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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
始まりの終わり
171/177

5


「リリア、お前……」


リェスラが作った氷にすがりついて、中の彼の悲痛を想像して心が痛む。

そんな私にトーマは……険しい顔で剣の切っ先を向けてきた。


「今すぐに元に戻せ。でないと、お前も……ルクセルも滅ぼす」



辛そうに、辛そうに言うトーマ。見てるこっちまで辛くなるけれど。


「どうやって?」


「どうやってって…」


「魔法も使えないのに?どうやって私を殺すの?むしろ、結界もない魔法も使えないときたら……この国、滅ぼされちゃうんじゃないの?丁度姫君の結婚でこの国に他国の大使も沢山いるし、情報漏洩は止められないよ?」


ははは、ははははは。

感情が狂ってるのか楽しくなってくる。

笑うと辛そうなトーマは剣をふるって来たーーーーーけれど、ただの剣戟なんて結界で簡単に防げる。


肩に乗ったイェスラも動くことすらしない。


「お前がっ!お前がやったんだろ!」


「そうだよ、私がやったんだよーーーーーー私にしか、直せないんだよ?」


にっこりと笑ってーーーー頭が激しく痛んで、ぐっと歯を食いしばる。

痛い、痛い。違うから、エルク様よりトーマを優先するわけじゃないーーーーーーどっちも、守りたいんだ。


「なら、わかってるでしょ。国を守りたいなら剣を向けるのが私じゃないって」


「ーーっ!!」


「国を守りたいならーーーーー私の剣になってよトーマ。私とエルク様が引き裂かれないために、ね。そうすれば………元に戻してあげるよ」



ごくりと、その場が静かになって。全員がトーマを見る。


「その言葉、信じろと?」


「信じて」


じっと見つめ合う。

どれだけ見つめあったのか分からないけれど。


「殺せ!!」


我慢しきれなかったのは王様の方だったようだ。

けれど誰もその指示に従わない。

わかっているのだ。魔法も精霊もなしでーーーー私の相手など出来ないことは。


「結界の修復と、全員の呪いの解除だ」


「……わかってる」


不意にぽつりとトーマが呟いた。

ふっと笑みがこぼれる。

トーマはこちらの味方になってくれた。


「それから、風精霊も中で快適に暮らせるように結界の改善だ」


「………ん?」


「あと改善研究、修復にはうちの魔術師も同行させて勉強させろ。それからキャロル領までの直通路と、ウォーターボートの共同開発だ」


「え、ちょっと」


「それから呪いを防ぐ魔道具の作成と、アイラの結婚式が延期せず行えるようーーーーー死んでも働いて貰うぞ」



んーーーーーーーー?



「そもそもお前が国外追放されたとはいえ、うちの親父が結婚しろとか無茶ぶりしたのが原因だからな………というわけで父上、王位譲ってください。この国のために」


え、あ、あの、ちょっと。やっぱり無しでと言う言葉は


「貴様!魔女の手先となったか!!」


という陛下の絶叫に掻き消された。

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