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魔素水はいわゆる電線の役割のようだ。
魔力が流れやすいもので、本体に負担を与えないもの。
魔素水が使われないと本体に負担がかかり壊れる、と。
当然の事ながら魔素水はリェスラでも作れた。
高位水精霊だしね。
『どーぞ』
「ありがとう」
魔素水作りのためにタンスより大きなサイズになる必要があったので、庭で小瓶いっぱいに作ってもらう。
大きなサイズのリェスラにうずうずして、ぐるっとコの字に座っているリェスラの懐に入って座って寄りかかる。
『リリ?どうしたの』
「竜の懐ってなんかロマン」
『あーあ、ドレス汚れるぞー』
「イェスラ後でよろしくー」
『お前なー』
ケラケラ笑いながら、イェスラもリェスラの胴体に止まって私を見下ろす。
芝生に座り込みながら持ってきたメガネを魔素水でつつみ…プリントアウトで焼き付けると何も起きなかった。
『火が足りないんだな、そら焦がす程度の魔法だから水に包まれたら負けるだろうよ』
「そっかー。んー」
調整をし直して少し火力をあげると魔素水は焦げ付いた。焦げ付いたが…
焼きつけ幅にムラがある。しかも蒸発した際熱い魔素水が跳ねたのか周りに水滴の焦げつけもある。こんな失敗作では魔法は発動しない。
『うまくいかないなー』
「普通の魔道具はペンで書いてコーティングだっけ」
書く。メガネのフレームに。
無理(即答)
『リリ絵心ないからそんなの書けないからなー』
『運動神経も微妙だけどね』
ほっとけ。運動神経は今は全く関係がない。
『あーそうだ。土魔法で切り取って溝を作ればどうだ?その溝に魔素水入れて焼くとか』
「んーんー」
言われたので土魔法でメガネフレームの鉄をうっすら削り取る。
それ自体は特に問題なく魔法陣は綺麗に削れて削りカスがパラパラと散った。
『おーさすがうまいうまい』
それを見て
パッと閃いた。
『ってちょー!リリ何してんだ!?』
メガネを粉砕して粉々にする。
それを土で作ったお皿に入れてそこに少量の魔素水を入れてかき混ぜる。
要は鉄粉の絵の具のようなものだ。
それで実験台メガネ2号を量が少ないので仕方ないが1号の犠牲の水鉄粉でうっすらと包み…溶かしつけた。
『あーそう来たか。鉄粉にして溶かしつけたんだな』
「これでどーよ」
見た目は問題ない。
魔法陣も問題ない。
魔素水の魔力回路も問題ない。
可視化を発動してみても…本体に目立った劣化はなかった。
『これいいなー。鉄で作ってるから魔素水も頑丈で発動程度ならなかなか壊れないと思うぜ』
「いぇーい」
『すごいすごいさすが俺たちのリリ』
『ハイハイすごいすごい』
これで使用回数をあげられる。
皇子ーずに何回も何回も作る手間が省けると共に……エルク様に魔道具を作る時も安心だ。
さてあとは内蔵魔力の問題だ!
そう思った時期が私にもありました。
わかりやすく頭を抱え込んだ母様の前で縮こまっていい子にお座りする。
あの母様が。無詠唱を見せた時もプリントアウト見せた時も、それこそイェスラとリェスラを連れ帰った時も基本的に笑っていた母様が。
わかりやすく頭を抱え込んだので、その時初めてやばいもん作ったかな…?と冷や汗が流れ落ちた。
「リリア。ちょっとこのペンダントに送風の魔法陣をこれみたいにつけてもらえるかしら。送風の魔法陣はわかるかしら?」
「あ、だいじょうぶです」
言われるままに母様のペンダントの裏に風と…これからの季節暑くなるので水魔法を組みあわせた涼風の魔法陣を魔素水の鉄粉で焼きとかした。




