第5章 枕営業・事務所・暴力団との接触
夜の東京は、光と影が混ざり合い、人間の欲望をあぶり出す舞台だった。私は整形で作った顔を鏡で確認しながら、次の一歩を考えた。生きるための手段は、すでに体と顔という武器に変わっていた。次に必要なのは、コネだった。力を持つ人間との接触。誰もが道を閉ざすなら、道をこじ開けるしかない。
事務所の面接で初めて知った現実は、残酷だった。演技力や外見以上に、裏のルールが存在する。面接官の視線は計算されており、微笑みの裏に条件が隠されていた。最初の仕事を得るためには、口先だけの約束や嘘では足りない。体を差し出すこと、情報を握ること、時には政治家や暴力団と接触すること。それが、この街で生き抜くためのルールだった。
初めての枕営業は、予想以上に冷酷だった。相手の欲望を読み取り、自分の体を計算通りに差し出す。羞恥心も、痛みも、恐怖も、すべては道具だった。体を奪われるたび、心の奥では怒りが燃え、同時に計算力が研ぎ澄まされる。感情を封印すれば、痛みは数字と金額の問題に変わる。
暴力団との接触も避けられなかった。最初は恐怖しかなかった。声を荒げ、怒鳴られる夜、背後で人が消える気配。だが、恐怖を分析すると、操作可能な部分が見えてくる。金を持つこと、体を利用すること、相手の欲望を予測すること。恐怖は道具となり、私をさらに強くした。
政治家との接触もまた、別の緊張を生んだ。威圧的な態度、無言の要求、微妙な駆け引き。ここで失敗すれば、表舞台からも裏社会からも追い出される。しかし、成功すれば、一気に道が開く。私は体を売ることで金を得ただけでなく、情報とコネという形で、未来の可能性を買ったのだ。
裏切りもあった。友人と呼んだ者たちは、簡単に私を裏切った。金のために手のひらを返す人間の冷たさを知り、信じられるのは自分だけだと悟った。孤独は深くなるが、それが計算力と生存力を鍛える。痛みと羞恥、恐怖は、すべて勝利のための燃料に変換された。
夜が明けると、街の光が冷たく差し込む。私は一人、鏡の前で整形後の顔を確認した。計算された笑顔、計算された体の角度、計算された目線。すべては武器。すべては道具。東京で生き抜き、女優として道を切り開くために必要な戦略だった。孤独と恐怖の中で、私は初めて、自分の力だけで道を作れることを知ったのだった。




