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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

薔薇のブーケ

作者: 梨田桃

好きな人が結婚する。



私は今、好きな人の結婚式に来ている。

あなたが似合うと言ってくれたライトピンクのドレスを着て、花嫁でもないのに今日が1番綺麗って思われるように化粧して。



別に付き合っていたわけでも告白して振られたわけでもない。一方的な片思い。

ただあまりにも一緒にいすぎた。

私があなたと結婚できないことなんてわかっていた。

でもまさか私の知らない人と結婚するなんて思ってなかった。



相手を見たがよく言えば優しそう。悪く言えば平凡。

あなたの横に並ぶのは私の方がぴったりじゃない。

想いも伝えず未練がましいと思うかもしれないがしょうがないじゃない。

伝えてしまったら関係が壊れてしまう。

でも好きなものは好き。

好きだった人ではなく今現在も好きな人なんだもの。



だからあなたの晴れ舞台で精一杯綺麗にして少しでも私のことを記憶に残して欲しい。




「お姉さん、やたらと綺麗にしてるじゃん。何?誰か好きな人でも来てるの?」



知らない男の人が話しかけてきた。

好きな人が来てるも何も好きな人の結婚式なのよ。



「まぁそんなところ。あなたは?」





「俺?俺は新郎の友達。つっても俺あいつのこと好きなんだけどな。」




あぁ、この人も私と同じだったのね。




「私もね、実は好きな人が結婚式に来てるんじゃなくて好きな人の結婚式に来てるの。」





「なぁんだ俺と一緒か。好きな人の結婚式って思った以上につらいよな。」




「えぇ、そうね。でも私は結婚式であの人の思い出になりたいの。ずっと私のこと覚えててほしいの。」




「俺ら健気だよな。いっそ俺たち結婚しちゃう?」




「ふふっ、面白い案ね。考えてあげなくはないわ。」




そんな会話をしてたら





「あ!小春!来てくれてありがとうね!」




あなたが私のところに来てくれた。




「やっぱ小春はライトピンクが似合うね!すっごくかわいいし綺麗だよ!」





普通新婦に向けて言う言葉を私がもらった。




やっぱりあなたが似合うって言ってくれたものと、精一杯のおめかしはあなたの記憶に刻まれてくれてるみたい。




「あ、そうそうブーケトスの話なんだけどさ、やっぱ投げないで小春にあげることにしたの!小春には誰よりも幸せになって欲しいからさ。」





そう言ってあなたはブーケトスで投げる予定だった薔薇のブーケを私に渡した。





あぁ、やっぱり最後まで私はあなたに敵わないみたい。

こんな素敵な色とりどりの薔薇のブーケ。

薔薇の香りが私を支配した。

誰かが言ってた。香りが1番記憶に残るって。

これじゃあ私、薔薇の香りを嗅いだら一生今日の事とあなたの事思い出すじゃない。





溢れそうな涙を堪えて





「ブーケありがとう。それと結婚おめでとう。ドレスもすっごく綺麗よ。誰よりも幸せになってね。」




今日言わなきゃいけないことをきちんと言った。

きっとこれからも私はあなたのことが大好きだけれども、好きな人の幸せを願おう。

あなたが私の幸せを願って薔薇のブーケを渡してくれたように。

小春と新婦はずっと一緒にいた友達です。

でもお互いに抱いていた感情は別のものでした。


友情と恋愛感情。


新婦は小春の気持ちに気付いていませんが誰よりも大切だと思っています。


その気持ちがわかるからこそ小春は友達のまま、彼女の記憶に深く残そうと考えていました。



ちなみに小春に話しかけてきた男の人は新郎が好きです。




小春にとって好きな人からもらった薔薇のブーケの香りはきっと一生心に残るでしょう。



短いお話でしたがご覧頂きありがとうございました。

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