をされているようだ。」

敵は強いわけではなかった。雑魚ばかりだ。

しかし、森の木々の間を埋めるように、ぐるりと取り囲むように化け物がやってきていた。

2人ですでに百単位の雑魚を倒しているはずだが、一向に敵の数が減らないのだ。

「くそっ!」

完全に取り囲まれた2人。雷紋は掴んでいた弓を落としそうになった。

「雷紋!」

「だ、大丈夫だ!」

2人にジリジリと歩み寄る異形のモノたち。

と、そこに一陣の風が吹きぬけ、敵の一部を吹き飛ばした。

「!」

風上の方を見ると、そこには、銀髪の少年と、黒くて長い髪を揺らした少女が立っていた。

「前鬼、後鬼、馬頭鬼、牛頭鬼、蹴散らせ!」

少女の通る声が周辺に響いた。

その声に反応するように少女の胸元が光り、4つの塊が飛び出してきた。

龍綺達を襲っている化け物よりも、大きく強いその姿は『鬼』そのものだった。

「大丈夫?なんか変な気配を感じたから。」

人懐っこい笑顔で少年は雷紋に背を向けて立つ。

「…君達は?」

「一気に行く。もう少し、持ちこたえろ!」

少女は龍綺を庇うように立っていた。鬼達から逃げてきた敵が少年少女を襲ってくる。

「金剛杵、降臨!」

少女の手元が光り輝き、一本の剣が握られた。

一方、慈音の広げた手には、何も握られてないが、渦巻いた風が纏わり付いている。

「行けぇっ!」

何かを投げる動作と共に、風が敵の方に向かって投げられ、身体を切り裂いていく。

「凄い…。」

身体の動かし方を知っているという慈音の戦い方は風のように颯爽としていて、素早い。

目で追えないほどのスピードを出している時もある。

一方の少女は、戦い方を知っているという風で、流れるように剣を使う。

幼い頃から鬼達に鍛え上げれた剣の腕前は、龍綺を凌駕するほどだ。

鬼達は、化け物を引き裂きながらも、白妙のフォローも忘れていない。

龍綺と雷紋も2人の活躍に刺激されたかのように再び、剣を弓を構え、敵を倒していった。




つづく

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