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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
要らないSSRの利用法(第4章)
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6



「とりあえずひとつ取りに行きましょうか。トーマ様、色々な色やタイプがあるので来て貰ってもいいですか?」


「そうだな。わかったエルク頼む」


移動の気配を感じてエルク様の膝から降りると2人が立ち上がった。そのエルク様の肩に乗るイェスラ。


「イェスラお願い」


『おう任せろ!いちゃもんつけたらまたぶっ飛ばす!』


「殺さないようにね」


「お前精霊に何言ってるんだ!?俺は一応王太子だからな、他国の!?」



うるさいピンクがエルク様に促されて強制連行されていくと、椅子に座りフェルナンド様を睨んだ。


「あーうん。ごめんねーりー姉。怒んないでよー」


「エルク様にあんな無礼、怒らない方がおかしいかと?」


「んー、いやねー?りー姉大っ嫌いなレナード兄上みたいなタイプなのは知ってたんだけどー。あれで凄いんだよトーマって。2重詠唱の仕組み知ったら、りー姉喜ぶかなって」


「え……?」


「あのねー…」


へにょへにょと笑っていたフェルナンド様が

初めて見る悪い顔で笑った。

アイラ様はわかっているのかいないのか。

天然系王子だと思っていたが、フェルナンド様は意外と強かなようだ。






「おかえりなさいエルク様、トーマ殿」


にっこり笑って帰ってきた2人を出迎えて、ピンクの手を取りテーブルへ連れていく。

え?なに?何があったのとブツブツつぶやくピンクを椅子に座らせてーーーーー


「2重詠唱の要の魔法陣、教えてくれますね?」


そう言ってピンクの前にペンと紙を置いた。

きょとんとしていたエルク様はそれを見た瞬間横を向いた。

その代弁かのようにイェスラがケラケラ笑いだした。



「なんだ、お前もついに知りたくなったか」


「ええ。だから早くお願いします」


急かした途端、それまでの怯えが吹っ飛んでニヤリと笑う姿はさすが王太子だと思う。

マウントを取りに来て、また偉そうな態度に逆戻りした。


「どうしたものかなあ?これ、俺の編み出したオリジナル魔法陣だしなー」


「そうですか早くしてください」


彼の要求はなんだろうか。恐らく今必死で通る最大の要求を考えているのだろう。


嫁にこいなんて言ったら殺してやろうと思いながら、促す。

正直、ガッツリ身構えていたので


「………アイラとフェルナンドに最高の指輪を作ってやってくれ。それでいい」


そんな要求をされて思わずぽかんとした。

え、この俺様が?

え、この傲慢が、そんなカードを切った?


「そんな驚くなよ。お前は正直やばすぎてうちに欲しい人材だ。だがそれが通らないのもわかる。となれば友情を結びたい。友情を結びたいと思うやつに下手な交渉をしてもしょうもないだろう?」


ふむ。

正直友情もまじでごめんだが、精一杯誠意を見せてくれたのだろう。相手は王族だ。

少し考えて、どこまで妥協するかを迷う。

迷って迷って迷って…


リェスラを撫でてから、一息つく。


「お断りします」


「ああ!?なんだとお前!」


「そんなもの、大切な生徒に頼まれた物ですから全力で最高の物を作りますよ」


言い切ればピンク改め、




トーマはケラケラと笑った。


「そっかそっか、じゃあ仕方ねえなあ。じゃあこれでなんか面白いもんできたら、分け前くれよ」


「わかりました」


差し出された記入済みの魔法陣を受け取り。

にっこりと笑い返した。


「友人ですから、特別ですよ」


「おうよ、せんきゅー」







魔国の王太子の2重詠唱は、予め前取りしてあった『魔力の乗った呪文』だった。


つまり彼の秘密は、形ないものを形あるものにした魔法陣にある。

それがどこまで有効なのかは知らないがーーーーー内蔵魔力にも、カメラにも使えるかもしれない。

もしそれが出来たら、王族の友人ができるくらい安い買い物だ。

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