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紅い孤影  作者: キロヒカ.オツマ―


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第17章 連続殺人の始まりと歪んだ高揚

最初の議員を殺してから三日間、私は異様なほど落ち着いていた。

警察が来る気配もない。

ニュースは連日その事件を報じているが、犯人像は「怨恨の可能性」「通り魔的犯行」と曖昧なままだった。


――やっぱり、誰も私に辿り着けない。


その事実が、胸の奥をじわじわと温める。


私は、朝からカフェで新聞を広げ、事件記事をじっくり読む。

「与党議員、何者かに襲われ死亡」

「防犯カメラに不審人物映らず」


記者たちは、必死に理由を探している。

だが、彼らは一生分からない。


理由なんて、単純だ。

社会が、私を壊したからだ。


スマホを開くと、SNSでは議論が過熱していた。

「怖すぎる」

「日本も物騒になった」

「SPつけろよ」


誰一人、「なぜこの国でこんな人間が生まれたのか」なんて考えていない。


――やっぱり、誰も分かってない。


その日の夜、私は二人目の標的をノートに書き出した。

別の与党議員。

女性問題で週刊誌に何度も載っている男だ。


私は、もう迷っていなかった。


情報収集も、尾行も、最初のときよりずっと手際が良かった。

どの時間帯が安全か。

どこにカメラがあるか。

どこなら人目につかないか。


すべて、体が勝手に覚えている。


「……人って、慣れるんだ」


その事実に、少しだけ笑ってしまった。


一週間後、二人目の議員も、同じように消えた。

方法は違う。

場所も違う。

だが、結果は同じだった。


私は、また普通の顔で電車に乗り、コンビニで缶コーヒーを買い、部屋に戻った。


ニュース速報が鳴る。


「与党議員、またも路上で死亡。連続殺人の可能性」


その瞬間、胸の奥が、ぞくりとした。


――連続殺人犯。


その言葉が、妙に心地よかった。


私はベッドに腰を下ろし、テレビをつけた。

コメンテーターが、深刻そうな顔で語っている。


「これは偶然ではありません。何者かが、与党議員を狙っている可能性があります」


――その通りだよ。


思わず、画面に向かって頷いた。


「警察は、テロの可能性も視野に入れています」


テロ?

違う。

これは、私怨だ。


私は、正義なんて気取ってない。

革命家でもない。

ただ、壊れた人間が、壊した世界に仕返ししてるだけだ。


でも、世間は勝手に意味を与える。


「政府批判か?」

「政治的動機?」

「反社会勢力の犯行?」


どれも違う。

でも、どれもどうでもよかった。


私は、三人目の標的を選び始めていた。


ある夜、窓の外を眺めながら、私はふと気づく。


――怖くない。


最初のときにあったはずの恐怖が、もうない。

罪悪感も、後悔も、完全に消えている。


あるのは、支配感だった。


私一人の行動で、この国のニュースが動く。

議員たちが怯え、警備を強化し、国会がざわつく。


「……私、やっと社会に影響与えてる」


その歪んだ達成感に、笑いが込み上げてきた。


私は、三人目の議員のスケジュールを調べながら、静かに呟いた。


「次は、あんた」


もう、止まらない。

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