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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
二人の戦い編
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ZEROダッシュのコミカライズ一巻発売しました!素敵可愛いイラストのリリアを見たい方は要チェックですよ(∩´∀`)∩ワーイ

トーマも着替えに客室に行き屋敷中で両親やリズの準備、舞台になるダンスルームの飾り付けさらに休憩の間や料理や菓子の準備が行われていたため、正直綿花のガクの部分の作業などできる余裕はもう無いかと思っていたが。


「お嬢様、何とか開場前には準備できそうです」


「そう。けれどこれだけ忙しいのだから無理をいったのでは無いの?」


「ええ、かなりの無理を言いましたが……使用人の控えの間にわたあめ機を一機設置すると言ったら通いの者が張り切って残業を申し出てくれましたよ」



めっちゃ飴で釣ってた。

まあ貴族の菓子なんて残り物くらいでしか食べない使用人たちにとっては砂糖を持ち込めば自分で作れるのはとても魅力的だろう。


「なら家庭で消化する分の持ち帰りも許可します。帰省するものの土産もね」


「かしこまりました。他のわたあめ機の今後の利用に関してはおいおい詰めて行きましょう」


「ええ」


さて、そろそろゲストの迎えの支度をしないと。

そう思い立ち上がるとちょうどエルク様が戻ってきた。


「お待たせリリア」


右前髪を後ろに持っていきセットし、左側の髪はそのまま垂らし。

黒のタキシードを纏った漆黒の貴公子。


いつもの優しい雰囲気も良いけれど、礼装を纏ったエルク様のピシッとした雰囲気もとても素敵だ。

また、エルク様はリェスラを抱えていて部屋に入ってきた途端リェスラが私に突っ込んできたので彼女を抱きとめながら写真を数枚収めておく。


エルク様と、初めてのサロン記念ハスハス!!


『リリ、お部屋の砂糖は殆ど食べ終わったわ』


「本当?助かったけどごめんね」


『美味しかったから良いのよ』


「じゃあ後で、わたあめ一緒に食べましょうか」


『うん!!』


嬉しそうに何度も頭を振るリェスラの首を撫でて、私の肩ではバランスが悪いのでエルク様の肩に彼女を置く。

エルク様の足元では、オシャレに赤いリボンをしたカールが尻尾を振っていた。


『嬢ちゃーん、僕はポップコーンがいいー』


「うん、わかった。カールはポップコーンね」


カールの頭も撫でると、エルク様から手を差し出されたのでその手を取って微笑む。

甘やかなのに、どこか硬質な笑みを浮かべたエルク様が執務室の扉を開けてーーーレティシアのチェックを受けてからゆっくりと部屋を出る。


さて、程々に気合いを入れて頑張ってみようか。




「よくいらっしゃってくださいました。無理を言って申し訳ありません」


「いえ、お誘い頂けてとても光栄です」


懐かしき元教え子であるジュゼ様とカースティン様は御一緒に来られた。軽く話を聞いた限りでは現在は王宮でアイザック様と共に仕事をしているそうだ。


あの頃は楽しかったと、和やかに歓談をしつつふと気づく。




ん、ジュゼ様って公爵子息……


はっ、私なんも考えないで公爵家の方を三家も呼んでた…!!


内心、軽くぶるった…。


「父も参加したかったと嘆いていましたよ」


「ふふふ、そう仰っていただくようなサロンに出来るようこれからも努力致しますわ」


「今夜は色々な物を置いてみたので是非手に取って試していってください」


そう言うのはカースティン様。社交辞令ですよね。

カースティン様のお父様って、宰相閣下ガクブル。

子息であるカースティン様はともかくとして、宰相閣下は陛下の手先な気がしてなんとも言えず曖昧に笑って誤魔化すとエルク様が室内に促した。


次に、魔道具ギルドに冒険者ギルド商業ギルドのマスター達が揃って来られた。

商業ギルドのマスターはタキシードがとっても似合っていたが、ソルトとゼフィリス様はそこまで固くない、オシャレ着にしてはとても上等なコートを来ていらした。

正直、簡素なシャツとズボンの印象が強い二人の礼装に素の笑いが込上げる。


「お嬢、嫁とデートの約束をキャンセルしてきたんだからなんか嫁向けの土産を頼む」


「ええ、新作のお菓子を準備してありますわ。三人ともようこそ」


「ご機嫌麗しくリリア様、エルク様。お招きいただきありがとうござい「早く中に行こーぜ、腹減った」」


いつも通りなソルトとゼフィリスを睨む商業ギルドマスターだったが、私たちがそんな二人を許してしまっているので諦めて笑ってから三人は中へと入っていった。



そしてあと三組。手強い三組を残すばかりとなった。



基本的に爵位の高い方には遅く来て貰うものなので当然最後はアイザックさまだ。アイザック様はエリース様を伴われるので、ショールディン公爵夫妻はその前にこられる。



ので、次に来るのはおそらくダッテバルダ夫妻だ。



そして、到着の知らせは案の定ダッテバルダ公爵夫妻のものだった。



「久しぶりねリリア。体調を崩していたと聞きますが大丈夫かしら?」


「はい、ダッテバルダ夫人にも御心配をお掛けしましたので元気な姿を見てもらおうと無理を言ってしまい申し訳ありません。ダッテバルダ公爵様、お初にお目にかかりますリリア・キャロルと申します。今宵は私の主催するサロンにいらして下さりありがとうございます」


「ジョシュリー・ダッテバルダだ。君のことはよく聞いているよ、とてもすごい子だとね」


夫人の方は純粋に心配をしてくれていたのもあるのだろう。

とても優しげに笑われたけれど、公爵閣下の方は笑顔が逆に恐ろしかった。

ニコニコとしていて人当たりは良さそうだが、腹の奥が何も見えない恐怖感がある。



さすが公爵閣下というべきか。

ショールディン閣下に負けない貫禄だ。


「そういえば君は妻や、ショールディンとも友人と聞く。ぜひ私とも『友達』になってくれるかな?」


「身に余る光栄にございます」


友達ってなんだろう。

切にそう思っていると、エルク様が控えていたメルトスから小さな籠を受け取った。


「お久しぶりです、ダッテバルダ閣下、御婦人。今宵は妻のサロンにいらして下さりありがとうございます」


「エルク殿もお元気そうで。城で見る時よりもいい笑顔になりましたな」


「妻が可愛くて可憐ですので」


やめて欲しい。

貼り付けた猫が悲鳴をあげて、頬がひくひくと震える。

嬉しすぎてデレデレしたいのを気合と根性で押さえつける。


「そうそう、ダッテバルダ閣下もし良ければ一足先にこちらをどうぞ。妻の考案の菓子でございます」


そう言ってエルク様が差し出した籠に入っていたのは、緑の紙のガクに支えられた綿花風なわたあめと、ふわもこの獣の形で目や鼻をクッキーで飾られたわたあめがあった。


「これは……?」


「リデュケのガクの部分は紙ですが、それ以外の部位は全て食べられますよ」


「毛では、ないのか」


玄関ホールで菓子を差し出すなんて無礼でしかないが、その特殊な外見にダッテバルダ夫妻はとても心が惹かれたのか素直に籠の中のトゥルルの人形の方を手に取られた。



そしてわたあめの部分を手でモミモミすると、ペチャッと潰れたことに驚かれる。


「早く食べないと溶けてしまいますわ」


手がベタベタになったと言われても嫌なのでそう言って促すとダッテバルダ閣下は恐る恐るそれを食べたーーーーー瞬間、目を見開いた。


「どうですか、あなた?」


「溶けた」


「はい?」


「なんだこれは、溶けたぞ」


旦那の感想が意味不明に感じたのか婦人も直ぐにわたあめを食べてーーー同様に目を見開いた。


「これは!!」


感想を言おうとすると、玄関の扉が開いてショールディン夫婦とアイザック様、それからエリース様が入ってこられた。

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