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暴走する恋愛探偵に巻き込まれたチンピラの優雅な学園生活  作者: ツネ吉
第一章ゴリラキープアシークレット
11/62

10

「本当に申し訳なかったっす!!!!」


 やや興奮状態の石田と、それを見て涙の引っ込んだ九条を連れ、俺たちはもはや最近お馴染みとなった空き部室へと移動した。


 そして部室に入るなり、いきなり土下座を披露してきた。


「ちょ、ちょっと! やめてよ!石田くん!!」

「自分の判断は間違っていたっす!! あんな中途半端なことをせず、桐花さんと吉岡くんを信じていれば!! こんな事にはならなかったっす!!」


 自分のせいっす! と土下座を崩さず後悔を口にする石田。


 こんな事ってのは、柔道部が荒らされた事か?


「……とりあえず顔を上げろよ。話が進まない」

「……うっす!」


 俺が促すとやっと石田は土下座の体勢を解いた。


……うわぁ。床に思いっきり額を擦り付けていたせいか、額が真っ赤だ。


 顔を上げた石田に、桐花が問いかけた。


「石田さん。あなたは剛力さんの最近の不調の原因を知っている。ですが、そのことを私たちに話すと剛力さんにとって不都合な事がある。だから話せなかった。そうですね?」

「……はいっす!」


 ここまでは俺たちの予想通り、問題はその不都合な理由だ。そして、


「そして、今回の柔道部が何者かに荒らされた事件。この事についても何か心当たりがある。間違い無いですね?」

「……はいっす!!」


……やっぱり。この事件とタケルは何か関わりがあるのか。


「話してくれますね?知っている事全てを」

「うっす!! 今度こそ、全部話すっす!!」


 ついに石田の重い口を開かせ、事件の核心へと迫ることができた。



「1週間前のことっす。練習が終わって帰宅した後、忘れ物に気づいて部室の更衣室に取りに戻ったんす。そこに思いつめた顔の剛力くんがいたっす。扉を開けて更衣室に入った自分に気づかずにベンチに座り込んで手紙を見てました」

「手紙?」

「……これっす」


 そう言って懐からくしゃくしゃになった紙を何枚か取り出し見せてきた。

 

「な!? これって!!」


 そこには、


『九条真弓と別れろ』

『お前は九条真弓にふさわしく無い』

『九条真弓と付き合うなんて絶対に許さない』

『九条真弓はお前が手を出していい存在じゃ無い』


 ずらりと並べられた悪意の言葉の数々。九条に対する歪んだ好意。


「おまえ、これ!!」

「……剛力くんが捨てたものを念のために拾っておいたんす。それもほんの一部っす。毎日送られていたみたいっすから」

「こんなもんを……毎日。いや、待て待て。あの図太い神経したゴリラがこんなもんで……」

「それだけじゃないんす!! 毎回手紙と一緒に剛力さんと九条さん、お2人が一緒にいるところを隠し撮りした写真が送られていたんす!!!」

「写真て……そんなの……」


 ただの悪戯や嫌がらせなんてもんじゃない。れっきとした脅迫だ。


「剛力くんから必死で口止めされたんす。こんな手紙もありましたから」


 そう言ってもう一枚の紙を取り出した。


『このことを誰かに喋れば、お前もあの女も後悔することになる』


「……だから、だからあいつは! 九条を守るためにあんな嘘をっ!!」

「わ、私のために……じゃあ! 柔道場が荒らされたのも!?」

「……多分、手紙の送り主の警告だと思うっす」

「……そんな」


 最近、九条と一緒に柔道部の連中に話を聞きまくった。……タケルと復縁するために。


 それを知ってあんなことを!?


「私のせいだ……やっぱり私のせいで、タケルくんは……」

「違う!! 違うぞ九条!! お前が悪いなんてこと絶対に無い!! 悪いのは、こんなふざけた手紙を送ってきたクソ野郎だ!!」


 ふざけやがって、ふざけやがって!! こんな手紙なんかのせいで、あいつはあんなにも……


「吉岡さんの言う通りです。悪いのはこの手紙の送り主、この一連の事件の犯人です」


 石田が話し始めてからここまで沈黙を守っていた桐花が口を開いた。


「そうだ! 桐花、お前確かこの学校の恋愛関係は全部把握してるって言ってたよな? なら九条のことが好きなやつのことがわかるんじゃないか!?」


 それさえわかればこの事件は解決だ!!


 だが桐花は苦い表情を浮かべた。


「……知っています。九条さんに好意を寄せている人を」

「! なら……」

「多すぎるんです! この学園における九条さんの人気はアイドル並みなんです! 九条さんに熱狂的な好意を抱いている男子は私の知る限り30人以上います!!」

「さっ、30!!」

「女子人気も凄まじいですからね、犯人候補はその倍はいると思います」

「……まじかよ」


 事件解決に近づいたと思ったら、また遠くなっちまった。

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