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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
抱っこ人形、教師になる編(第6章)
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7


放課後、エルク様の名前で魔力操作準備室に数人の生徒が集められた。

第一皇子アイザック

第二王子レナード

公爵子息ジュゼ

侯爵家子息カースティン

それからトーマ。


とりあえず私が関わった、国王陛下の今後のためにチョイスした人達+外交問題に関わるメンツだ。


アイザック殿下、ジュゼ様は特に問題もなかった。

のでしばらくメガネを使い出来るだけいい結界を学園にいる間だけでも張るように伝えた。そのためには魔道具を作る必要がある。


参考にしたトーマの結界、高性能すぎて多少魔力操作を覚えた程度の彼らじゃ使えなかったのだ。

腐っても魔国の王太子、基礎スペックはとんでもなく高かった。


そしてもちろんトーマも問題ない。



けれど、カースティン様とレナード殿下は問題アリだった。


「リリー、なんだこれは?」


「このまとわりつくものは一体…」


まずメガネを起動してもらい客観的に自分を見てもらう。

カースティン様の『ソレ』は比較的に薄目だったが、レナード殿下の『ソレ』は私が付けていたものより濃かった。


「それは一種の洗脳の作用の疑惑があります。ですので解除させてもらってもいいですか?解除には場合により今持っている魔力を全て使い果たした状態になるかもしれませんが」


「解いてくれ、気持ち悪い」


「そんな自覚は全くないが頼む」


そんなすぐに信用しても良いのか?と思ったが、まあ付き合い長いからかな。

ふと思い、普通の魔力遮断結界で『ソレ』を包み込む。が、『ソレ』は包み込めず漏れ出てきた。

これは厄介かもしれない

そう思い2人の周りの『ソレ』を消し払う。


すると私を見ていたレナード殿下の顔がポンッと真っ赤になった。

真っ赤になった……。


そしてそのままふらっとよろけたところを、察していたエルク様が手を貸して受け止める。

カースティン様は目眩など起きてないみたいだったので、レナード殿下の魔力だけ吸い上げて、せっかくだから魔力塊にして渡す。



なお、私の魔力は一切入ってない純レナード殿下の魔石である。

もう一度言う。私は操ったが、私の魔力は一切入ってない。



「…ああ、これは確かに洗脳のたぐいだな」


そういうレナード殿下の顔は怒りと何かで真っ赤に染っていた。

そんな殿下の様子を見て、ほかのメンツも事実を受け止めたらしく頷いた。


とりあえずレナード殿下とカースティン様にもメガネと後日渡す魔道具での結界の維持を義務付けて、トーマとエルク様以外の人には帰ってもらう。



「さてどうするんだ。『あいつ』処分できないのか?」


「『彼女』が何かした物的証拠がないので無理だそうです。彼女の魔力が原因とわかっても目で見えるだけの魔力では…」


「一目見るだけでわかるんですけどねえ」


「使えねえ法律だなあ。となると後手後手に回ってやられるのを防ぐしかねえか。俺の結界張ってもいいけど、性能いいけどめちゃくちゃ魔力使うぞ?」


「魔力問題は最悪トーマから魔石絞り取ればいいけど発動回数が多く、護衛対象も多いから実用的じゃないね…」


そもそもトーマの結界で防げているものの、『アレ』が魔法なのか呪いなのかなんなのかがわからないから難しいのだ。


「おい!搾り取るってなんだよ!」


「御協力ありがとうございます」


「お前の使え……って、お前のはダメだな。ったく」


「トーマのは何かないの?」


「俺は知らなかったんだが、魔力コストがほぼ全ての魔法でとても低いらしい。俺にとっては当たり前の事だったんだがなあ」


低燃費魔石が作れると。

なるほど、それは無難で万能で便利だね。トーマの様子からすると特殊効果が無くてがっかりしてそうだが、十分使い勝手はいい。


「とは言え現実問題として問題は起きるでしょう。授業でメガネを配りますし、見えるんでしょう?ソレ。見えたら全員の知るところになってしまいます」


「ああ、確かにそうですねえ」


そうだ、誰でも見えるようなるのか。

エルク様の助言でやはり彼女になんらかの対処が必要と考えを改める。

もちろん周りにも対処するが。


「とりあえず……魔力封じをつけれたら確実に効果が出るのはわかるけど、魔法を学びに来てるのに魔力封じたら不味いです…よねえ?」


「それならいっそ退学の方がいんじゃね」


「……理由もなく男爵令嬢に魔力封じをつけるのは…」


ですよねー。ああもうめんどくさい。

でも、警戒のためにメガネをつけた旦那様は麗しい。


「とりあえずリリア、貴女はトーマ殿下の結界を彼女の『ソレ』対策の特化に突出したものの研究をしてください。殿下、御協力をお願いしても良いでしょうか」


「良いぜ。見返りも適当に貰うしな」


「私は対策したものを全生徒ないし、『彼女』にちゃんとした理由でつけられる方法を王宮と考えます」


「わかりました」


すぐにサラサラと書類を書いてイェスラに渡し、また書いて帰ってきたイェスラに渡すエルク様。

好きな人のメガネでお仕事をうっとりと見てから、トーマの方を見ると呆れ果てた顔で私を見ていた。


「ほら、俺の結界オリジナルだ。見ただけでわかるか?」


「わかるけど………詰め込みすぎじゃない?これだけ複雑だと覚えられないなあ…」


「どーも。新作の魔法陣開発は俺の得意分野でね。とりあえず自分で解析するか?正直詰め込みすぎてどれを入れたのか俺も忘れた」


「ん、見てみる……あ、トーマそっちの魔道具起動して見てもいいよ」


映写機を指さすと、すぐにそれを起動したトーマがなんじゃこりゃ!とかワンダフォー!とか騒いでた。

それを無視してトーマの結界魔法陣を見る。


これ、すごいよくできてる。

私でもひとつの魔法陣に組み込めて4つの魔法くらいなのに


1…2…3……7?いや、8かな?

8つは見える。けどそれ以上も何かあるように見える。

とりあえず、見て取れる数の魔法陣を紙に書き出していく。


物理防御

精神防御

魔力防御

雑音防御

音量防御……ん、大音量限定かな。

あとは、なんだこれ。意思防御…?ん、害意拒絶の方がいいかな。


残りのふたつはよく分からなかった。


「エルク様、陛下とお手紙のやり取りをしているなら許可を頂きたいのですが」


「なんの許可だい?」


「カメラの基礎をトーマに教える許可を。ちょっとトーマの協力をしっかり仰がないとこれは無理かもしれません。あと大至急魔石をいくつか送ってくださいと。研究にも使いますが、とりあえず今すぐ防御手段は作った方がいいでしょう?」


「……わかった。その辺も伝えておくけど、彼に話すのは許可を待ってね」


「はい」



とりあえず許可がおりたらカメラでこの魔法陣の詳細を聞こう。

そう思いながらトーマの元へ行くとトーマは楽しそうに記録場に手や物を置いて、部屋の壁に色々と映し出していた。

最も講堂と違って部屋が狭いのでピントがあっていないけど。



「おいリリア!なんだこれすごいな!」


「明日からの授業で使う予定の映写機ですよ。人数が多いので全員に見えるよう黒板に書くのは辛かったので」


「ほー。すごいなこれ。大して難しい魔法陣を使ってる訳でもないのに……光魔法と、ん?これ俺の有形魔法を改造したのか?」


「ええ。重宝させてもらってます」


「ほうほう、映像を形にしてるのか。お前面白いの考えるなあ」


「もし改良点があったら言って貰えませんか?あ、後できたらこれも」


ついでに身体強化の新作魔法陣を渡す。

魔法陣開発に関しては確かにトーマはすごい。


「ん?なんだこれ……荒いな、あと無駄があるな………リリア、これちょっと貰ってもいいか?もうちょい魔力抑えるのと、あと発動時間短縮と、ん……副作用もさげられると思う」


「ぜひおねがいします」


「んでもいいのか、俺にこれ見せて。こんなの俺も使いたいぜ、情報漏洩じゃないのか?」


「トーマが個人で使う分には好きにしてくれて結構ですよ。ただ商品化とかする場合は私に許可をとってもらいたいですが」


「おっけーおっけー。むしろ許可もらえば良いのが驚きなくらいだけど。やっぱこっち留学してきてよかったわー、お前の発想面白いし斬新だし、かかわれて楽しい」


その後トーマが部屋で集中したいと言って2枚の魔法陣の書かれた紙を持って寮に帰った。

ちなみに魔石はトーマにもせびって、10個ほどピンク色の魔石を貰った。


その後カメラの許可が無事に陛下から出て(私と同じく商品化するなら許可を貰うが身内で使う分をトーマが作るならいいと許可が出た。つまり魔国の王族は使っていいという許可である)エルク様は王宮との話を詰めて、私はトーマの魔法陣を懸命に解読してから帰った。



そして帰宅して気づく。映写機に写すための教科書もどきを作らねば!!というわけでその日は泣く泣く夜遅くまで教材作りに励んだ。



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