「#執事ボイス出せ」
何とか日付変更までに間に合いました。テスト編、これにて完結です。
作者の浅学故、感想欄での御指摘にとても助けられました。ありがとうございました。
「大変長らくお待たせしました、結果発表のお時間です!」
「…………」
「はぁ……」
「もう空元気すら出てないね、みんな」
「それでも配信者かお前ら!」
《草》
《序盤のテンションはなんだったのか》
『結果発表ですが、まず最初に上位から発表致します。三位から一位までを先に発表し、その後四位から最下位までを順に発表していく、という形式となっております。皆様、緊張なのか絶望なのかは分かりかねますが、もう少し元気よくお願い致します』
「そうは言われても怖ぇんだよ!」
「高得点だった執事さんにはわかるまいよ、この思いは……」
『なるほど、では恐怖する時間は短い方がいいという事で早速第三位の発表です』
「オーバーズ男子学力テスト、見事上位入賞の第三位は……この人!」
【3位:クロム・クリュサオル 329点】
【国:96/数:62/理:44/社:62/英:65】
「やった……!!」
「国語はなんと96点の超高得点!最初に取り上げた漢字の間違い以外は完璧でした!」
『一方で理科が明確に苦手分野となっていました。また、他に70点以上が無い事もあり、今後の伸びしろ次第では優勝も見えてくるでしょう』
「とはいえ、新人がこの成績を取ってくれたのは非常にありがたい……!俺の同期筆頭に馬鹿やる事が好きな人しかいないから……!」
「おい、どういう意味だ!」
「正蔵、俺らだって傷つく時は傷つくぞ?」
「あはは……」
《クロムくんすげえええええ!》
《国語96はマジでバケモノ染みてる》
《確かに理科は酷いなw》
《正蔵おじ、新人の頭脳に感涙。同時に同期をディスる高度なテクニックを披露》
《そりゃ新人的には苦笑いしか出来んわw》
「さ、それでは二位の発表に行きましょう!」
「おいコラァ!!」
「惜しくも優勝を逃したが、十分過ぎる程の成績を残した第二位はこの人!」
【2位:紅スザク 363点】
【国:70/数:76/理:66/社:80/英:71】
「先輩の威厳、見せ付けてくれました!単純に平均点が高い!」
『何より、社会の点数は二位に10点以上の差を付けてのトップでした。お見事です』
「いやー、照れるね。80点台一個も無かったら流石に恥ずかしいなとは思ってたけど」
「これ、レーダーチャートにしたら綺麗な五角形になってますよ。この点数なら器用万能名乗っていいですよ、マジで」
「流石性癖以外は完璧な男」
「あはは、照れるなぁ……フィリップ、後で説教な?」
《本当に万能だよな、スザクニキ》
《一番尖ってるのが性癖ってのが信頼できる男だ》
《フィリップ……w》
《器用貧乏って自虐してるけど、貧乏じゃ2位は取れんよ》
《で、尖った性癖って?》
《Bの地区をいじるのもいじられるのも好きらしい》
《草》
《割とオーソドックスでは?》
「さて、コメントが深夜帯みたくなりつつあるので学力トップの発表です!栄えあるオーバーズ男子学力トップに輝いたのは……この人だ!!」
【1位:パンドラ・ミミック 407点】
【国:88/数:95/理:75/社:60/英:89】
「いやったあああああ!!!」
「正直予想外だったけど、ほぼ全教科で高得点!唯一の400点越えを果たし、パンドラくん見事優勝です!」
『国・数・英の三教科で高得点を稼ぎ、極端に低い科目もないという文句なしの成績でした』
「いやー、嬉しい!本当に嬉しい!結構誤答イジりされたからヤバいかもって思ってた!!」
《マジか?!》
《ドラちゃんすげえええええ!!!》
《これは予想外だわ……前評判4位だったもんなぁ》
《めっちゃ喜んでてカワイイ》
《副賞ゲットおめでとう。執事ボイスマジで羨ましい執事ボイス出せ》
《クロムとスザクが褒める中、黙ってるのが四人おるな》
「えー、副賞のお褒めの言葉は最下位発表後、廻叉さんの全力罵倒後にします!罵倒で終わらせると、ちょっと空気的にね!というわけで……さぁ、残り四人、覚悟は出来たか?」
『なお、合計点数が250点を切った時点で罰ゲーム確定ですのでご注意ください』
「……お、おう」
「お願いします……」
「ちょっと待ってくれ、罰ゲーム配信のお知らせツイートする」
「来るなら来いやぁ!センブリ茶なんて怖くねぇぞ!」
《ユーマとリブラのテンションの低さよwwww》
《フィリップ罰ゲーム受ける気満々で草》
《京吾の空元気が心強い。でも最下位の有力候補なんだよなぁ》
「それでは、上位三人からは零れてしまった丁度真ん中の第四位は……この人だ!!」
【4位:春日野ユーマ 300点】
【国:55/数:40/理:92/社:38/英:75】
「っしゃああ!!あぶねええええ!!!!」
『理科は見事、科目別では1位の成績でした。とはいえ、数学と社会が大きく足を引っ張る結果となってしまったのは残念です』
「いや!全然いいね!300点台乗ってるし、四位だし罰ゲーム無いし!いやーマジ最高!イェーイ!!」
「急にテンション上げ過ぎだろ!さっきまで死にそうな声だったのに調子の良い奴だな……」
《情緒どうなってんだユーマ》
《安全圏に滑り込んだ瞬間これである》
《理科すげぇな……》
《社会やべぇな……》
《この両極端は確かに春日野ユーマって感じはする》
《ただのチャラ男では終わらない男だからな》
「ここからは、まず名前だけ発表します。既に残り三人のテンションが下限を超えておりますが、容赦なく行きましょう――第五位は!」
【5位:秤京吾】
「よっしゃ見たかおらあああ!!誰だ俺を最下位予想した奴は!これが俺の実力じゃああああ!!!」
「嘘だ……嘘だと言ってくれぇ……!!」
「俺が……京吾以下……?この、俺が……?」
「わぁ地獄」
「クロムっち、この醜い争いを見て大爆笑出来るようになったら立派なオーバーズだぜ?」
「え、ええー……」
「この中で一番先輩である身としては否定するべきなんだろうけど、うん、否定出来ないなぁ……」
《はあああああああ?!》
《嘘だろ!?京吾だぞ!?》
《リブラとフィリップの絶望の声が最高に愉悦できる》
《一方上位勢の余裕具合よ》
《人間って愚かだな》
「おい、京吾。まだ、得点が出てないだろ?」
「……え?」
『第五位、秤京吾さんの得点はこちらです』
【5位:秤京吾 235点 ※罰ゲーム決定】
【国:45/数:80/理:22/社:31/英:57】
「クソがああああああああ!!!!」
「ぶははははははは!!!!」
「お前もだ、お前も落ちろ京吾ォ……!!」
「わぁ、まだ地獄の底があったよ」
「この時点で既に罰ゲーム道連れだけが喜びになっている先輩達を見てクロムっちはどう思う?」
「……その、言葉にならないです」
「うん、まだ君はそのままで居てくれ」
《無様で草》
《うるせええ!!》
《笑ってる場合じゃないぞリブラ》
《本当に人間って愚かだな……》
《クロム、これがオーバーズだぞ》
《初対面の外部ゲストが居てもこうなるからオーバーズ男子が好きだ》
「えー、この時点でセンブリ茶配信が三人決まりましたが……最後は、同時に発表します!オーバーズ男子、学力テスト最下位は……リブラか!それともフィリップ・ヴァイスか!二人同時に、ドン!!」
【6位:リブラ 182点 ※罰ゲーム決定】
【国:33/数:40/理:50/社:16/英:43】
【7位:フィリップ・ヴァイス 171点 ※罰ゲーム決定】
【国:42/数:18/理:35/社:10/英:66】
「セーフっ!最下位じゃないからセーフ!!」
「……どうした、クロム。嗤えよ、一番バカな俺を……」
『はい、一番後輩に無茶ぶりをしないでください。お二方とも極めて低い水準でまとまっていると言わざるを得ない得点でした。最後の決め手は、フィリップさんが10点台を二つとってしまった、という所に尽きる気がします』
「……本当にな、お前ら二人の社会の点数見た時、採点手伝ってくれたスタッフが本気で引いてたからな?勉強が全てとは言わんが、ちょっとこれは最低限も出来てねぇんだわ……」
「どうしよう、いざ点数見ると煽れないし笑えない」
「ドラちゃん、それもうトドメよ?」
《うわあ……》
《こうしてみると、うん、ヤバいな……》
《10点台て……》
《草》
《アウトだよリブラ》
「というわけで、六位リブラ、最下位フィリップにもセンブリ茶配信はやっていただきます!そして……フィリップ、最下位の副賞だ。Re:BIRTH UNION正時廻叉さんによる、本気のお叱りだ。準備はいいな?」
「ふっ……もう、何を言われてもダメージ受けないな。京吾に負けた時点で、俺の心は粉々さ」
「うん、そういう事言える余裕がまだある、と。では廻叉さん、お願いします!」
『フィリップさん……他人と比較する前に、自分自身を顧みてください。その成績を、貴方のファンの前に堂々と持ち帰れますか?自分の身を削る配信を嬉々としてする前に、自分の身に付いている学力の量にも気を配るべきではないですか?少なくとも、常識外れの配信をしたいなら常識を身に付けましょう。社会10点でそれを言っても、何一つ説得力がありませんから』
「…………申し訳ありませんでした…………」
「あのフィリップが……打ちひしがれている……?」
「怖っ!!執事さん怖っ!!」
「言ってる事は割と普通の説教なんだけど、人の心を壊すくらいの冷酷さが出てるんだよなぁ……」
「いやー、廻叉さんありがとうございます!これでフィリップも少しは反省するでしょう!」
『……フィリップさん、ファンの皆様、大変失礼いたしました。どうか、御容赦を』
《ヒィ……!!》
《ヤバい怖い……!》
《嘲笑と軽蔑と落胆が一言一言から伝わって来る》
《執事が負の感情全力で出すとこうなるのか……ふふ、怖い》
《三日月龍真a.k.a.Luna-Dora:ウチの後輩、すげえだろ?》
《フィリップファンですがそういう役目なので執事さんには思う所ないですよー》
《すげぇってか怖いわ》
《逆にドラちゃん、この後このレベルの情感で褒められるの……?》
「では、今度は優勝賞品――パンドラくんへのお褒めの言葉です!どうぞ!!」
「えっ、ちょっと待って、心の準備が――」
『パンドラさん。凄いですね……これだけの点数が取れるのは、貴方自身の努力に他ならない』
「ひぇ……」
『本気で学んだことだからこそ、こういう機会に発揮できる。私が学ばされたような気持ちになりました』
「は、はいぃ……きょ、恐縮です……」
『言葉を積み重ねると陳腐になりそうですし、最後に一言だけ、いいですか?』
「お、お願いします……!」
『優勝おめでとう、よく頑張ったねパンドラくん。偉い偉い』
「ひやああああ……!ら、らめぇ、す、好きになっちゃう……!!」
「しっかりしろパンドラ!アカン致命傷だコレ!!」
「こいつの限界化初めて見たかも」
『普通の褒め言葉だったのですが』
「感情の込め方が普通じゃないんですよ。自分の子供への無償の愛を注ぐ親の声でしたよ、完全に」
「コメント欄の加速が凄いんですが……」
《ひゃああああああああああ!!!》
《やばいやばいやばいめざめる》
《#執事ボイス出せ金ならいくらでも出すぞ》
《いや、マジでボイスにしろお願いします》
《三日月龍真a.k.a.Luna-Dora:廻叉お前、すげぇわ……》
《チャンネル登録してきた》
《俺も》
《ガチ恋勢増える……》
《パパ……》
「割と軽い気持ちで提案した副賞が思わぬ波紋を残してしまい、司会者としてちょっとやり過ぎたかもとか思っておりますが……とにかく!皆さんにお楽しみいただけたようで何よりです!学力だけじゃない魅力が、一位のパンドラは勿論、最下位のフィリップにだってたくさんあります!オーバーズは面白い奴らが日々是限界突破で頑張ってます!これからも、我々を宜しくお願いします!」
『うおおおおおおおお!!』
「うるせえ!そして、今回外部からサブMCとして参加してくださったRe:BIRTH UNIONの正時廻叉さん、本当にありがとうございました!」
『こちらこそ、これだけの人の前に立たせていただく機会を頂き光栄です。今後とも、弊社共々よろしくお願い致します』
「いやいやいや、こちらこそです!本当に!皆さん、本日の参加者一同のチャンネル登録も宜しければお願い致します!!それでは、また今度!さようなら!!」
《88888888888》
《いやー、面白かった》
《今回一番インパクト残したの執事さんでは?》
《正蔵さんの企画は大体面白いから次回も期待》
《おおう、同接5000超えてる》
《リバユニさんともいい関係出来そうだし良かったんじゃないかな》
《フィリップの心の傷だけが心配だが、まぁフィリップだし大丈夫だろ》
※※※
【配信終了直後、石楠花ユリアのSNSより抜粋】
「私も、勉強頑張ったら褒めてくれますか?」
次回からユリアさんの外部コラボ奮闘記です。執事は見守ります。約束しましたからね。