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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
要らないSSRの利用法(第4章)
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3



翌日、無属性魔法の結界魔法が組み込まれたブレスレットの試作品をアジさんから受け取りそれを納めに父様に会いに城へ行く。


お昼は少し悩んだけど、護衛に頼んで出店の串焼きを2本買ってきてもらってそれを馬車で食べた。


今回の結界魔道具は密かに父様のために改良を重ねた逸品でなんとこの結界、結界の中に閉じ込めるためのものだ。

つまり対象を捕獲するためのものでもある。ので、魔力無効と結界の複合魔法でこれが手こずった。


無効と、有効どちらの効果も出さないといけないからだ。

しかも使用者が対象じゃないから範囲とかそのへんもすっごい苦労した。

その傑作品を今日は父様に届けるんだ。


「こんにちはリリア・キャロルです。今日は騎士団にお届け物を持ってきました」


「はい、どうぞ」


先触れは一応出したが、エルク様が迎えに来ないなんて珍しい。何かあったのかな?と思いながらリェスラを肩に乗せて護衛と城を歩く。


それは突然だった。


風よそれを切り裂け(土よそれを捕まえろ)


不意に向けられた魔力と精霊の意思に反射的に反応して結界魔法を展開する。

今同じ声で複数の魔法が聞こえた…?と思いそちらを見るとニヤアと笑ったピンクブロンドの少年がいた。

さっきの魔法は少年が放ったらしい。


「お嬢様、お逃げ下さい!」


風よ邪魔者を追いやれ(土よ壁を作れ)


まただ。少年の詠唱が重複して聞こえる。

と思うと風が護衛を後方に飛ばして、私と護衛の間に土壁が出来た。

何だこの魔法はーーーー。


「さあ、かかってこい。邪魔者はいないぞ」


『リリ下がって』


怒って私の前に行こうとしたリェスラを止めて、私がやる。と小声で言う。

心配してくれてるのはわかるがーーーーなんだあの魔法。


「初めまして、ですわよね?リリア・キャロルと申します」


「俺はトーマだ。いいからかかってこいよ無詠唱」


わざわざ狙って、来たのか。

ふむと考えて首を傾げてーーーー魔力無効と魔力塊に刻み込んで、少年にかける。


「おい、早くしろよ」


「なにが、でしょうか?」


「早く魔法を使えよ!」


「もう終わりましたわ」


ふっと笑って、少年に背を向けて少年が作った土壁をーーーシュッと元の廊下に戻す。

すると抜刀した護衛が慌てた様子で私を少年からかばった。


「お嬢様ご無事ですか!」


「問題ないわ。行きましょう」


「おい!何してんだよ!」


「知っているでしょう?無詠唱と呼んだんですからーーー魔法を封じられた貴方は最早無力ですわ」


「はあっ!?なっなっ、うおぉ…」


いわれてようやく封印に気づいたのか、少年は嬉しそうに笑った。




「おいおいおい、なあなあ、無詠唱すごいな!無属性の魔法も使えるんだな」


スタスタと歩く私と護衛。

その横に並んで嬉しそうに独り言を言うピンク少年。

身なりから言って多分貴族だ。だから護衛にもリェスラにも放置をさせている。


「なあなあ、他にはどんなこと出来るんだよ。俺も無詠唱使いたいよ」


「貴方にはなんだか不思議な2重精霊魔法があるではないですか?


「ふっふっふすげーだろ同時詠唱!でも同時詠唱は精霊魔法しか無理だから無詠唱のがいい!教えろよ!」


「お断り致します」


同時詠唱か。どんなものなのか気になるがーーーー好奇心を出して聞いたらピンク少年の思うつぼのような子がする。


彼はきっと無詠唱が見たいのと同時に、同時詠唱をちらつかせて教えて欲しいんだろうね。






「いいじゃん教えろよーーーーーーーじゃあ、すごい指輪ってどんなのを作るんだ?」




ピタリ、と足が止まる。

じっとピンク少年を見ると、少年は嬉しそうにニヤアと笑った。


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