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ファンチェルス王国物語(仮)  作者: あんずのき
第一章 近衛隊員になるまで
2/3

私と家族1

※ヒロインは伯爵令嬢なのに口が悪いです。

伯爵令嬢なのに……

ヒロインなのに………

(イツキside)



「ほら、イツキちゃん?可愛いクマさん人形よ!」




姉様、その馬鹿デカイテディベアな何ですか?

可愛い所か大迫力でむしろ怖いです。




「あら、シエスタ姉様、イツキは興味無さそうよ?そんな物よりこっちのドレスの方が好いわよね?」




姉様、そんなキラッキラでフリッフリなドレス、嫌悪の対象です。




「ふふふ、フェアラ姉様もですわ。イツキ、この赤い宝石なんてどう?」




姉様、何ですか、その無駄に装飾された宝石のペンダントは。


………というか、現実逃避していいですか?







朝、起きてみると何だか目がチカチカした。

まさかと思い起き上ってみると案の定、姉様方がそれはもう、神々しい笑顔笑顔笑顔……

毎朝の事だとしてもいい加減にしてほしい。

てか、寝る前に鍵、閉めたよね私?

扉を見ようとしたが、姉達が前を邪魔して見えない。


邪魔です姉様方。


しょうがないから体を右に傾ける。

嗚呼、見えた。

紐を通した鍵を片手に微笑みながら立っていらっしゃる我が母上様が。

というか、その鍵、明らかに父様から奪った物ですよね?


私の部屋の鍵は、私と父様と部屋を掃除する女中のリランしか持っていない。

理由は想像できるだろうが、母様と姉様方のこの襲撃から逃れる為だ。

しかし、うん。

あの父様専用の鍵は母様の手の中。


さては泣き落したな、母様。


ぎろりと睨めば、にっこり笑って去って行く。

……明らかに「勝った!」と言わんばかりの笑い声と共に。


取り合えず、着替えたいので残っている姉様方には出てって貰いたい。

あ、それより先にこの状況の説明を願いたい。




「おはようございます、シエスタ姉様、フェアラ姉様、アリリア姉様。取り合えず、朝から何勝手に人の部屋に許可なく侵入してやがる」




「「「おはようイツキ」」」




あら、素敵なハーモニー、じゃなくて。




「あらあら、そんなに額に皺を寄せちゃ駄目よイツキ。可愛い顔が台無しになっちゃうわ!」




シエスタ姉様が身を乗り出し、私の眉間をぐりぐり押す。

……地味に痛いです、姉様。




「それに"やがる"だなんて言葉、淑女が使って良い言葉ではないわよ?フィードのお兄様の影響かしら?」




アリリア姉様、何か私に対して不満がある時、何時も「=フィード兄様所為」の方程式が出来あがりますね。




「あーもう、うるさい。着替えたいからさっさと出てけ!」




お小言が始まりそうだったから、さっさとベッドから出て、姉三人をぐいぐい押して追い出した。

かなり重労働な気がする。

はぁ…さっき起きたばっかなのにもう疲れた。


気を取り直してクローゼットから服を取り出す。

普通の貴族だったら此処で女中さん達がどっからともなく現れて、なんて事もある。

母様や姉様方はちゃんとそういう扱いをされている。

が、私は違う。

というか、そもそもそう言ったいかにも「お嬢様」な扱いが大の苦手なのである。

トラウマがあるわけではない、ただ、性分に合わないだけ。

自分で出来る事は極力自分でやりたいのだ、私は。

だから私付きの女中はリラン一人しかいない。



さっさとブラウスを着て、ズボンとブーツを履く。

姿見の前に立ち、櫛で軽く梳くと、何時もと同じ紐で高い位置で括る。


うん、完璧男の子みたいだ。


フェアラ姉様みたいに胸が大きかったりすれば女だって分かるけれど、生憎、十歳の絶賛成長中のガキには無理だ……というかあんな邪魔な物いらないし。




「よし、着替え終わりっと…」




これから朝食の為に広間へ行かなくてはならない。

朝食は楽しみだが、またあの四人(あ、母様と姉様方ね)と顔を合わせるのかと思うと憂鬱だ。

なんせ、この格好でいる度(つまり毎日)、

「淑女がなんて恰好をしてるの!」

「髪の毛はちゃんと巻いたりして整えなさい!」

など

ぐちぐち五月蠅いのだから。

料理長の作るめちゃくちゃ美味しいクロワッサンも、味が半減するっつーの!!

だからって朝ごはん無しはきつい。

今日は近衛隊に所属しているセレナード家唯一の男子であるフィード兄様が帰ってくるのだ。

隊長職に就いてから中々帰ってこれなかった兄様はやっとのことで休みをもらい、今日、半年ぶりに帰ってくるのだ。

私の剣の上達振りを見てもらうんだから、朝食抜きだけは御免被りたい。

仕方がない、お小言は聞き流すとして朝食だけに気持ちを向けてよう、うんそうしよう!


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