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「犯人がわかったって本当か?桐花さん」


 先日盗まれた物は小泉がいつも付けていたリストバンド、休憩中に外してトイレに行って戻って来た時にすでにロッカーの中から消えていたらしい。


 部活は当然中断、そして今日更衣室に小泉と大木、そして部長の3人が集められた。


「ええ部長さん、今からそのことについてお話させてもらいます」

「……その前にお前なんだその格好?」


 そう言う桐花は何故か学校指定のジャージ姿、探偵が推理を披露するには似つかわしくない格好だ。


「それも後でわかります、今は……」

「今は犯人が先だ! 一体どこのどいつだ! そのストーカー野郎は! どこにいる!」


 気色ばむ部長、それも当然だろう部内で4回も更衣室で盗みがあったんだ。


「いいですか、まず始めに言っておきます。犯人はストーカーでもなければ、外部の人間でもありません。

犯人は女子バスケ部の人間です」

「なっ! そんな、まさか!」


 桐花の言葉に部長はうろたえていた、自分の部活の部員が犯人だと言われれば当然の反応だ。


「……なんでそう言い切れるの、桐花さん?ストーカーでもなければカナのタオルや水筒なんて盗もうとなんてしないと思うけど」


 大木の言う通りだ、女子の使用済みのタオルや水筒を盗むなんて完全に変態の所業だ。あんなにも簡単にカギを開けることができる窓なら侵入も容易い。


「簡単な推理ですよ、大木さん」


 いいですか、と一拍おき桐花は自らの推理を披露した。




「この学園において、小泉さんに好意を抱いている男性10人のアリバイを調べたところ、全ての犯行を行える人物はいませんでした!」

「いやそれ推理じゃなくてただの力技じゃねか!!」


 あまりにもあんまりな答え合わせに俺は全力でツッコミをいれた。何が推理だ、こんなのお前しかわからねーだろ!


「前回ちょっと悔しかったですからね、がんばりました!」


 前回っ……ああタケルの時の。でも頑張る方向が違うと思う。


 一人で何調べてたかと思ったら、そんな地道なことしてたなんて……


「だ、だか! 君が知らないだけで他に小泉に好意を寄せいる男がいるかもしれないだろ! 学外の人間とか!」

「その可能性もあります、部長さん。しかし更衣室の窓から侵入することは不可能なんです」

「何故だ! 窓のカギが簡単に開けられることは君が見せてくれただろう!」

「ええ、窓のカギを開けるのは簡単です。しかし、誰にも気づかれずに窓のカギを開けることはできません」


 桐花は更衣室につけられてる窓に近づき軽く叩いた。


「見てください、更衣室の窓は覗き防止のために曇りガラスとなっています。これでは中の様子を知ることはできませんが、もし窓の外から人が近つけばはっきりと人影がうつります。以前お見せした通りカギを開けるには窓に近づき窓全体を揺らす必要があります。人の出入りが激しい更衣室の中に誰がいるかもわからない状態でそんな危険を侵す人間はいません。そうなると必然的に更衣室に入るには体育館中の出入り口から忍び込むことになりますが、部活中の皆さんや、更衣室の入り口を見張っていた吉岡さんにバレずに忍び込むことなんてできないでしょう」


「だが、部員が練習に集中して気づかなかった可能性があるだろう!」


 部長は必死に訴える。


「それにその男、吉岡くんは部活中の私たちを時折イヤラシイ目で見ていた! 私たちを視姦するのに夢中で犯人の侵入を見逃していたかもしれないだろう!」

「オイッ! なんちゅう事言いやがる!!」


 自分の部員の疑いを晴らすのに必死なのはわかるけど、もっと他に言いようがあるだろ!!


「どちらも、否定できません。」

「否定しろ!!」

「ですが最近学校で流れている噂が、犯人は外部のストーカーであるということを決定的に否定するんです」

「噂?」


 なんだ噂って?


「はい、学園一の不良吉岡アツシが女子バスケ部の部員全員を自分の女にしようとしているという……私が流した噂です!」

「てめえ! なんてことしやがるっ!!!」


 思わず声が裏返るほどの、悲鳴にも似た叫びが俺の口から出て来た。


「最近以前にも増してヒソヒソされてるなと思ったのはその噂のせいか!? じゃああれか、お前がわざわざ扉のあんな目立つところで監視するように指示したのもその噂の信憑性を高めるためのものだったのか!?」

「もちろんです!」

「もちろんです! じゃねえよ!! どうしてくれんだ俺の学校生活!!」


 ただでさえ妙な悪評が立ってんだ、これ以上俺をいじめて楽しいか?


「とにかく、不良が狙っている女生徒の私物を、ましてやその不良の目の前で盗むなんて度胸、ストーカーなんて卑怯なことをするような人間にあるわけがありません」

「……じゃあ、誰なんだ、そもそもなんで小泉の私物なんて盗む必要があるんだ……タオルとか、水筒とか……」


 とうとう部長も犯人が部員であると認めたらしい。見ていて気の毒なくらい憔悴している。


「犯人の狙いは最初のストラップだけです。後のものは自分の犯行をストーカーのものであると偽装するために盗んだんです」

「……誰なんだ?」


 桐花はその疑問には答えず、部長ではなく大木に向かって急な質問をした。


「大木さん、膝の具合は大丈夫でしたか?」

「え? ええ……病院に行ったけど特になんともなかったけど?」

「膝の痛み、成長痛ではありませんか?」

「な、なんでそれを!?」


 成長痛? 大木の身長はまだ伸びるのか?


「ということは足のサイズも大きくなったんじゃありませんか? 小泉さんとお揃いのシューズ、小さくてきついんじゃないですか? 確かバスケットシューズっていい物買おうとすると結構なお値段するんじゃありませんでしたっけ?」

「おい待て、桐花それって……」


 なんだその質問は?それじゃあまるで……


「そうです、犯人は大木 茜さんあなたです」


タイトルを大幅に変更しました。これでこの小説に目が止まり、読んでくれる人が増えると幸いです。

タイトルはこれからもちょくちょく変更すると思います。

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