表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/232

「ユリアのお茶会 ~本日のお客様:SINESのみなさま~(3)」

「それじゃあ次で……三問目ですね。『これだけはNGなものはありますか?一つだけ挙げてください』という事で……あ。廻叉さんもう書き終わったんですか?え、あ、リンネくんに朱音ちゃんも終わった?みなさん速くないですか……?!」

「こればかりは決まっていました」

「いつか言えるチャンスを求めてた……!やられる前に、言わねば……!」

「本当にダメな事はダメって言わなきゃ絶対に酷いことになるって思うから!」

「なんだか皆さん、全力というか、必死というか……ええと、では順番に。まずは廻叉さんからですね」


【正時廻叉:激辛】


《草》

《なんでや!Vtuberの嗜みやぞ!》

《体質的にアカン人も居るからしゃーないとはいえ、執事が激辛平然と喰うところは見たかった》


「ええ、意外ー。廻叉兄さま、辛い物苦手ですか?」

「一度配信外で試したのですが、咳が止まらなくなってしまいまして。これは配信で行うには聞き苦しいにも程があると判断し、今後もNGとさせていただけますと幸いです」

「廻叉さん、普段から咳払いやくしゃみがマイクに載らないように凄く気を使ってますから……」

「うーん、プロ意識高い……俺は割と食べれちゃう方だから、逆に見てて面白くないかもしれないけど」

「凪兄ちゃん、そういう事言ってるとその手のお誘い来るんじゃない?全然食べれない人の横においてギャップ演出とか。あるいは美味しくいただくスタッフ要員で」


《解釈が一致してるのかしてないのか》

《まぁ笑えるリアクションと笑えないリアクションもあるからな》

《そういえば執事の配信で咽たりしてるの見た事ない……》

《凪くん激辛平気系か》

《おいこらリンネ。同期の兄貴分を便利スタッフ扱いするなw》


「そんなリンネくんのNGが、こちらです」


【逆巻リンネ:激しい運動】


《あ……》

《これは草生やしちゃダメなガチNG》

《普段のテンションで気付かないけど病み上がりなんだよな、リンネって……》

《そうか、そうだよな……》


「あっれぇ?!なんかコメント欄が想像以上に沈んでるんですけど!?俺の予想だともっと草だらけになってるはずだったのに!!」

「初配信の際に自分で語った境遇をお忘れのようですが」

「病気してた人にこれを書かれると、そりゃそういう風な解釈になっちゃうよ」

「ええええ……シンプルに運動神経がクソ雑魚なだけなんだけどなあ。ハンドボール投げで射出角度80度くらいで投げちゃって5メートルって記録叩きだした事あるくらい運動出来ないもん、俺」

「それはそれで逆に見てみたいまであるわ。私ですら10メートルは投げられたのに」

「私もそれくらいだったかも……」


《当事者とそれを聞かされた側でここまで意識の違いがあるとは》

《本人が一番ネタにしてるけど、本人じゃなかったら相当な危険球だからな》

《凪くん、正論》

《クソ雑魚て》

《それは草》

《ほぼ真上に飛ぶボールは流石に草生えるわ》

《飛距離はともかくノーコン過ぎて全部ファールになった俺みたいなのもいるんですよ!》

《朱音ちゃんとお嬢の肩が弱いのは解釈一致》

《でもお嬢がバックスクリーンまで届くくらいの強肩見せつける世界線も見たかった気がする》


「そういう朱姉ちゃんは何がダメなんだよー」

「えっと、じゃあ朱音ちゃんのNGが、こちらです」


【緋崎朱音:ホラーゲーム】


《草》

《これはフリかな?》

《小泉四谷がアップを始めました》

《ホラゲーは苦手な人にやらせてこそ(愉悦)》

《もはや逃れられんぞ》


「朱姉ちゃん、これフリにしかなってないよ?絶対ホラゲーやらせる勢に囲まれるよ」

「やだ!!絶対やだ!!なりふり構わず泣きわめくけどいいの?!」

「むしろそれが見たい人のが多い気がする」

「凪くん!?凪くんだけは私の味方だと思ってたのに!!」

「当然のように私とお嬢様も除外されましたが」

「わ、私はホラーゲーム、怖いけど嫌いじゃないですから……」

「ほら!ユリア姉さまは出来る人なの!ホラー耐性ゼロの私とは違うの!」

「そういえばゲーム補講ホラゲー回でビビりながらガンガン進んでたのユリア先輩でしたねー。シャロン先輩は、ガチで止めようとしてるのにコントローラー渡さずヤバそうなところに突っ込んで案の定出て絶叫の流れ、切り抜きで見たけどめっちゃ面白かったっす」


《だがそれがいい<泣きわめく朱音》

《わかっとるなぁ、凪くん。優秀じゃないか(愉悦部並感)》

《味方認定てぇてぇ》

《なお秒で裏切られた模様》

《眉一つ動かさずにストーリー考察始める執事と、怖い物見たさでブレーキが壊れるお嬢とは味方にはなれないでしょうよw》

《シャロンの「怖がりながらどんどん進んじゃうユリアちゃんが一番怖かった」って言ってたやつかw》

《普段はシャロユリなのにあの時はユリシャロだったな。これには左右固定型のカプ厨も確かな満足》


「そこは、その、あまり掘り下げないでくれると……あ、じゃあ、次は私の回答です」


【石楠花ユリア:虫全般。ゲームならまだなんとか……】


「そういえばいつぞやの打ち合わせで部屋に入ってきた蠅に怯えてましたね」

「……はい。その節は、ご迷惑を……その、特に羽音が本当に苦手で」

「あー、それはちょっとわかる。なんかこう、耳元横切られるだけで嫌な汗かく感じがするもん、俺も」

「虫が得意な女子のが少ないと思うから大丈夫ですよユリア姉さま!蝶とかは綺麗だと思うけど、目の前で飛ばれたら悲鳴あげちゃいますもん!」


《まぁこれは分かる》

《虫は俺もダメだわ。ゲームでもダメ》

《虫の羽音ってなんであんなに生理的嫌悪感が湧くんだろうな……》

《夏が苦手な理由の最たるもんだわ……》


「うーん……都会だなぁ……」

「凪さんは虫も問題ない方でしたか」

「ええ、島暮らしだと虫がいる事の方が当然だったというか。流石に体を這われてたりすると焦りますし、全力で駆除に走りますけど」

「……凪兄ちゃん、参考程度に聞くけどさ。何に這われた?」

「覚えてる限りだとゴキブリとムカデとまぁまぁのサイズの蜘蛛」

「ひぃ……!!」

「ちょっと凪くんやめて!!想像しちゃったじゃない!!」

「ごめん、俺が完全にいらん事聞いた……」


《島暮らしならそりゃ耐性もあるか》

《やめろやめろ急に何を言い出す》

《リンネェ!!!余計な事を聞くな!!!》

《嗚呼あああああああああああ》

《(声にならない悲鳴)》

《お嬢のガチ悲鳴だ……》

《凪が一番のバケモノじゃねぇか!!》

《執事も微妙にズレた事言ってて草》


「お嬢様?大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です……そ、そんなメンタルの強い凪くんのNGが……」


【月詠凪:特になし】


「知ってた」

「でしょうね」

「まぁそうだろうなとは思いましたが」

「正直、納得しました……」

「あー……うん、その、実際特にダメだなってのが思いつかなかったし、とりあえずやってみて今後NGになるものはあるかも、という感じで」


《知ってた》

《そうだろうなあとは思ってた》

《実は一番ヤベー奴疑惑》

《月詠凪のポテンシャルの高さだけが確実に伝わってくる》

《いざやってみたらダメだったパターンはまああるか》




※※※




「ええと……凪くんが運動神経だけじゃなくて、メンタルも凄い子って事に気付いたところで、次の問題です。『直近での一番大きい買い物を教えてください』という事で……これは、私から先に出しますね」

「助かりまーす。どれだろ、一番大きい買い物……値段か物理か……」

「リンネくんが微妙に不穏な事を言ってる」


【石楠花ユリア:壁に貼るタイプの防音材(一部屋分)】


《なるほど》

《楽器やる人は絶対必要だわな》

《それでなくてもVtuber声量イカレてる人多いし、防音対策マジ必須よ》

《配信中にご近所さんから注意受けた配信者とかも居るからな。Vtuberじゃなくてストリーマーだけど》


「今まではどうされてたのですか?」

「あの、電子ピアノだったので、ヘッドフォンを使ってました。ただ、この間、ジャックが抜けてるのに気付かないまま配信しちゃいまして……一曲弾いた後に、音がいつもと違うっていうコメントのおかげで気付けたんですけど……今後、こういう事があってもいいように、付けた方がいいなと思って……」

「なるほどなー。俺もよく喋るし、防音材は買わなきゃなぁ。壁はそこそこ厚いけど、全部防いでくれるとは限らないし」

「俺はむしろ、筋トレで床に敷く消音シートみたいなの買わなきゃ……」

「私の場合、歌って踊るから両方必要なんだけど」


《可愛い》

《お嬢のうっかりさん(はぁと)》

《なんにしても防音は必須だなー》


「配信やるなら、やっぱり必要だと思うから、みんなにも今度カタログ渡すね?えっと、次はリンネくんと凪くんが同じ答えでした」


【逆巻リンネ:配信で使うパソコンとか周辺機器】

【月詠凪:配信用PC周り一式】


《これは納得》

《0からVtuberになったんだな、二人とも》

《直近で考えたらこの二人がこの買い物が一番大きいのは当然っちゃ当然よな》

《配信やるならPCスペックは良いに越した事ないもん》

《コラボや案件のゲームがスペック不足で出来ないとか大損やからな》


「そりゃねぇ……今まで使ってたノーパソで配信は流石に俺でも無理よ」

「俺、そもそもパソコン自体持ってなかったもん。オーディション用の動画もスマホで撮ったし」

「逆に言えばそんな状況からでもRe:BIRTH UNIONは拾ってくれるって考えると夢が広がるよね!」

「スタッフの方に聞いたのですが、実際スマートフォンで撮影編集された動画で送ってこられる方は少なからず居ます」

「ええっと、そんな朱音ちゃんは……ええ……」


【緋崎朱音:某ソーシャルゲームで天井まで課金したのが最高額】


「………………」

「…………うわぁ」

「朱姉ちゃんさぁ……」

「やめて!そんな目で見ないで!!推しの限定に全ツッパしないだけの理性は私には存在しなかったの!!」

「あの、ほどほどに、ね?」


《草》

《草》

《同期ドン引きじゃねぇか》

《でも気持ちは分かる》

《戒めの為に見る爆死動画とはいったいなんだったのか》


「掘り下げると一人の少女の心が傷つくだけですので、お嬢様、次に行きましょう」

「次というか、最後ですね……ええと、廻叉さんの答えがこちらでした」


【正時廻叉:ドラム式洗濯機(乾燥機機能も付いている物)】


《草》

《所帯じみてて草》

《いや、便利だよ?便利だけどさぁ!》

《執事ってか主夫のチョイスなんよ》

《俺たちを笑顔にして得た金で洗った洗濯物はフワッフワになっているか?》

《ふわふわかどうかは柔軟剤によるだろ》


「なんだろう、廻叉兄さまが凄く大人に見える」

「ちゃんと配信業で稼いでる人の買い物って感じだ……」

「夢のある買い物ではないけど、『Vtuberがちゃんと頑張れば家電くらい平気で買える』って意味ではめっちゃ夢あるっすね、これ」

「……割と昔からの夢だったのですが。ドラム式洗濯機。梅雨時の長雨などでコインランドリーを利用する度に、これが自宅にあればと思っていたので」

「あはは……でも、廻叉さんの意外な一面が見れてよかったです」


《もう配信絡みの機材は揃え終えてるってことでもあるもんな》

《実際安い買い物じゃないもんな》

《あ、執事可愛い》

《トランペットを見る少年の眼でコインランドリーの洗濯機(業務用)を見つめる執事のFAください》

《お嬢の対執事好感度がまた一つ上がった》

《とっくに上限値だろ、お嬢執事間の好感度》

《こういう掘り下げしてもらえるのは助かる。最後の質問も楽しみだ》

思ったより長くなってしまいましたが、5人の掘り下げの一助にはなれていますでしょうか?


御意見御感想の程、お待ちしております。

拙作を気に入って頂けましたらブックマーク、並びに下記星印(☆☆☆☆☆部分)から評価を頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 虫の件、訂正報告ご丁寧にありがとうございます [一言] そういえば、昆虫の範囲になるのですがカイコガってかわいいので虫駄目な人でも割と行けるらしいからユリアさんでも大丈夫そうかも? あの天…
[気になる点] > 「それにムカデと蜘蛛は正確には虫ではなく節足動物ですね」 虫で間違いありません。虫は古来より特別扱いされていなかった小動物全般を指す言葉なので結構カバー範囲は広いです。そして虫≠…
[一言] 執事じゃなくて主夫じゃねーのかってくらい家庭的なの草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ