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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
旅立ち前の最後の仕上げ編
165/177

19

濃密な魔力。多すぎるくらいの精霊の気配。


『全部吹き飛ばしたい……』


に、酔って闇堕ちをしてる珍しいイェスラ。


「鞄に入ってなよイェスラ」


暗黒オーラを出したイェスラは速攻で鞄に潜り込んで行った。

私でも「うわっ」ってなるくらい濃密な魔力の空気なんだ。

風の精霊のイェスラは嫌な意味で直撃をくらったのだろう。


「あー、大丈夫かイェスラ。ここの空気は自由を好む高位風精霊にはきついらしいからなあ。外で契約した中位風精霊だって逃げ出すくらいって噂だ」


「……リェスラとカールは大丈夫?」


『あたしは空気に鈍感だから平気よー』


『僕も土じゃないから平気ー』


「ちなみに俺の妖精も基本、駄目だ」


そう言ったトーマの妖精は既にトーマのポケットに避難していた。

と言うかここの王太子の精霊なのに空気がダメって…。


でも、そうか。そうなるとここには風の高位精霊は少ないんだな。

でも代わりになるほど、それ以外の精霊使いは多い。

視界に入るほぼ全ての人が精霊を連れているのが見えるもんなあ。


「……さすが魔国ですね。夢のような光景です。精霊使い数がうちと段違いですね」


「そう!そんで、そんな魔国のトップが俺ってことだ。どうだ敬えエルク、リリア」


「エルク様、制圧しますか?」


「ダメですよ。ここでは友達じゃなくて隣国の王太子ですから」


「お前らなあ…」


エルク様と笑いあってから、すうっと息を吸う。

魔力濃度が濃いせいか、それだけで身体に魔力が満ちるのを感じた。

これは凄いな。


鉄壁の守りの上に、尽きない魔力。

正に攻防一体の魔国の首都だ。


城門から人々が沢山行き交う街を抜けて、一般住宅を抜けて。


大きな屋敷が立ち並ぶ街並に入るとようやく王城が見えてきた。


初めて見る、魔法最先端の魔国の王城。


そこは幾重にも、魔法陣が重ねられていた。

これは凄い。

首都全体を覆う結界も見事なものだったけれど、あの魔法陣も一つ一つ中々良いものだ。


と、言うかだ。


「ねえトーマ。単純に疑問だから無理に答えなくても良いんだけれど、あの魔法陣もあっちの結界も誰かが張り続けているの?」


これらを起動している人が居ると言うことだろうか。

私は当たり前のように魔石使うので、それを魔力の動力として使えるけれど。

けれどこれはそれよりも前に作られた結界だろう。

と、なれば動力は人だ。これだけの大規模な魔法を人が維持しているのだろうか。


だとすればそれはとんでもない魔力をもった人だろう。


そう思って尋ねるとトーマはニヤニヤと笑った。



「それは別に公開してる情報だから問題ないぜ。あの魔法陣も結界もな、起動してる『人』はいないんだ」


「え?じゃあどうやって魔力を流してるの。まさか魔石じゃないよね」


「魔石が出来たのはここ数年だろ。聞いて驚け、あの魔法は空気中の魔力を使って起動してるんだ」


え、マジか。

この濃密な魔力はおそらく魔力を持った人と精霊が多く居ること。それに加えて結界内と言う閉塞空間だから発生している。

その結界の維持に必要な魔力が濃密な魔力って……


ニワトリが先か卵が先かと言う話だ。

魔力があるから結界が張れる

結界があるから魔力が集まる


そう理解して改めて魔法陣や結界を見れば、見るほど巨大だけれど緻密で繊細な魔力の流れを感じ取れた。


さすが魔法先進国。


長年極め続けてきた魔道の片鱗を垣間見た。



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― 新着の感想 ―
風力や地熱でめっちゃまかなえるようにしたすごい都市、みたいな。すごい。 魔法の可能性、大好きです。 本当、使ってみたい。
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