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本日数話更新しております。本日更新の1話目は8になります。
「キャロル嬢、先日はごめんなさいね。来てくれてありがとう、改めて誕生日おめでとう」
「お招き頂きありがとうございます。お祝いもありがとうございます」
通された部屋は前回とは違い室内だった。
そこには王様と王妃様と…1と3の皇子がいた。2が居ないことに安心する一方なにかしてくるんじゃないかという不安を感じる。
「レナードは部屋で謹慎中だから来ませんので安心してください」
「そうなんですか」
小声でエルク様と話しながら、王様に椅子を進められた。
したらエルク様は私を抱いたまま、座った。
お膝抱っこふぉーう!
貼り付けた淑女の仮面が落ちそうだ。
「リリア、仲の良さを見せるのも大事よ」
不意に母様の精霊から小声の耳打ちが聞こえて、キリッと仮面をつけなおす。
そうだ萌えている場合じゃない。ここは戦場だ。
「うむ、キャロル侯爵から聞いてはおったが聞きしに優る仲良しっぷりだのう」
「ええ。リリアの一目惚れですがエルク様もお優しくて、とても仲良しですの」
仲良しアピールでエルク様の方を見上げて、笑顔で頭を擦り寄せる。
あ、良い匂いした。
「でもリリアちゃんはまだまだ若いんだし、婚約には早かったんじゃないのかしら?」
「リリアには早くとも、エルク様には早くありませんからね。大人びたうちの娘の初恋を大事にしてあげたいんです」
わかるだろうか。
国王夫妻の熱烈皇子プッシュが。
リリアの一目惚れとか初恋とか身悶えすることをエルク様の前で良くも言ってくれるなと思うが、化かし合いに混ざれる気がしないので黙っている。
こういうのが苦手な父様も座る母様の後ろに護衛のように立って目を閉じている。
「わかるわあ。わたくしも息子の初恋を大事にしてあげたいもの」
「シャーリー様もとても優しいお母様であらせられますものね」
狐と狐の化かし合いだ。
怖くて仮面が取れそうになり、誤魔化すためにエルク様に小声でお茶をねだる。
エルク様のとってくれたお茶を飲んで落ち着いて、ありがとうございます。と小声でお礼を言うと軽く頭を撫でられた。
なでぽたまらんのう。と思いながら喜んでいると国王陛下がじっと私を見ていた。やっべ、慌てて仮面を貼り付ける。
「リリア嬢はすごいのう。それにそんな顔をさせるとは」
「……陛下」
「お前は子供嫌いなのかと思っておったぞ」
「真っ直ぐ好意を向けてくれるとても『良い子』には優しくしますよ」
なんか良い子って強調したなって思ったら、おうじーずが気まずそうにしていた。
そうか『良い子じゃない』んだな。
少なくとも2番めはいい子じゃないのは知ってるが。
「男の子だからな。少々やんちゃなのは見逃してやれ」
「彼等に勉強を教えるのも私の仕事ですから。見逃せませんね」
先生。
エルク先生。
ソレモイイネ!
くそうおうじーずなんて羨ましい。
良い子に大人しく学べないなら代わってほしい切実に。
「しかしな…それにしてもお前のそんな優しい顔は見たことがないぞ。さてはお前幼女が趣味だったのか…待て。待て、ガイ落ち着け」
「陛下は我が娘をどんな目で見てるんですか…」
和やかな大人同士の雑談が続く中、第三皇子は黙々とおやつを食べていたが第1皇子はちらちらとこちらを見ていた。
気づいた上で無視する。関わってろくなことはないからねー。
とはいえ暇なので肩のリェスラを膝の上にうつして、その滑らかな鱗を撫でる。
しばらくなでなでをしていると、リェスラは眠りに落ちた。
水竜可愛ええなあ。とか思っていたらエルク様の肩にいたイェスラもリェスラの横に並んだ。
ので今度はイェスラを撫でる。
眠ったわけじゃないだろうがイェスラは目をつむり大人しくなった。
「さて、両陛下。2人の婚約とリリアの誕生日を祝ってくださいますね?」




