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「……なんです部長?」
部長を散々無視した守谷は俺たちが彼女のもとへ行くとようやくスマホから顔を上げた。
しかし近くで見るとやっぱとんでもない美人だな、ブロンドヘアーもキレイだが何よりその眼、切れ長で少し睨んでいるように見えるがそれがたまらなく魅力的に思える。
俺も自分の眼に関してはよく、なんで睨んでんの? 無駄に鋭くて怖い、お金払うので許してください、等と言われるが、同じ人間でもここまで変わるのか。
「この2人を紹介したくてね」
「……この2人?」
そう言って守谷は俺たちに顔を向けた。
おおっ、彼女の鋭い眼に睨まれた途端、背筋に何かゾクッとしたものが走った。なんだこの感覚?
そして守谷は軽くため息をつき、
「部長……いくら友達がいないからといって、この汚い金髪のチンピラはやめたほうがいいです。」
「すっ、すごい! この一瞬で杉原部長と吉岡さん2人に毒を?! ……ってあれ?吉岡さんどうしました?」
なっ、何なんだこの胸のトキメキは?! 彼女に罵倒された途端、心臓がドクンッと動いたのがわかった!
「えっ? ちょっ大丈夫ですか?! 吉岡さん!」
「だっ、大丈夫だ!」
これは気のせいだ、俺は断じてドMなんかじゃない!!
「……桐花、ここは俺に任せてくれないか」
これは何かの間違いだ、そのことを証明せねば。
「いいですけど、本当に大丈夫ですか?守谷さんと3分以上会話すると、どんな男でも下僕になるともっぱらの噂ですよ?」
桐花は心配そうにこちらを見つめてくる。
「ああ、任せてくれ。」
そうだ、これも事件解決のため。しっかりするんだ俺!!
「エリカ様!! 俺のこと踏んでくれませんか!!!」
「せめて3分はもってください!!」
「……結局何の用なの?」
落ち着いて話ができるようになるまでしばらくかかった。
「話というのはあの2人のことについてです」
桐花がなんとか仕切り直そうと口を開いた。
ちなみに俺は桐花からめんどくさいから喋るなと指示を受けた。……解せぬ。
「あの2人?」
「伊達さんと飛田さんです」
「……誰?」
「さ、さすがに御冗談ですよね?」
流石エリカ様だ、シビれるね。
「あそこで揉めている2人が揉めることになった事件について聞きたいんです!」
「ああ、あれね。私も知ってることなんて大してないわよ」
エリカ様は気怠げに答える。
その表情は明らかに面倒くさそうではあるが、スマホをポケットにしまったあたり話はちゃんと聞いてくれそうだ。
「文化会館の予約についてちゃんとされているか電話したんですよね?それはいつのことですか?」
「ホワイトボードに誰かわからない、予約しましたって書き込みがあったのを見てすぐよ。その時部長もいましたよね?」
「え、うん。朝練のときだよね。あの日も守谷さん、僕より早く来てたから驚いたよ」
「部長が遅いんです。……部長なのに」
「ご、ごめんなさい」
部長相手にも遠慮のないその態度、やっぱスゲえぜ!エリカ様!!
「誰が予約してきたのか聞かなかったんですか?」
「わざわざ聞かないわよそんなこと、こっちは予約さえされていればそれでいいんだし。……流石に予約時間が間違えていたなんて思わなかったけど。」
そういってエリカ様はため息をついた。……ああ、その姿もたまらない!
「次に聞きたいのはカギが無くなった件についてです。確か職員室前の落し物箱にいれてあったとか?」
「ええそうよ、あの日部長から少し早めに来るよう連絡があったから朝早く学校にいって2人でずっと探し回ったわ、そんなとこにあるなんて完全に盲点だったわ」
「あれ? 部長には連絡先教えてるんですね」
「当然よ、何かあった時知らないと困るわ。こんなんでも一応部長なんだから」
「……はい、一応部長です……」
部長が意気消沈していても追い打ちをやめない、見事なドSっぷりだ。
そして桐花は部長に質問を投げかける。
「誰が書き込んだか部員の皆さんには聞いてみましたか?」
「当然聞いたよ。ただ誰も書き込んだ覚えはないって。……まあ、間違えたのが後ろめたくて言えなかっただけかもしれないけど」
まあそりゃそうだろ、部全体に迷惑をかけた形になるからな、さすがに言い出しづらくなるな。
「鍵の管理は誰が?」
「いつもは僕が持ってるんだけど、最近は遅くまで飛田くんと伊達くんが残ってるからね、あの2人が持ってることが多いね」
「この鍵だけですか?」
「ううん、清水先生も顧問として一つ持ってるよ」
そこで部長は思い出したかのうように
「そういえばカギが無くなったあの日、守谷さんも少し学校に残ったよね?」
「……ええ、清水先生に話があったので。」
「清水先生に? どんな話?」
「部長、それセクハラです」
「えっ、えー! そうなの? ごめん!」
エ、エリカ様にセクハラだって! 部長!あんたスゲえ漢だ!!
「吉岡さん、さっきから顔がうるさいです」
怒られた。
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