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その後魔力が薄まり城は徐々に元の騒がしさを取り戻した。
双子ごっこがツボに嵌ったリェスラと、私たちのフォローを素敵に入れてくれるエルク様と父様と陛下の元へ行くと、そこには既にトーマやアイザック皇子レナード皇子、妃殿下も居た。
「リリア・キャロルとエルクよ、この度は城を救ってくれて礼を言う」
「私は大したことはしていません」
陛下の前で膝をつくと、すぐに楽にせよと言われてリェスラと手を繋いで並ぶ。
父様がなんかとても嬉しそうなのはスルーすることにしておく。
「トーマ王子のこともお主が静かに配慮をしてくれたおかげでなんとか大事にはしないようにしよう。原因を知るものも今ここに居る者だけだし、問題解決の矢面に居たのもトーマ王子だしな」
「ありがとうリリア、助かった」
「ついてはリリア。お主の論文の発表も終えたことだし……長らく待たせてすまぬな、お主に『賢者』の称号を与える。これからは魔術棟の出入りを自由にし、先達賢者たちと共に国の発展に貢献してくれ」
やっと、なれたか。
陛下に促されて父様が持ってきたのは賢者のみ着ることを許されているコートで。
「ありがたく頂戴致します」
深緑のそれを受け取って、すぐに羽織って臣下の礼をする。
空気を読んだのかリェスラはすぐに小さな竜に戻って私の肩に乗っかった。
「うむ、精進せよ」
謁見の間から出て。
隣にいるエルク様を見上げる。
「これでエルク様を支えられる地位が手に入りました!」
「おめでとうリリア。むしろ私が支えるのが大変そうだ」
「エルク様は好きなようにしていいんですよ?エルク様の幸せが1番です」
『私はりりが1番よ』
『おいおいリェスラ、邪魔してやるなよー俺もりりが1番だけどなー』
「私もリリアが1番だよ」
肩とポケットから茶々を入れられるのも愛しい。でもやっぱり、優しく笑うエルク様が1番良い!
魔道具作成でお金も潤ってきて、領土も潤ってきて。
地位も手に入れた。
これからも彼の笑顔と、家族と、精霊とーーーーーーまあ、友人も入れるか。友人も大切にして行こうと、エルク様に抱き上げられながらそう誓った。
「リリア、この後の予定は?」
「今日は特に無いですよ。フェルナンド様達の指輪づくりで多めに時間を開けていたので」
「じゃあディナーでも一緒にして家に帰りますか?」
「はい!でもエルク様歩きますよ、重いでしょう?」
「ドラゴンの巣からお姫様を抱き上げて連れ帰るのが好きでしょう?それに鍛えてますからこの程度平気です」
「ああ、エルク様神話好きですもんね」
近い距離でくすくす笑いながら、仲良く馬車の置き場まで行く。
こんな幸せがずっと続けばいいと、思いながらーーーーーー。
余談だがディナーを食べてから家に帰ると心配していた母様に2人して怒られた。