「正時廻叉デビュー1周年&登録者5万人記念凸待ち -リクエスト即興劇-(5)」
この日にこの話を投下するの、めっちゃ怖いです。
「……さて、ようやく残りが9人になりました。案の定、褒められたい方はまだ多数いらっしゃいましたね。実は、今回が初対面といいますか、初めてお話する方が後半開始からの面々でした。その為、DirecTalkerでの本人確認等で後半開始が遅れました事、改めてお詫び申し上げます」
《ええんやで》
《隠れてない隠れファンの木蘭カスミの限界具合たるや》
《指定シチュが『握手会に来たファンとアイドル』って完全にいつものカスミと執事だったよな》
《スタッフに剥がされた体で自分から通話切ったの草》
《ご丁寧にマイク遠ざけ芸まで使って何やってんだあの子はw》
《にゅーろはシャロンとその同期勢が三人まとめて来てたなぁ》
《全員が教師役を指定してたの、なんか示し合わせてたんか?》
《SNSでネタバラシしてたけど、JK三人組っていう設定だったらしい。学園ドラマやってみたい!との事だ》
《ひたすらわちゃわちゃするJK軍団相手に教師やりきった執事に拍手しかない》
《あー、遅れたのそういうのもあるか。事前に登録してても、当日の本人確認とか打ち合わせとか多少はあるだろうしな》
《まぁ一時間とか空いたんなら流石に心配はするけど、10分休憩が20分になったくらいなら誤差よ誤差》
《デビュー当時の志熊とか、寝落ちでコラボ2時間遅刻したもんな》
《登場と同時に大号泣謝罪で一躍みんなの弟になった熊さん》
「まぁそんな訳で残り少ない人数ですが、始めまし――」
「ういーっす、来たぜー」
「やっほー。五万人&一周年おめでとー」
「あの、おめでとうございます……!」
「すいません、俺は止めました」
「いやいや、私も後輩がこんなに成長して鼻が高いなぁ」
「……えー、龍真さん、白羽さん、ユリアさん、四谷さん、ステラさんがそれぞれ、直でスタジオに凸に来られました」
《後半戦うおおおおおおおお》
《なんだ今の音?》
《ドアが開く音だよな》
《?!》
《来たあああああああああリア凸だあああああああああああああああああ》
《うわ出た》
《リバユニ総動員だあああああ!!!!》
《スタジオだからこそ出来る荒業だな》
《そりゃそうだろ。流石の執事も自宅でこれやられたら鬼の形相で追い返すと思う》
「こうして来ていただいたことは有難いのですが、Re:BIRTH UNIONの皆様はプログラム上は最後だったはずなのですが」
「そうだね。私からデビュー順にやってく予定だったんだけど、ずっと待ってるのがどうしても退屈でね。スタッフの許可を得た上で、スタジオの隅で待ってようかなって」
「まぁ私としては構いませんが、この後別の方の凸があと四人いらっしゃるのですが、ずっとマイクに話す私を見ているのもそれはそれで退屈では?」
「大丈夫、私がちゃんと手を回して置いたから」
「……は?」
《そうなんか》
《自由だなぁ》
《合わせてあと9人とか結構居るな、おい》
《グループで来る可能性もあるぞ》
《ん?》
《どういう事だ》
《割とガチ目の「は?」で草》
「という訳で、次の方どうぞ」
「ステラ様、それ私のセリフです」
「どうもー。エレメンタルの月影オボロやでー」
「……手回しってそういう事でしたか。オボロさん、ようこそRe:BIRTH UNIONの配信スタジオへ」
「いやー、アポロから聞いては居たけど、立派なスタジオやん。ここが龍真くんの生前葬の会場かぁ」
「あの使い方が特殊だっただけで、その為の場所だと思われるのはちょっと」
《草》
《急に来て急に仕切るんじゃないよw》
《オボロ!?》
《関西のVヲタ姐御やんけ》
《アポロじゃなくてオボロが外部出るの大分貴重では》
《草》
《スタジオを葬儀場みたいに言うんじゃねぇよw》
《しかしいきなりアウェーに乗り込んで平然としている胆力たるや》
《後ろのゲラとガヤが酷すぎるw》
《ワイプじゃなくて字幕で誰がガヤってるか書かれてて草》
「まぁ、それはそうやね。とりあえず、前のスマイルムービーのリアイベ以来やからそんな久々って程でもないねんけど……ちょっと廻叉さんとやってみたい事があってな」
「やってみたい事、ですか」
「即興漫才」
「……今日一の無茶振りが来ましたね……」
「いや、さっきのフィリップ君との奴も十分即興漫才やったで?」
「それを言われるとその通りなのですが」
「あ、ウチがツッコミやからボケてな。出来れば、ウチ同様のエセ関西弁で」
「完全に今日の無茶振りの単独首位に踊り出ました、おめでとうございます」
「アッハッハ!めっちゃ嫌そうな声やん!」
《ああ。そこで接点あったか》
《あの時はアリアが居たのに奇跡的に真面目な話になってたからな》
《草》
《草》
《鬼かこの人》
《流石の執事もこれには困惑》
《草》
《鬼だわこの人(確信)》
「……分かりました」
「覚悟決まったようで何よりやわ。……はい、どーもよろしくお願いします!月影・正時でやっておりますけども」
「いや、コンビ名決めなあかんやん。名字並べるの定番やけど、それやと企業名みたいやんか」
「なるほど月影商事株式会社、ってそうやないやろ。なんかドラマとかでありそうやけども」
「たぶんやけど、一大メガコーポの月影グループの前身企業やな」
「え、なんで設定生えたん?」
《覚悟決めたかw》
《オボロノリノリで草》
《草》
《割と堂に入った関西弁で草》
《それで言うと品庄もそうなるだろw》
《設定生やしたwwww》
《急展開w》
《予想外の方向のボケでオボロがちょっと戸惑ってて草》
「創業は明治や」
「老舗やん!?」
「戦後の財閥解体の煽りを受けて、一度は衰退するもコンピューター関連事業で再度躍進を果たしたのは有名やな」
「歴史に残っとるレベルやないか!完全に日本史の教科書にも出てくる名前やんか!」
「で、その御令嬢が今ここに居る……」
「ちゃうわ!そんな御大層な生い立ちしとらへんわ!ってか架空の企業の話しとんちゃうねん!コンビ名決めるんやろ?」
《どんどん設定が重なってくw》
《流れる様に与太話が出てくるwww》
《半ば素でツッコミいれてないか、オボロ》
《リバユニ勢が後ろで爆笑するのが聴こえてくるの、お笑い地下ライブっぽくていいな》
《跳弾しまくった挙句オボロに刺さって草》
《ここでちゃんと話を本筋に戻すツッコミの鑑》
「ああ、せやったな。まぁ、普通にそれぞれの名前の一部を英語にしてやったらええんちゃう?」
「あー、それなら月と時やから『ムーンタイム』とかどうやろ」
「ムーンタイムなぁ。これも実在の用語やからなぁ」
「そうなんか?ウチ知らへんけど」
「今から数百年後の未来、宇宙開発の進歩から人類の生存領域が拡大し、月に造られた都市へと人々が移住したのは皆さん御存じの通りやろうけども」
「いや、御存じちゃうよ?!そんな遙か先の未来の事を何で知っとるんや!?」
《エセ関西弁ではあるけど、作ってる感が無いから自然に聞こえるの不思議だわ》
《その辺は演技力だろうな》
《ムーンタイムええやん》
《実在?》
《雲行きが怪しくなってきた》
《草》
《草》
《なんでこんな滑らかにホラ話が出てくるんだよ!!w》
《御存じじゃねぇよw》
《真顔でボケると破壊力がとんでもねぇなw》
「太陽光が地球程はしっかり届かへんからな。結果として月面都市は昼と夜を人工的な光で賄う事にしたんやな。結果、地球での標準時が使えへんから生まれたのがムーンタイムや」
「由来まで割としっかりしとるのなんなん?!」
「日本語訳すると月面標準時やで」
「知らん言葉を知ってる言葉に直しても知らん言葉やねん!」
「あとな、都市区画ごとに時差が無いのは人口的な光だからこその利点かもしれへんな」
「いや知らんねん時差の扱いとか!!」
「しかしまぁ、先人の知恵には敬服するわホンマ」
「しみじみ言うとんちゃうわ!!ってかそれらしい事言うとるけど全部でっち上げやろ!あといつの間に未来人になってん!?なら、下の名前の方使おう!漢字で『朧廻り』でどうや?!」
「『朧廻り』……かつての陰陽師が己の呪力・霊力を高めるためにこの世とあの世の狭間を体感するという、選ばれし者たちのみの間で行われた修行として現代にも伝わっているのはあまりにも有名やけれども」
「有名ちゃうわ!!……いや、そもそも事実ちゃうやろ!!」
《草》
《wwwwwwwwwww》
《なんでちゃんと科学的根拠を示してるんだよw》
《これがアドリブってなんなんだ、マジで》
《脊髄じゃなくて、ちゃんと脳で考えてからアウトプットしとるな……》
「いやー、まぁこの辺は雑学やからな」
「雑妄想の間違いやろ!せやったらもう、廻叉くんに考えて貰わなあかんやろな、これは」
「せやったら、二人の特徴の共通点から名前を付ければええんや」
「ほう、どんな名前なん?」
「『黒』ってのはどうやろか」
「安直すぎるわ。もうええわ。どうも、ありがとうございましたー」
「……疲れました」
「……廻叉くん、マジでなんなん?」
《平然としてるの草》
《こいつを自由にボケさせてはいけないという知見を得た》
《雑妄想w》
《無駄にディテールに凝ってるから雑とも言い切れないのがまた腹立つw》
《共通点ねぇ》
《草》
《一番雑だった》
《該当者多すぎんだよw>黒》
《8888888888》
《本当にアドリブ?》
《作家付けてると思われても仕方ないレベルの出来だったなw》
「正直に言えば、それらしいことを延々言っていただけで、漫才として面白いか怪しい所ですが」
「いや、もうこれだけ出来れば十分やろ……」
「後ろで笑ってる皆様は漫才が面白くて笑ってるのか、それとも私達の悪戦苦闘具合を笑ってるのか怪しい所ですが」
「後者やろ、たぶん。特に龍真くんはそういう気配がすんねん」
「ですね。はい、順番待ちの方はお静かにお願いします」
《それらしいことを延々、アドリブで言えるのがやべーんだっての》
《これは切り抜かれる》
《後ろのゲラはなぁ……w》
《あれ、裏笑いの類いだろ、たぶんw》
《見抜かれてて草》
《そういうとこやぞ龍真》
《うるさい!w》
《執事、一年ですっかり無遠慮になったなぁ……》
《むしろ龍真が一年掛けてじっくりと威厳を失くしていった可能性の方が高い》
「いやー。しかし面白かったわ。カスミンがあんだけ推す理由が分かったわ。……あの、ウチのがゴメンな。なんか、テンションおかしかったやろ、カスミン」
「いえ、カスミさんはまだ節度を持たれてましたので。テンションおかしかった、に一番該当するのはビクトリア正輝さんです」
「そこ名指しでええんや……まぁビクさんならええか」
《後輩の無礼を詫びる先輩の鑑》
《いやー、まだ全然大人しい方でしょ》
《ひたすら褒めて欲しい勢の欲望駄々洩れ具合に比べたら自制できとる》
《草》
《★ビクトリア正輝:なんでや!!》
《それはそう》
《低音で限界化して、挙句喘いでおいて何を言うか》
《音響テロだったぞビクニキ》
「何にしても、ようやく一年ではあるけど、まだ一年でもあるからな。これからどうなるか、期待しとるで」
「ありがとうございます。エレメンタル所属、月影オボロさんでした」
「ほな、またなー。……あ、椅子もう一個ある?」
「……ナチュラルにガヤ席に座られるのですね。まぁいいですが」
「いやーオボロちゃんも大概自由ですよね。それに比べて私なんか全然大人しい方ですよ」
「君は何を言っているんだい?」
「Vtuberで最も無秩序って言われてるのアンタだよ?」
「……で、お三方もナチュラルにスタジオに凸されるのですね。御紹介いたします。オーバーズよりお越しくださいました、紅スザクさん、青薔薇さん、そして七星アリアさんです」
《ほんそれ<まだ一年》
《この才能がVtuber界隈に来てくれたの本当に有難いわ》
《オボロありがとー!!》
《あ、残るんだw》
《もうガヤ席という扱いなのかw》
《ん?》
《は!?》
《ちょ、ま》
《アリアに青薔薇にスザク!?》
《オーバーズのトリコロールじゃねぇか!!!!》
《マジかよ……どんだけ業界トップ層から注目浴びてんだよ執事》
《これは次回カオス確定だな……》
なぜよりによってM-1グランプリ決勝の後に漫才を書くのか。
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