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屍体と愛
この小説には残酷な描写が御座います。
この世界で僕を暖めてくれるものはいくつ存在するのだろう。
毎朝目が覚めると広がるいつもと同じ風景。
毎朝目が覚めると頭をよぎる同じ疑問。
僕の一日はこうして繰り返される。
そう・・・
いつかこの冷え切った心と身体を
愛しいと言いながら抱きしめ、
暖めてくれる存在に出会うために。
「1」
愛なんて所詮幸福な人が抱く幻想に過ぎないのだ。
その証拠に僕はこの世に生まれてこのかた一度も愛を感じた事等無い。
確かに僕は愛を感じた事が無いのだ。
愛は暖かいと人は口をそろえて言う。でも僕はその暖かさを知らないし、知る術も無い。
これまでの人生を僕は極力人と接しないように生きてきた。
それが僕にとって最良の方法であり、他人にとってもそれは同じ事が言えると思ったからだ。
もう何年前の事なのかはっきりとは思い出せない。でも確か今日の様に風花が舞う冬の日だった。