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「切り抜き短編集 -廻叉&ユリアへの反応編(3)」

【魔境切り抜き】魔境三傑、リバユニ廻叉&ユリアの記者会見同時視聴実況の儀式【実質サバト】


恐ろしいことに関係各所に許可を得た上で開催された深淵の宴の様子をコメントと共に。

普通に雑談で面白かった部分も込みで。


『今回の会見は、まず弊社所属Vtuberである正時廻叉、石楠花ユリアの視聴者様への配信中の暴言に関する謝罪と、同じく弊社所属Vtuber三日月龍真、丑倉白羽による発言に対する説明の場となっております。三日月、丑倉の両名に関しては後日改めて謝罪配信をさせて頂きます』

『Re:BIRTH UNION所属、正時廻叉です。この度、視聴者の皆様への攻撃的な発言を行いました事を謝罪致します。誠に申し訳ありませんでした。表現者として適切ではない行為であったと反省しております』

『同じく、Re:BIRTH UNION所属、石楠花ユリアです。……ファンの皆様に対して、感情的な発言をしてしまい、申し訳ありませんでした。今後は、このような事が無いように、気を付けます……』


「はい、一時停止、っと。正直に言えば、会見を開いてまで謝る事って感じじゃないですよね。視聴者のコメント見て掛け算してた私なんて一体何回会見開けばいいんだって話ですし。まぁ個人勢の感覚と企業所属の方の感覚を一緒にしてはいけないんでしょうけど」

「瀬羅腐殿は年末あたりに一度会見をするべきではないかと吾輩は思うのだが。問題発言は今更であろうし、その都度やっていたら年の半分をそれに費やすことになるであろうしな」

「なるほど、年末調整ですね?」

「所得税のノリで扱うべきものなのか?……しかし先ほどからオニキス殿が黙りこくっているのが気になるのだが。気絶などしておらぬだろうな?」


《他人事堕天使で草》

《少佐殿辛辣で草》

《まぁ瀬羅腐の配信を男が見るって事は、そっちの耐性があるか同類かの二択だからな》

《だからたまに巻き込まれて悲鳴上げてブラウザバックする奴が後を絶たないのか……》

《年末調整www》

《魔窟勢、こういうのをサラリと混ぜ込んでくる》

《実は知性派ばっかりなんだよね。クイズゲー配信やらせてみたい》

《そういえば氷室が静かだ。また気を失っておられるか?》

《いや、さっき涎啜る音が聞こえたから大丈夫だろ》

《大丈夫の範疇なのか?》


「だ、大丈夫だ……!まだ、死んでない……!!」

「それ、この後死ぬっていう予告ですよね?」

「魚群が横切った並の信頼度であるな」

「おや、少佐殿パチンコ嗜まれます?」

「まぁ付き合いで少々な。若かりし頃は友人がパチスロに狂って借金背負って地元に帰ったり、突如失踪したりと文字通りの賭博黙示録状態であったわ。吾輩は爺様婆様に混じってパチンコをしておったが」

「その辺掘り下げたい所ではありますが、続きを見ましょうか。覚悟は良いです?オニキスさん」

「(深呼吸)……はい」

「オニキス殿、既に一度リアルタイムで見てるであろうに」


《少佐殿の若いころの話、大体破天荒で好き》

《オニキス……w》

《また鼻血出すんじゃなかろうな》



『さて。我々もどういう理由で皆様が困惑しているかは、把握しております。先輩であるお二人のうっかり口を滑らせたことで、私とユリアさんが交際しているという理由で喧々諤々の騒動になっている点についてですが』



『事実です』



「あああああああああああああああああああ!!!!!!」

「はい一時停止。……正直私も大興奮してるんですけどね」

「自分より凄いことになってる人を見ると冷静になるアレであるな」

「見たよね!?見たよねお二人とも!!」

「見てますよ、そりゃ」

「目は廻叉殿とユリア殿を見ていたが、耳は全部オニキス殿に持っていかれたがな。衛生兵、鼓膜の替えはいくつあったかね?」

「真正面見て堂々と交際宣言する廻叉さんも素敵なんだけど、それ以上にここ!このユリアさんの俯きながら一歩横にズレて距離を縮める所!!ここ!ここが最高なの!!」

「あー、確かに。廻叉さんを慕ってるのがあの一歩動くので分かる感じというか」

「控え目であるからな、ユリア殿は。そんな彼女が自ら距離を詰めるのだから、廻叉殿がどれだけ信頼されているか分かるという物であるな」


《うるせええええええええええ!!!!》

《ボリューム下げようとしてウッカリ上げてしまった俺は》

《BLとGLの二人は割と冷静であったか》

《オニキス大興奮で草》

《あ、本当だ。一歩詰めてる》

《甘酸っぺぇ》

《信頼からの親愛なんよなぁ、この二人》




※※※




『そして凄い勢いで同時接続が増えていますね。社長が話していた時の倍近くありますよ』

『ええ……そこまでの、事なんですか……?』

『そこまでの事でしょうね。気付けばユリアさんはVtuberを代表する清楚でした。そんな貴女がよりによって同僚と交際なんてなれば……ああ、案の定怨嗟のコメントが消しきれずに流れてますね。裏切者というか、そもそも裏切られる立場じゃないでしょう、あなた』

『あ、はは……あの、私の事好きでいてくれる皆さん、ごめんなさい。ファンの皆さんは大切だけど……好きなのは、廻叉さん、だけ、です……』


「かひゅっ……」

「はい、一時停止。オニキスさん死にました?」

「これでオニキス殿の身に何かあったら我々何らかの罪に問われるのではなかろうか」

「ユリアちゃん、可愛いよ……!独占欲出してくるの最高だよ……!」

「それにしたって舌禍の謝罪会見という名目で始めたのに、ユリアさんへの暴言にちょいキレしてド正論で殴っていく廻叉さんの勇姿たるや。有識者の間でVtuber界を代表する総攻めと呼ばれるだけはありますね」

「ユリア殿は右側固定と百合好きの同氏諸氏の間では言われておったが……まあ、愛される姿を見たいと思わせるのがユリア殿の人徳であるからな」


《お、死んだか?》

《これ、ある種の拷問なのでは》

《あ、生きてた》

《執事は攻めなのか……受け入れる的な意味で右側でも行けそうではあるが》

《お嬢右側は割と解釈一致》


『私もユリアさんが好きですよ。……正直に言えば、最初はこうなるとは思っていませんでしたし、こうなってはいけないと思っていました』

『それは、私も……』

『そんなところまで同じだったから、私も腹を括って貴女が好きであると伝える事が出来たのかもしれないですね』

『まが、真顔でっ、言わないでくださいっ……!』


「がはっ……!」

「くぉっ……!!」

「あ、ああ………………」


《おい、全員死んだぞ》

《まぁ、これは死ぬ》

《俺も死んだからな。蘇生予約の呪文を掛けておかねばヤバかった》

《なかなかの魔術師がコメント欄に混ざってて草》


「台本無しにコレやってんですよ、この二人……これが、これが公式が最大手……!」

「これが、若さであるか……」

「ありがとうございます……ありがとうございます……」


《一時停止すらしなくなったぞ、こいつら》

《記者会見と断末魔と遺言が垂れ流される地獄配信》

《これが見たかった》




※※※




「もう酸欠になりそうなくらい叫んだし呻いた訳ですが。最大の爆弾がこの後に待ってます。お二人とも準備はいいですか?」

「うむ……致死量の光を浴びることになるが、吾輩とて軍人の端くれ。覚悟は出来ておる」

「私はゾンビ、或いは亡霊……はやく、ああ、はやく……」


《最終的に瀬羅腐が一番冷静に進行してるの何なんだマジで》

《一時停止が機能するまで時間かかったなあ、おい》


『それでは、本日はお付き合いいただきありがとうございました。()()()()()()、お手をどうぞ』

『あ、は、はい……』


「(声にならない瀬羅腐の珍しく綺麗な絶叫)」

「(全身に銃弾を浴びたかのようなユリガスキー特務少佐のダメージボイス)」

「(アイドル事務所所属である事をかなぐり捨てた氷室オニキスの雄叫び)」


《うるせええええええええ!!!!》

《オニキスに至っては人が発してはいけない声を出してた感が》

《瀬羅腐が一番女の子女の子してる悲鳴なの性癖捻れるからやめてほしい》

《少佐殿、その声を出すべきは戦争映画の終盤であります》


「これ、いつか見れたらいいなぁとは思ってたけど本当に見てしまうとなんかこう、良い意味で絶句しますよね……」

「もういいから幸せになれとしか言いようがないな……」

「ひ、ひひ、うひひひひ……」

「オニキスさん、死にはしませんでしたが壊れましたね」

「うむ。にゅーろねっとわーくのスタッフの方にどう言い訳すればよいか考えている所ではあるが……」


《同時視聴でこんなに体力使う事ある?》

《ミステリアスだった氷室オニキスはもう戻ってこないんだな》

《心理テスト企画始めた時点でもう手遅れだったぞ》






「ご満足いただけましたか?」






《え?》

《この声……嘘やろ?》

《ぎゃああああ出たああああああ執事だあああああああ》



「……え?」

「……廻叉殿、待ってほしい。確かに何かマズい発言があったら止められるようにとDirecTalkerのチャンネルは教えていたが、不意打ちタイミングで入ってこられると我々も、その、なんだ、ごめんなさい」

「執事さん、ありがとうございます。私こと氷室オニキス、割と人生の目的の六割くらいを達成した感じです」


《瀬羅腐呆然としとる》

《少佐殿、謝るなら最初から謝ろう?》

《オニキスはもうだめだな》


「ええ、まぁ皆様が楽しんで頂けたのでしたらいいのですが。私とてVtuberです。ある程度のプライベートもエンターテイメントになるのは重々承知の事。とはいえ、どなた様も節度を守って楽しんで頂ければ幸いです。では、私はこれで」


「……あ、帰った」

「うむ……最後の警句だけ言いに来たのであろうな……視聴者の諸君も、心に留めておきたまえ」

「一番不安なの、オニキスさんなんですけど大丈夫ですかね?」

「暫く放っておけば大丈夫であろう。最悪、にゅーろんずのお二人による地獄のダンスレッスンで強制的に正気に返らせるという手段もある」


《いやー、新時代のエンタメを見た感じだわ》

《システムは似たようなバラエティだったけど、真面目な映像を見て出演者がはしゃぎ散らかすのは初めてだわ》

《執事とお嬢に幸あれ》






※※※






『なぁ、この動画の彼について知りたいんだが』

『彼?あー……Re:BIRTH UNIONの、廻叉さん?』

『ああ。彼とその恋人の会見を英訳した切り抜きを見たんだ。彼もロボットなのだろう?』

『ロボットは違う……ええと、オートマタだね』

『OK、把握した。同じアンティーク同士、仲良くしたいところだな』

『んー、それなら……ええと、二人に頼んだ方がいいよ。二人は、廻叉さんの先輩と友達だ』

『それならばナユタとガンマに聞いてみよう。ありがとう、シグマ』

『いいよ。ヴォイドには英会話の練習で助けられてるし。それに、ヴォイドと廻叉さんが何かするの、俺も見たい』


(New Dimension X専用チャットソフトより和訳の上で抜粋)

切り抜き回は以上になります。お楽しみいただけましたか?


ご意見ご感想の程、お待ちしております。


(11月5日追記)

11月7日の更新は諸事情によりお休み致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] カスミさんがツッコミや草が追い付かない(と推察する)ほどの早口で語ってたので、魔窟勢はどんな感じなんだろうと思ってたら、まさかのごった煮。思ったより(オニキスさんのおかげで(?))なんとか…
[良い点] 最期にぶっこまれたこの先の展開が楽しみになる海外勢のやりとり [気になる点] 魔境三傑のサバトに登壇した執事は四谷後輩に交際宣言切り抜きが盛り上がっていることを聞いた後の執事ってことでいい…
[一言] 一見右左固まってるけどだからこそ頑張って右が左いったりするのもいいよねぉうひょい
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