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「少し作業をしますので各自練習をしていてください」
「わかりました」
結局、あとから来た2人にも可視化の魔法をした。
5人があーじゃないこーじゃないと言いながら討論する隣で、受け取ったフレームだけのメガネに魔方陣を刻みたい…が。
「リェスラどうしよう、今気づいたけど私ぶきようさんみたい」
『リリは不器用と言うか魔法で器用すぎるだけよ』
「困ったわ。こんな細いフレームに魔方陣なんてほれない」
『彫れたらリリは彫金師にもなれちゃうわよ。プリントアウトの火魔法を少し強めにして焼き付けたらいいんじゃない?それなら出来るでしょ』
「ああその手があったか。リェスラありがとうたすかるわ」
うちの子天才〜と助言通り魔方陣を焼き付ける。
1発で上手くいったのでひとつにつき2カ所、計10箇所の魔法陣が埋め込まれたメガネが5個できたが…問題がひとつ。
5個のメガネはフレームの色が全て違った。
黒、白、青、ここまではいいが…赤、ピンク。
赤とピンク。
4歳、6歳、9歳、10歳が2人と多感なお年頃5人から少なくとも2名の被害者が出る。
「ジュゼ様、アイザック様少しよろしいですか?」
「はい」
「どうかしましたかキャロル嬢」
すぐにこちらに来た2人にもテーブルの上に置かれたメガネを指し示す。
素直な少年たちはわかりやすく首を傾げていた。
「こちらのメガネに可視化の魔法陣を焼き付けました。これがあればいつでも魔力を見れるようになりますのでみなさんで分けてくださいね」
「はい……」
ピンク色を見た途端わかりやすくアイザック様の顔が歪んだ。
「この色の選択はどう言った基準で…」
「侍従に任せたらこれを持ってきましたわ」
ジュゼ様も渋い顔をしている。
この中で最高権力と最年長で高権力をチョイスしたはずが、それでもこの苦悩の表情である。
めんどくさがらず追加を頼もうか、と思った時。
ぴょこん!とフェルナンド様がアイザック様の陰から飛び出した。
「なにしてるのー、メガネだー」
「ああ、フェル。リリーが私たちに魔道具を作ってくれてな。魔力を通せば魔力が見えるようになるメガネだ」
「ほんと〜じゃあ僕これ〜」
そう言ってフェルナンド様が持って言ったメガネは………
ピンクだった。
「れい兄上みてみて〜かわいいでしょ〜」
すぐに自慢しに行ったところを見ると、心の底からピンクを望んだようだ。
ナイスですフェルナンド様。今のはとてつもないファインプレーです。
アイザック様もジュゼ様も1番の問題が片付いた顔をしている。
かく言う私も同じ顔をしているはずだ。
さて、残りは赤だな…と思っているとフェルナンド様に自慢された2人…レナード様とカースティン様もこちらへきた。
「俺にもくれよ!メガネ」
「私も貰えるだろうか」
希望されたので、アイザック様が好きなのを取っていいと言う。
どうやらアイザック様は最後のひとつを選ぶようだ。
赤なら作り直してあげようと思ったがーーーーーー
レナード様は迷わずに赤いメガネを手に取った。
え、あなたがそれ。
俺様ワガママ王子には似合わないよ、ときょとんと彼を見つめるとーーーー
「ばっ、違うからな!お前の髪色だからこれにしたとかじゃないからな!」
「かえしてください。すぐにかわりを作りますからいますぐかえしてください!」
「嫌だよ!俺はこれがいいんだ!兄上だって好きなのって言っただろう!」
やめろ返せ妙なフラグはごめんじゃーーーー!!