第8章 過去の影と精神の崩壊の兆し
ステージのスポットライトが眩しく輝く中で、私の心は凍りついていた。歓声、フラッシュ、絶え間ない拍手――そのすべてが虚像で、私の孤独を埋めることはできなかった。鏡の裏側に映る過去の影が、少しずつ形を取り始めていた。石川県の家、父の怒声、母の冷たい目、そして日々の虐待。忘れたと思っていた記憶が、私の瞳の奥で揺れていた。
成功の裏で、私は自分を売り続けた。体を武器にし、整形で顔を作り込み、政治家や暴力団を利用して道を切り開いた。すべては計算だった。しかし、夜の静寂の中で、一人になると、心の奥底に蓄積された痛みが表面化する。身体的な痛みや羞恥は耐えられる。だが、精神の奥底に刻まれた記憶は、いくら麻酔しても消えない。
過去の友人や街の人々の死も、私の胸に暗い影を落とす。自分が信じた者がいかに脆く、いかに裏切りや利害に縛られていたか。友人の自殺の瞬間も、街角で目にした孤独な死も、すべては自分を追い詰める証拠だった。東京の華やかな光の裏で、私は確実に壊れつつあった。
整形の度に、鏡の中の顔は美しくなった。しかし、それは私の心を救うことはできなかった。逆に、過去と現在の自分の乖離は深まり、虚無感が膨らんでいった。自分の体を計算し、売ることで得た金も権力も、心の空洞を埋めることはできない。私は次第に、すべての責任を「外部」に押し付けたくなる自分に気づいた。
夜の街で、過去に体を売った客や権力者の顔が思い出される。誰もが利用するだけで、誰もが手を差し伸べるわけではなかった。信頼というものが存在しない世界で、私は孤独に慣れるしかなかった。そして心の奥底で、誰かに復讐したいという衝動が芽生え始める。まだ小さく、影のように静かだが、その力は徐々に大きくなる予感があった。
撮影現場では笑顔を作る。カメラの前では華やかに振る舞う。しかし、ベッドに倒れ込むと、心の奥の闇が顔を出す。生き抜くために作り上げた計算や戦略が、もはや私を守ることはできない。痛みと孤独、裏切りの記憶が一度に押し寄せ、精神の均衡は揺らぎ始めていた。
その夜、私は鏡の前で自分を見つめた。華やかな顔、計算された笑顔、美しい体――すべては外見の武器。しかし、瞳の奥には怒りと悲しみが渦巻いている。過去の影は、もう隠せない。これから、私はどう生き抜くのか。心の奥底で、その問いが静かに、しかし確実に私を追い詰めていった。




