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暴走する恋愛探偵に巻き込まれたチンピラの優雅な学園生活  作者: ツネ吉
第三章貴方の下僕になりたいのです
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4

「状況は理解できました」


 これまでの話を桐花は整理した。


1 文化会館の使用予約が予定の二時間遅れてされていた。予約した人物は不明だが飛田は伊達を疑う。

2屋上練習後、合唱部のカギが紛失。伊達は最後まで残っていた飛田を疑う。

3元々守谷をめぐり仲の良くなかった2人はこの件で完全に決裂。以降揉め続ける。


「まあ、とりあえず揉めてる原因はわかったな。で、どうすんだ?」

「うーん、ひとまず間違えて予約した人物が誰なのか、何故屋上からカギが消えたのかを調べてみようかと思います。ただ……」


 桐花はどうにも歯切れが悪い。


「ただ、なんだ?」

「……清水先生からの依頼は合唱部の揉め事の解決です。それがわかったところであの2人の関係が改善されるとは思いません」


 確かに、あの2人の関係は険悪と言ってもいいだろう。実際、俺たちが合唱部に来た時には既に始まっていた2人の口論はいまも続いている。いや、それどころかさらに激しくなっており今にでもお互い胸ぐらを掴みかかりそうな勢いだ。


 事件の原因がわかったとして、それであの諍いが落ち着くとは思えない。


 しかし杉原部長は


「いや、事件の真相を突き止めてほしい」


 そう強い意志のこもった目で言った。


「それがはっきりしなかったせいで、僕はあの2人にケンカはやめるようにしっかりと注意できなかったんだ。……本当、情けない話だよ」

「部長さん……」

「でも僕はこの合唱部の部長だから、事件の真相さえわかればあの2人の事は僕がきっとなんとかする」


 そう言う杉原部長には一つの部活を任された長としての頼もしさがあった。


 最初に会った時は少し頼りない印象があったが、……第一印象なんてあてにならない、そんなことよくわかってたつもりだったのにな。


「わかりました、私が必ず事件の真相を突き止めてみせます!」



「とりあえず、あの2人にそれぞれお話を伺いましょうか」


 事件の当事者の話を聞く、事件捜査の基本だが……


「……あの2人、今まともに話を聞ける状態か?」


 伊達と飛田の至近距離での口論はまだ続いている、熱が入りすぎて今にもキスしそうな距離だ。


「吉岡さん、お願いします」

「はあ!俺か!嫌だよあの2人に割って入るの」


 できれば近づきたくない。絶対俺まで巻き添え食らう。


「まあまあ、合唱部と清水先生のためですよ」


 ……それを言われたらやるしかない。


 俺は顔面がお互いの唾まみれの2人に近づき声をかけた。


「あー、お2人さん、ちょっと話いいか?」

「あぁっ!うるせえ! 引っ込ん……で、ろ……」

「今忙しいんです! 後にし……て……」


 案の定噛み付いてきたかと思いきや、俺の顔を見た途端に先ほどまでの勢いを失い、顔を青ざめさせた。


……うん、まあそういう反応は慣れてますよ。慣れていますけどね!


「ふふふ、さすが吉岡さん。学園一の不良の名を持つだけのことはありますね」

「うるせえよ」


 2人がおとなしくなったのを見て桐花がこちらに近づいてきた。本当にこの女は俺を利用することに関しては天才的だな。


「伊達さん、飛田さん、お2人に聞きたいことが

「げっ!! お前は桐花 咲!!」

「な、なんで恋愛中毒者(ジャンキー)のあなたが?!!」

「……女の子に対してその反応はひどくないですか」


 自業自得だ自業自得、日頃自分がやってることを胸に手を当てて思い出してみろ。


「とにかくですね! お2人にはそれぞれお話があるので個別によろしいでしょうか!!」


ぜひ4件目のブックマーク登録をよろしくお願いします。

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