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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
旅立ち前の最後の仕上げ編
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20

じっと城の魔法陣を見つめて、どんなものが展開されているのかを把握する。

巨大でも魔法陣そのものは見覚えのあるものだ。



「なあなあ、どうやって無人で起動してるのか気にならないか?」


「…聞いてもいいの?」


「ああ、別に秘匿情報じゃないし。初めは外から魔力を与えた小さな結界で、徐々に大きくしてったんだよ。中にいる人数も、精霊も増やしてな」


「…すごく気が遠くなる話ね」


「ああ。これを作り上げてきた御先祖様を尊敬する」


「努力の集大成なんですね」


三人で窓から城を見上げる。

城はどんどん近づいて……そして、馬車は止まった。



「お帰りなさいませ、殿下」


「……ああ。今帰った」


え、誰あれ。

たくさんの兵やメイド達に笑みを見せて馬車から出ていくトーマ。トーマはトーマなのにまるで王子様みたいだった。

いつものバカをやり合うトーマはそこには居なく、アイザック様より風格漂う王子がそこにはいた。


ーーーーー今更ながら、トーマは王子だったと痛感する。


「キャロル夫妻をお連れした」


「心得ております。賢者様も、殿下も一度陛下の下へ参られるように指示を受けております」


「わかっている。だが先に一度彼女等を落ち着いて一息つかせてやってくれ」


「客間へとご案内を致します」


トーマが指示をするのを聞きながら、先にエルク様が馬車から降りて一瞬その身体が強ばった。

中にいる私からは彼の背中しか見えないので、なんでだろうと思いつつ……エスコートを受けて馬車から出て察した。


すごい数の兵士、魔法士、使用人がズラっと並んでいたのだ。


「リリア・キャロル様。エルク・キャロル様。ようこそ我が国へいらっしゃいました。偉大な賢者様を迎えることが出来、我ら大変喜ばしく思います」


『『『ようこそ!』』』


そして先頭の従者頭だろうか?一際風格のある方がトーマの横で挨拶を述べると、人々がいっせいに喋った。

その熱い熱気に気圧されつつも、エルク様の手を取ったままにこりと笑う。


今の私たちは国の代表として来ているのだ。

無様な姿は見せられない。


「手厚い歓迎をありがとうございます」


「魔国の皆様の真心、確かに受け取りました」


エルク様と共にニコニコと笑い、先導者の元へ行くと人垣がモーゼのように割れた。

ところで、割れたことによって生じた通路の最前列。

そこは殆ど、魔法士で埋め尽くされていたのは偶然だろうか。


兵士やメイドさんたちと違い、魔法士たちの目はギラギラしているのも気のせいだろうか。


「……不躾な目で申し訳ありません。魔法を嗜むものたちにとってキャロル様は憧れの方。皆、お言葉を頂きたいのでしょう」


ああ、気のせいじゃなかったんだね。

苦笑を浮かべながら気にしてませんと返して、そのまま城の中へ入っていった。

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