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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
旅立ち前の最後の仕上げ編
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18


その日は野営で、さすがに夜には動き回れないので朝出発前の時間に試してみることにした。


動力(カール)よーし!

水の整備士(リェスラ)よーし!

安全装置(イェスラ)よーし!

記録係(トーマ)よーし!


強化した箱の中に座って、頭にイェスラ腕にリェスラ巻いて

箱から4本でた紐をカールに咥えさせる。


「起動!」


起動するとぶわっと底面の下から水が出て…浮いた。でもカタカタ震えててちょっと気持ちが悪い。でも、一応少しだけ浮いている。


「おお、地面からは浮いたな」


「カール引っ張ってみてー」


『りょーかいー』


初めはゆっくりと。次第にスピードは上がっていく。

4本の紐の長さもちょうど良かったらしく、箱は正常位を保ったまま移動をする。

振動もあまりない。むしろ浮いただけの時が一番振動があった気がするくらいだ。スピードが出れば出るほど安定感は増して……


「すげえ!俺も乗ってみたい!」


「カール減速してみてー」


カールが引っ張るのをやめて小さくなって私の肩に飛び乗ってきた。そしてスススススと時間はかかったが静かに滑り込むように止まった。


「重かった?」


『うーうん。軽かったよー』


水を止めて箱から降りる。

そうか、リニアと言うよりもエアーホッケー逆版に近いのか。

台では無く、ディスクそのものが空気を発してるようなものだ。


あたりは水でベチャベチャになったけれど、軽く感じるのならもっと大人数も運びやすいだろう。


横に広ければ安定感もありそうだ。


トーマがノリノリで試すのを見ながら、サイズと水の出力と、乗員の全体重を適当に決めていく。


ーーーーー乗る人数を決めて、試しながらそこに合わせていくのが良いか。


とりあえず、次の街に着いたら特注の箱……はっ、一人乗りなら棺桶とか良いんじゃないだろうか。

水を吹き出して移動する棺桶。とてもシュールだけれど面白そうだなと思ってクスリと笑った。


その後の移動日程は直通路と木箱改めてウォーターボートの改良計画を語り合いながら進んで行った。


十日の道のり。長いと思っていたけれど、三人で語り研究し合っていればあっという間だった。


7日目で国境を超えて魔国に入った。


けれど目に見える風景も、街並みも大して変わったところはなく。

まあ、そんなものかなと思っていたのだけれど。



首都に着くと、思わず吐息が漏れた。


『すごいなー』


『大きいわねえ』


左右を見ても果ての無い巨大な都。

そんな都を覆う巨大な結界魔法が首都には仕掛けられていたのだ。


「魔国自慢の大結界だ。その昔戦争で攻められても敵軍を一歩も入れなかったそうだぞ」


「へえー」


そう言われてみると、攻撃をしてみたくなるけれど。



今の私は国と国を結ぶ大使として来ている。

さすがに好奇心で攻撃魔法をぶっこむことは自重した。



「お帰りなさいませ殿下」

「ああ、今帰った。こちらはかの有名な賢者のキャロル夫妻だ」

「伺っております。ようこそ賢者様」


巨大な結界に対してちいさすぎる穴。

門は馬車が一つ通れる程度のサイズだった。

さすがだ。大穴空いてたら結界の意味が無いものねえ。


結界を超えて、いざ魔法の最先端都市。

中に入って驚いた。


「……すごい…」


精霊の気配が、凄まじかった。空気中の魔力の密度も高い。


流石は魔国。そう言わざるを得なかった。




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