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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
完落ち編(第5章)
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14


母様も父様も私が寝込んだことにしてくれることは了承してくれた。

むしろ私が外で何をするか警戒していたらしく、その方がいいと喜んでくれている横で。


「リリアは犯人探しは義父上に任せるって言ってましたよ」


そう笑うエルク様になんかガクブルしたのは秘密だ。

旦那様つおい…。




「ねえたま、だいじょうぶ?」


「ありがとうリズ。でもね、庭の木は戻してきなさい。お見舞いは小さなお花がいいわ」


「あい」


自分の身体以上の木を引っこ抜いてお花持ってきた!と言い出した妹には正直驚いた。そして母様やエルク様が私のすることにいつもこんな気分になってたのかな…と遠い目をしながら


窓から木を放り投げて

窓から飛び降りて(3階です)

小さな花をもって窓からリズが帰ってきた。


すごい3歳児だわ。と思うもそれは人のことが言えないので黙っておく。

キャロル家の教育方針はある程度自由ですものね。


「リズ、そんなに飛び回って疲れたりとかしないの?」


「へーきよ!リズ、げんき!」



ふむ。これほど頻発して身体強化を使っている割にたしかにリズはずっと元気だ。

普通ならば発動時と発動してない時のギャップで疲れやすくなるものだ。だから、身体強化は必要な時だけ。がセオリーなのだが…


リズはパッと見魔力量はそう多くない。明らかに魔力に見合った発動時間や回数じゃない。


そこのとこがちょっと気になって。



「リズ、ちょっとこれを全部の力で握ってみて?」


「あい!」


ベッドの上に座りリズを膝に乗せて

リズに鉄で出来たペンを握らせた。

ペンはすぐにひしゃげて壊れたがそのまま握らせて、リズのからだをよく見る。


……やっぱりだ。身体強化が発動はされてるが、既存のものと違って要所のみだ。

無駄な強化をしないことで、コストと負担を抑えるのか。


これは使えるかもしれない。


「ね、ねえたま、まだあ?」


「ああ、大丈夫よ。ペンは気にしないで、ありがとう」


頭を撫でてあげると嬉しそうにリズが笑う。するとそこへ、書庫へ行ったエルク様が数冊の本と絵本を持って帰ってきた。


「お待たせリリアとリズ。適当に選んできたよ」


「ありあと!にいたま、よんでよんで!」


「はいはい」


お姫様のおねだりに笑ったエルク様がベッドの近くに椅子を持ってきて絵本を開いて、耳に心地のいい声で絵本を読みだす。


リズ、ナイスだ…!


私もリズを抱き抱えたまま、エルク様の読み聞かせと言う最高のご褒美を堪能することにした。



そして満足したリズがカレラと一緒に出ていくと

エルク様は書類などを持ってきた。

そして机を借りますよ。と言って私の机で仕事を始めた。

うーん、清々しいほど信用がないのか。はたまたエルク様がさびしんぼうで離れたくないのか。


どっちにしてもエルク様と同じ空間にいる事はなんの問題もないので、少しだらしがないがベッドで精霊たちとダラダラしながら作戦会議を開始する。



「じゃあ身体強化の魔法陣の改造計画を始動します」


『はーい』


『はいはい』


「元は全身強化と部分強化どっちがいいかなあ。どっちもか」


負担がないのなら全身強化の方が魔法陣がひとつで済むので楽だろう。

そう思いイェスラリェスラとあーだこーだ言いながら、部分強化の範囲指定効果を全身強化の回路に組み合わせて改造に改造を重ねた。


「待ってたんまオーバーオーバー痛いぃぃぃぃ」


部分的に過剰強化がされた(実験台の人型イェスラが悲鳴をあげたレベル)


失敗したので、魔法陣を組み直しイェスラが可哀想だったので自分で使ってみる。


「まっ、リリやるなら俺がやるって!」

「リリア!?何危ないことやってるんですか!」


「お?おお?これはすごい」


腕を軽く振っただけでブォンと轟音がした。

試しに指先でベッド横のサイドテーブルを押したら一瞬で部屋の中ほどまで移動した。……ちょっと強化されすぎかな。


「ほんとに?ほんとに平気か?魔力で骨きしんでない?」

『待って!解除する前にリリの血流調整するから!解除した途端に出血とか嫌よ!』

「大丈夫じゃないか……う、ぐ、ぐ」


「『リリ!?』」


ヘラヘラ笑いながら解除したら腕が硬直した。

痛い、すごく痛い。

しかもプルプル震える。


「どうしました?」

「ひゃっ!?さ、さわんないでくださ…」


慌てたエルク様に手を取られて悲鳴が上がる。

何だこの痛みは。なんかやばいのか。疑問とともに現在血流調整をして体の様子をみていてくれているリェスラは簡潔に言った。


『強化されて無理をした筋肉の筋肉痛よ』


あ、はい。失敗ですね。




とりあえず身体強化の魔法陣は作者筋肉痛のため中断することになった。

というか、3人の保護者に怒られた。安全が確認されてない魔法陣を試すなと。身も蓋もない怒られ方でぐうの音も出ない。


図らずも、本当に体の具合の都合で大人しく休むことになった頃。



「りりたん大丈夫かああああああ」


蒼海の賢者が人形を抱えてノックもせずに飛び込んできた。


「蒼海の賢者様!賢者様の方こそお怪我は…」


「ノンノン、あおじーちゃんと呼んでおくれりりたん。わしも他のやつもめっちゃ元気じゃて、ほれほれ!」


そう言いながらからだを機敏に動かす蒼爺。

ぶっちゃけ機敏に動きすぎてて腰がボキッとならないか逆に心配だ。


「そんなことよりりりたん、すまんかったのう。怖がらせてしもたのう」


そっとエルク様がベット脇に寄せた椅子に座ると、蒼爺は大きなぬいぐるみを渡してくれた。

リズより大きいかも。


「大丈夫です。御足労を願いすみません」


「良い良い、魔術棟はまだちらかってるでのう。あんな場所にりりたんを呼ぶわけには行かんじゃろて」


「でも、紅蓮の方や黄金の方にも御逢いしたいです」


頭を撫でてくれる蒼爺の手を取り。

彼の魔力を吸いあげる。蒼爺は驚いてはいたが、好きにさせてくれた。


そして、私と蒼爺の魔力を混ぜて魔力塊を作り、魔石を作り上げる。

できた魔石は茶色だった。

興味深そうに魔石を見る蒼爺の耳元にそれを持っていきーーーー



『あーあー俺リリのだいしんゆー』


気を使ったイェスラが一言喋ると、蒼爺はカッと目を見開いた。


「り、りりたん、まさかこれが今話題の…」


それには返事せずにっこりと笑うと、蒼爺はローブの懐から小さな妖精を取りだした。

緑色の服を着た小さなおじさん。それは蒼爺の手のひらの上で眠そうにあくびをした。


「き、聞こえるかグリーンマンよ…」


蒼爺の耳元に石を寄せているので私には聞こえないけど。

グリーンマンの口元が動き、蒼爺が驚愕するのは見えた。


「ま、まじか!まさかこの歳になってお前の話がわかるようになるとは思わんかった」


そして泣きながら妖精と会話をする蒼爺。


蒼爺はそのすぐあと、積もる話があるから帰る。また来るからなと言って去っていった。


「紅蓮と黄金も近いうち必ずこさせる」


そう言った通り、その翌日には黄金の賢者が。翌々日には紅蓮の賢者が来た。


そして4日間の仮病が終わったとき。

ついでに作っていた低コスト低副作用の身体強化の魔法陣も完成した(イェスラの大協力の元)

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