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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
要らないSSRの利用法(第4章)
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8

しばらく抱きしめられて、エルク様は上を向いたまま私を離した。

そして袖で顔を拭うと赤くなった目で本当に本当に嬉しそうに笑った。


「ありがとうございますリリア。まさか私が魔法を使える日が来るとは思っても居ませんでした」


「私はずっとエルク様でも使えるように頑張ってましたよ。これも今後改良を重ねます」


これ、と言いながら首元の小瓶を揺らすとエルク様はまた泣いちゃうのかと心配するようなクシャッとした笑みを浮かべた。


「ありがとうリリア。本当にありがとう」


「大好きなエルク様のためなら当然です。だから、泣かないで」


服を引っ張り、

椅子に座らせて背伸びをしてその黒い髪を撫でる。

そんな私をエルク様はまたむぎゅっと抱きしめたーーーーー。






元々優しくて甘かったエルク様はその日から

私を溶かさんばかりに、甘く優しくなった。


それと同時に、独占欲を見せ始め腰が抜けそうなくらいに私が喜んだのは秘密だ。




「はい、出来ましたよ」


「りー姉さっすがー」


「さすがですわ!」


キャロル邸に来てくれたアイラ様とフェルナンド様の魔力を操り、彼等の魔力で作り上げた指輪。

互いの魔力の塊。これ以上ない、互いを感じられる指輪だ。


人の魔力を操るのは正直苦労したし7日間もかかった。

魔力塊を作ることも出来ないアイラ様の魔力を塊まで持っていくのも辛かった。

でもまあ、終わりよければそれでよし。


「それを魔道具にしたくなったら言ってくださいね」


「ありがとー。でも指輪壊れちゃったら嫌だからこのままでいいやー」


「わたくしも、使い捨てになんかしたくないですわ」


仲良しで何より。2人目を合わせてニコーと笑うさまに無性にエルク様に会いたくなった。

そんな彼は今は城で仕事中だ。しょぼん。



「で、指輪できたから帰っちゃうんですよね」


「そうですわね。御挨拶も済みましたし私どもは一度魔国に戻ることになります」


「そっかあ。フェルナンド様をよろしくねアイリス様」


ん?一度って、なんだと思ったが敢えて突っ込まずに流すとアイラ様はニコニコと笑って頷いた。

指輪を作るためには彼らが必要で、そのため滞在を延長していたらしいのでそこは申し訳ない。

でもお陰様で自信作ができた。余談だが、私の友人はまだ塊が出来てないらしい。

まあ既に精霊魔法を覚えていたから苦戦してるんだろうなーと適当に頑張れとは言ってある。


「でもりー姉、どうしてどうして城に来てくれなくなったの?僕達はお散歩気分で出れるからいいけどートーマは荒れ荒れだよー」


「すみません、体調の都合で」


「あーうん。エルク兄関連なんだねー。ほんと、いい笑顔ー。レオ兄もトーマもどんまーい」



帰国の相談と、トーマにいい指輪できたから自慢しないとーと言ったフェルナンド様とアイラ様を見送り。

今日の仕事を片付けて、早々に自室に篭もる。



試作品の魔力循環装置は、どんな内蔵電池になるか分からなかったから小瓶タイプにした。魔道具と一体化すると起動しっぱなしといった問題が起きる可能性があったのであえて別々にした。


けれど今はどんな形になるかわかっているので……魔道具に直接内蔵魔力…魔石を埋め込む。

そのための彫金をアジさんに頼んだ。石はこっちで埋めるから、と。

それがようやく今朝届いたのだ。


オシャレな花の形のブローチには、金と黒の彩色が付けられていて。

それのあっちこっちに大小様々な石の台座がついていた。

石を複数個に頼んだのも私だ。

使い終わった魔石は、消える。

こうすれば1個魔石が消えても突如使えなくなることは無い。

ブローチがぶっ壊れない限り何度でも石の補充は可能だしね!


1個1個、小さなそれに気合いで石を埋めていく。

最後に中央にある大きめな魔石を作る時には……気合を入れて濃濃濃密な塊で作ったら深い深い色の石ができた。

周りの小さなそれより薄い色の石が、逆に中央の石を際立たせてとても綺麗だ。

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