雪3
シルバはコハクとムーを背中に乗せて氷魔法で先程の倍以上の高さの柱を建てる。
足場もない柱を軽く駆け上ると、頂上を平らにして着地した。
【よし、ここから滑り下りる台を作るぞ!】
シルバは魔法で凍らせながら降りて行った…
【ミヅキー!出来たぞ、一緒に滑ろう】
シルバがミヅキを呼びに来ると
【えーなんか怖いんだけど…】
ミヅキが躊躇する
【大丈夫!俺も滑ったが問題無かった、それに俺の背中に乗って降りればいいだろ?】
【うーん…コハクとムーも滑ったの?どうだった?】
コハクとムーはピョンピョンと駆け回り興奮している様子…
【楽しかったみたいだね、なら行ってみようかな】
ミヅキが笑って頷くと
「ミヅキ、何処にいくんだ?」
ベイカーがどこかに行こうとするミヅキに近づいてきた。
「シルバが滑り台作ったんだって、だから今から滑りに行くの」
「何!?じゃあ俺も行くか!リュカ達も呼ぶか?」
「やめた方がいいかも…私が作ったのより高いらしいし危険だと思うよ」
ミヅキが苦笑すると
「じゃあ俺が滑って安全性を確認してやろう!」
そう言うと、ベイカーさんがシルバ特性滑り台に向かって行った…
滑り台の前に来ると…
「おい…これどうやって登るんだよ…」
柱の先を見上げてベイカーが聞くと…
【はっ?こうやって上るに決まってるだろ…】
シルバが先程の様に柱を駆け上って行くと
「なるほど…」
ベイカーがシルバが付けた足跡を足場に登って行く。
「ベイカーさん凄い…」
ミヅキが垂直に伸びた、ただの柱をスイスイ登って行くベイカーを見つめていた。
ベイカーが頂上に着くと
「じゃあ滑るぞー」
上からベイカーさんの叫び声が聞こえてきた。
「なんだ、まぁまぁしっかりとしてるな。しかし高いな滑り台がクネクネ曲がってる様に見えるぞ…」
ベイカーが警戒しながら滑り出した。
「うおぉぉぉー!」
先程よりもきつい角度にスピードがグングンあがる!
右に曲がったり左に曲がったりする度に外に投げ出されそうになり踏ん張るとスピードが少し落ちた。
「げっ…」
途中前方に一回転する場所が出てきた…
「まじかよー!」
ベイカーがそのままグルンと一回転すると…スピードが足らずに上まで行かず真っ逆さまに落ちてしまった。
「うわぁぁ!」
下にあった滑り台を壊しながらどんどん落下すると…
ズボンッ!
雪の地面にめり込んだ。
【シルバ!ベイカーさん落ちたよ!】
【あれ?俺達がやった時は回ったんだけどな…ベイカーはスピードが足らなかったんだろ】
「ベイカーさん!生きてる!」
ミヅキがベイカーを引き上げようとするが重くて上がらない…シルバがしょうがなしに咥えて引き上げてくれると
「シルバ!落ちたじゃねぇか!こんなのミヅキに滑らせるな!」
【ふん、俺がいるんだ落ちてもちゃんと怪我なく着地できるわ】
ベイカーに向かってフンっと鼻息をかける…
「こいつ~」
シルバは構わず
【じゃあミヅキ行くか?】
ミヅキに微笑んだ…
【いやいや!壊れちゃったし行かないよ!】
ミヅキが嫌だと首を振っていると…巡回を終えたアラン隊長が戻ってきた…
「ミヅキ~鍋食べに来たぞ~」
ベイカーがアランを見てほくそ笑む…
「アランさん、飯食う前に遊ぼうぜ…ほらミヅキ達が作った滑り台だよ…」
ベイカーがシルバの滑り台を指さす。
「あーあっちでガキどもが遊んでたやつか?」
「そうそう、こっちは大人用だよ」
「ふーん、じゃいっちょ滑って見るかな…」
アランが柱を見つめると、躊躇なく登って行った…
「いいのかな、途中壊れてるよ?」
「アランさんなら大丈夫だよ、仮にも部隊長だぜ」
ベイカーが笑うと
「そっか!」
まぁ落ちても大丈夫かな?
ベイカーがワクワクしながらアランが滑るのを待っている。
「じゃあ行くぞー」
アランが滑り出すと…
「うほぉっ!」
ベイカーの目論見通りアランがベイカーと同じ場所から落ちると…
ズドンッ!
そのまま下まで落ちてきた…
「アラン隊長…大丈夫?」
ミヅキが落ちた穴を覗くと…ガバッ!とアランが雪の中から現れた。
「ベイカー~巫山戯るなよ!凄い速さだわ、途中回らねぇし台が壊れてるじゃねぇか!」
ベイカーの胸ぐらを掴んで睨みつける。
「あれ?そうだったかな?」
ベイカーがとぼけていると
「何をやってるんですか?」
騒がしい二人のそばにセバスさんがやってきた、アランはセバスを見ると…ニヤッと笑い。
「黙ってろよ…」
ベイカーにコソッと耳打ちした。