自分軸
世界はアタシ中心で回っているーーと思っていたのは、昔の話。
アタシが居なくたって、世界は回っている。【自分軸】という単語を聞く度に、つい冒頭の事を考えてしまうのだ。
自分に自信が無いからそう思うのかと訊かれたらそうじゃなくて…。
【自分軸】を貫く人だらけだったら、争いが多くなると思うから。
「“自分軸”かぁ……」
争いたくないという意思表示は、時として火に油を注ぐ事がある。
例えば、“好きな人が友達とかぶった時、友情関係を重視し、想い人への気持ちを断ち切るかどうか”とかだ。
アタシは、出来れば穏便にコトを進めたいから友達に…と思う事があるのだが、それだと自分の恋心を否定してるから、時間が経つにつれて友人への嫉妬や怒りの感情が湧き上がる気がしてならない。自分で「諦める」って選んだクセにだ。
それに、想い人に気持ちを伝える事で、如何やって断ろうかと考えさせる時間を与える迷惑を掛けたくないし…。
「御託を並べてるケド、結局は自分が臆病なだけじゃん…」
【行動する】という選択を取って、上手くいかなかった時に、気持ちの持って行き場がわからなくなっちゃうから、そうならない為に【諦める理由を見つける】が、クセになっている。
(いつからこうなったんだっけ? )
自分の恋心は否定したくない。否定したくないのに……「好きじゃない」って嘘を吐く。
(それは、誰の為の嘘? )
「苦しいよッ…」
苦しい…。苦しい…苦しい…苦しい…苦しいッ!!!
【争いたくない】が、自分を苦しめる。でも、【自分に正直過ぎる】だと、敵が出来易い。
みんなから好かれる事は出来ないーーそんなの解ってる。でも…敵が出来るかは、自分の行動や心掛け次第だ。
どんな結果であれ、自分で決めた事だから納得出来るという話をよく聞くが、納得出来ない者もいるから、潰れたり、誰かを傷付けてフラストレーションを発散しているのではないか? と思う。
「恋愛は戦争かぁ…」
生物は、子孫を儲ける事で、自分の“生きた証”を残す。もし残せなかったとしても、その者の生前の話が、誰かの口を介して語り継がられていけばイイのだが、そんな事は中々起きない。だから、子供を儲けて生きた証を残す“生存戦略”を図るのだ。
少しでも自分の遺伝子を多く残し、同時に子孫が生き易い様にする為に、敵を蹴落とす。【浮気】という行為が許せない者がいるのは、その為ではないのかと思う。
結局、生きたからには、何処かで戦わなければならない宿命なのかもしれない…。
「失敗したってイイじゃん! 」
成長するにつれて周りの目が気になる様になり、【諦める理由を見つける】がクセになり、そのおかげで無茶しなかったり、恥を掻く事は減ったが、本気で欲しいと思ったモノまで【諦める】を選択する様になってしまった。
諦めるなら、自分が逆の立場になった時に「嫌だ」と思う様な事はしない等の正当な理由が見つかるまでは、【心が折れない程度に求めてみる】という選択を取ったってイイのかもしれない。
【自分軸】は怖い。争いを生む恐れがあるからだ。ーー只、本当に欲しいモノがあるなら、嫉妬や恨みを買う覚悟が必要だ。
なにかを得るという事は、その分の代償を支払い、責任を取らなくてはならない場合もあるから。
了