「見通しの甘くないVtuberなんて居ない」
「生前葬の件は、なんだかんだで賛否両論だったんだよな。ぶっちゃけ、死ぬほどお叱りのメールとか来てたし」
「でも、龍真さんそれ読んでゲラゲラ笑ってましたよね」
「うわぁ、最低ですね!」
「超嬉しそうに言うアリアさんも大概だけどな!ヒャハハハハ!!」
「フッハッハハハハハ!!」
「龍真さんよりアリアさんの方が笑い方に威厳がある気がするから不思議ですね。どちらも邪悪極まりない笑い方ですが」
《来たんだ……w》
《不謹慎ではあったからな、間違いなく》
《嬉しそうで草》
《こいつら……w》
《アカン、龍真とアリアの相性が良過ぎる》
《ほんそれ>邪悪極まりない笑い》
《アリア推しとしてこんな言われ方したら不愉快にならなきゃいけないのに、「それはそう」としか思えない俺を許してくれ》
《私が許そう》
《許す》
《でも当のアリアが許さなさそう》
《邪悪過ぎるなぁ》
「結果的に俺のチャンネル登録者数がガツンと伸びた切っ掛けにはなったからな。その後のEVILシリーズも込みで5万の大台に乗ったからなー……ってか、マジで日刊ペースでの伸び方が明らかに変わったもん」
「同じく5万……と言いたいところですが、実際には4万5千ですね。キンメさんと白羽さんも同様で。そして、ユリアさんと四谷さんが7万越えました。見事に後輩にブチ抜かれましたね」
「伸びましたねー。まぁ後輩に抜かれるのなんて、この業界に限らずどこだってある事なんですから」
「実際、その辺ゴチャゴチャ言ってくるのって八割方、俺らの動画じゃなくて数字だけ見てる奴だからな。お前らはプロ野球選手もプレーや成績じゃなくて年俸でしか見てないのかと言いたい」
「明確に表示される数字だからこそ、というのもあります。我々が気にしなければ問題ないだけの話ですが」
「それでも気に病む子は居ますからねー」
《めでたい》
《1年かけてこの数字は立派よ》
《三期生が強いなぁ》
《ユリアのお嬢は割と万人受けするタイプだし、四谷は万人向けを装っているけど超尖ってるところあるからな。後は、リバユニが注目され始めた段階での新人だったって事もあるかもしれない》
《企業系は同じ傾向にあるよな。後輩になればなるほど、良く伸びる》
「ちなみに元凶のREDSHARKはこないだ、そこそこデカいMCバトルの大会で優勝してた。なんか前以上にスキルアップしてんだけど、なんなのアイツ」
「そこは素直に褒めるべきでは?」
「すげぇとは思うけど、それはそれとして腹立つ」
「もうただのツンデレですよ、それ。それにしたって例の方、滅茶苦茶な量のアンサーソング返してましたもんね。流石にBGMは全部同じでしたけど、有名どころから、デビュー直後くらいの新人さんまで全員に」
「半ば百人組手というか、将棋の百面指しのような状態になっていましたね」
「あれは流石に俺も認める。そりゃあんだけやってりゃスキル上がるわ」
《あー、頂MCバトルトーナメントだっけ。たまにおススメチャンネルに出てくるわ》
《★ラッパーVtuber・MC備前:俺と龍真、最高でベスト16だっけか》
《★VIRTUAL-MC FENIXX CHANNEL:いいじゃねぇか。俺なんか予選会の決勝がマックスだぞ》
《★関西Vラッパー・MCカサノヴァ:俺もやわ。大阪の予選、レベルクッソ高いねん、マジで》
《★ダルマリアッチ@Vtuber:ふっふっふ、この中ではベスト4まで行った俺がトップって事で。まぁ俺が出た時、まだ規模が今ほどじゃねぇから自慢出来ねぇな!》
《草》
《ラッパー勢この配信来すぎじゃない?》
《全員モデレーター貰ってて草》
《イルダリくんは?》
《あの子、ネットラップ上がりって言ってたからその手の大会には出てないんじゃない?》
《現場勢多いなぁ》
《うわ、マジで全員にアンサーのアンサー返してたのか……》
《ぶっちゃけ未だにちょっと苦手だけど、その姿勢はリスペクトされるべきだわ》
「とりあえず五万人記念なんかやりてぇんだけど、たぶんいつも通り楽曲出して雑談やって終わりだからお前ら期待すんなよ」
「うーん、歯に衣着せぬの極み」
「私も、流石に五万人は記念配信をするべきとは思うのですが、全くの未定です。今しばらくお時間を頂けますよう、お願い致します」
「そういえば、全員が5万目前って事で、グッズ出すんだっけか」
「あー、ボイスとグッズは大事ですよ。何より、客層が明確になります」
「流石にトップランカーが言うと説得力がダンチだな……」
「……ふむ」
《まぁ知ってる》
《それでもちゃんとクオリティ伴わせてくるから偉い》
《改めて、全員が五万かぁ……箱推しとしてはマジで感慨深い》
《記念配信しないでお馴染みのリバユニ》
《グッズ!ようやく貢げる!!》
《トップ級が言うと重い上に生々しいわw》
《おや、なんか思い付いたか執事》
「ん?どうした廻叉」
「いえ、五万人&デビュー一周年の記念配信で凸待ち二回目をやろうと考えていたのですが、そこでグッズのアイディアを募る、というのを考えたのですが、権利関係やロイヤリティの分配で問題が出そうだな、と」
「……それ、本来スタッフさんとかに話して止められる部分ですよ。自分でそこまで思い至れるの、流石だと思います」
「お前、本当に冷静だよな」
《草》
《凸待ちやんのか、いいじゃん!》
《確かに他人のアイディアで金取ったらアカンわな》
《本人同士は良くても、リスナーがあれこれ言ってくる可能性もあるし》
《やはり執事はV界隈きっての常識人なのでは……?》
《おい、他の奴らに常識が無いみたいな言い方をするんじゃない》
「なので、どうしたものかな、と。アリアさんは記念配信を、登録者数や周年でしっかりと企画を練られてますが、どういう物が喜ばれるのでしょうか?」
「あ、俺も聞いときたい。俺のとこのリスナー、無きゃ無いで別にいいとか言っちゃうけど、大事な所はしっかりやっておきたいし」
「んー、でもそれは直の先輩であるステラちゃんに聞くべきでは?」
「ステラ様、記念配信どころか、配信自体がレアケースですから……」
「最近、俺らの配信にコメントだけしに来たりするんだよな……歌は定期的に出してるけど」
《勉強熱心だな執事も龍真も》
《無きゃ無いでいい、はVリスナーとしては割と珍しいマインドだよな》
《Q-BOXに記念配信の催促延々投げ込む奴も居るしなぁ》
《まあ正論ではある>ステラに聞け》
《あー》
《そういえばそうだった》
《コメ欄出没率はやたら高いんだよな》
《後輩の配信にコメントした所だけの切り抜きとか見たぞ》
《練習に集中し過ぎて全く気付かないユリアと、見付けた瞬間動揺してギターをマイクにぶつける白羽の対比が素晴らしかった》
《距離感が遠いんだか近いんだか》
「そういえばステラちゃんそういう子でしたね。たまに配信するとハチャメチャに可愛いから困るんですよね……」
「おかげで配信時に限って『#STELLA is CUTE』ハッシュタグが産まれましたからね」
「それがトレンド入りしたらステラが配信中、ってバレるやつな」
《ほんそれ>配信するとカワイイ》
《レトロゲームをやってる時だけは、ただの女の子なんだよな》
《あのタグは良い物だ……》
《たまにトレンドにあったのってそういう事だったんか》
「あれ、初めて見た時ファンアート系のタグかと思ったんですよね。……それにしても、龍真くん、本当に変わりましたね。ステラちゃんも呼び捨てですか」
「俺なりの距離の詰め方というか、親愛の表現だよ。一人くらいは、事務所内に対等っぽく話せる相手が居た方が良いだろうしな。無論、先輩でありミュージシャンとしての敬意を持った上で」
「まぁ当のステラ様も喜んでるみたいですし。私は、所謂タメ口で話す事自体が苦手です故に。むしろそうすると演技臭くなると専らの評判です」
《そういえばステラって呼び捨てなのか》
《まぁ、精神年齢的には間違いなく龍真のが上っぽいしなぁ》
《なるほど、対等に話せる相手という立ち位置な訳か》
《執事はね……敬語が定着し過ぎてタメ口だと物凄い違和感あるもんなぁ》
《お悩み相談配信で抜群にしょうもないメールに「知らねえよ」って言った時のコメント欄の加速具合は凄まじかったぞ》
《マジか。執事に何聞いたらそうなるんだ》
《Q:デリヘルでチェンジが言えません A:知らねえよ》
《草》
《知らねえよ以外に返しようのない質問じゃねぇか!!w》
「あー、でもステラちゃんが喜ぶ気持ち、ちょっと分かるかも。今年デビューした子達、私とか薔薇ちゃん、ゆいちゃんに対して滅茶苦茶気を遣ってるというか、若干アンタッチャブルな存在になってる感があるんですよね。もっとこう気軽にコラボとか誘ってくれても全然問題ないんですけどね」
「いやー、でもオリメンに新人が声掛けるの大分ハードル高ぇよ?結局、俺だってステラにこんな感じで話せるようになるまで、一年以上掛かった訳だし」
「以前に、私がパンドラさんの企画に出させて頂いた時も、青薔薇さん参戦をリスナーさん以上にオーバーズの皆さんが驚いていたのが印象的でした」
《まぁ、オリメンはなぁ……やっぱちょっと別格感あるもんなぁ》
《1801組には割とみんな気軽に行くんだけどな》
《お雛は自分の企画に率先して絡みの少ない後輩呼ぶとかしてるけど、呼ばれた方は緊張が隠しきれてねぇもんなぁ》
《★オーバーズ所属/秤京吾:たぶんオフコラボでフィリップをシバき倒してたのが原因じゃね?》
《草》
《あれは雑ボケを繰り返すフィリップが悪い》
《それをゲラゲラ笑って一切止めない同期の二人にも問題あるけどな!》
《まぁ、時間が解決するのを待つしかないか?》
《青薔薇様はなー、3Dお披露目以降から超忙しそうにしてるのが余計にな》
《あの時のドラちゃんには死ぬほど感謝してる。めっちゃいいもんが見れた》
「なので、凸待ち、逆凸ってそういう壁とかを取り払えるからいいと思うんですよね。それプラス、執事さんらしさみたいなのを出せばいいんじゃないかな、って」
「ふむ……私らしさ、とは」
「そりゃ、演技だろ」
「ですねぇ」
《いつメンだらけの可能性もあるけど、意外な組み合わせで話が弾んだりすることもあるしな》
《執事らしさといえば》
《それな》
《まぁそれ以外に何を言えと》
《満場一致》
《執事もある程度分かってて聞いた感あるけどな》
「では、そうですね。今回は募集をかけての凸待ちとさせて頂いて、来てくれた方のリクエストに応えた人格を演じてお話する時間を設けるとしましょう」
「おおお!いいですね!執事さんとも、自分の性癖に刺さる人格ともお話しできるとは最高の機会じゃないですか!ぜひやりましょう!なんなら私もやります!参考資料として乙女ゲー送り付けてもいいですかね!?」
「アリアさん、ステイ」
「恐れ入りますがオブラートという概念を御存じですか?」
《おおおおおおおおおおおお》
《ええやん!!》
《うわ、これ楽しみだわ……!》
《アリアさぁ……》
《史上最大級に酷い姿を晒してて草》
「それはさて置きまして、後日改めて告知の方をさせて頂きます。デビュー日当日は平日ですので、同じ週の土曜日に行う予定ですのでよろしくお願い致します」
「これ相当時間取りそうだけど大丈夫か、お前」
「Vtuber全体的に見通し甘い説を是非覆してもろて?」
「まぁ最悪休憩取りつつ二部・三部と分けるか、2Days公演にします」
「ハナから一日で納める気ゼロかお前」
「うーん、ある意味冷静……」
《待ってるぞー!》
《ドネートは多分切られるだろうし、それはまたソロ配信でって感じか》
《これ、参加者殺到するまであるな》
《せやけどもw>Vtuber見通し甘い》
《もう長時間配信の覚悟決めてて草しか生えない》
《何にせよ、執事の記念配信だ。楽しみに待とうぜ》
ザックリと現在のリバユニ勢の登録者数を出してみました。
次回、記念配信回です。
御意見御感想の程、お待ちしております。
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