初陣
臆病者は出荷よ~
絶賛彼女イヴによって運ばれています。
しばらく僕が縛られて運ばれてて気づいたことだが、僕たちは人には見えていないみたいだ。たぶん天使の能力かアイテムとかで見えなくなっているのだろう。あと知ったのは、この赤い鞭のことについてだ。
「俺様?俺様の名は紅蓮。これでも様々な悪事を働いた悪魔なんだぜェ、ひよっこ」
「彼は私の神具よ。たとえ天使の力を失ってるとはいえ少しは神気は使えるから操れたのよ」
色々知らない言葉が出てきた。尋ねると意外にも紅蓮の方が答えてくれた。
神具:天使が持つ武器。その天使しか使えなく、様々種類と効力を持つ。中でも原材料は中級以上の悪魔らしくて自我があるものは希少らしい。
神気:俗にいうカリスマ。天使にも階級や基準のステータスがあるらしくて、その一つに含まれるらしい。何でも神気が高いと神具の適合率が上がるらしい。
紅蓮はなんでも俺様は自我を持っているから本来ならお前は俺様触ることすらできないが特別に許可してやってるんだぜ。とかいって好意的に接してくれていた。
「着いたわ」
そう言い降ろされたのは隣りの区にあるうちの付属校だった。
「お前が受けたっていう命をそろそろ聞いてもいいか」
「あらそうね、そういえばうっかりしてたわ。私ということが。今回の命は…」
「ん?今回って言ったか?」
「ええ、他にも命はあるわ。人間の知っている形で言うと派遣社員みたいなかんじよ」
「給料は?」
「出ません」
とんだブラック企業だよこれ。天使・ホワイトと思ってたら、ブラックすぎるわこれならルシファーが堕天するのもわかるわ。命かけて報酬でないなんて辛すぎるだろ。
「いいかしら。今からあなたが戦うのは悪魔というものよ。本来悪魔は利口だと伝承されているけどそれは中級以上よ。安心しなさい今回は下級だから。失敗しても死なないわ」
「天使ですか」
「拝めなさい。ま、手足もゲル程度だから」
「労災効きます?」
「効かないです」
悪魔って優しくないの悪魔なの?(*悪魔です)
「やっぱり僕には無理です。命大事に」
「ガンガン行こうぜェ 夕安心しろ俺様が守ってやるぜェ」
紅蓮て天使なの?(*悪魔です)
「紅蓮の言うとうり彼なら下級ごときじゃ負けないわ。とりあえず物は試しよ行ってきなさい」
そういい連れてこられたのは中庭の裏だった。
「ここら辺だな。悪魔の気配がプンプンするぜェ」
「えっと僕は握っているだけでいいんだよね?」
「あぁあとは適度に振ってくれたら助かるぜェ」
うーん怖がりながらも黒い穴に近づく。この穴こそ悪魔が侵入してくる原因だそうだ。
深淵を覗くとき深淵もこちらを覗いているのだ。
一斉に黒い何かが噴き出してきた
「わあああああああああああああああああああああああああああ」
「落ち着けェ、あれは最弱の悪魔プラプラだ。腰抜かしてんじゃねぇ」
いきなり飛び出したせいで腰が抜けた。悪魔って何なの。怖いし、グロいし、速いし、黒い。俺が知っている黒い悪魔と同じだよ。(それは虫です)
と、とりあえず帯を構えなきゃ。
神具紅蓮はひも状である。そのおかげで、鞭のようにしなったり、束ねて剣のようにもなる。紅蓮は持ち主が最も体に合うスタイルを自動で変形してくれる。
このガキに最も適したのは!!
「え、こぶしに巻き付いて」
「小僧振りやがれ!!」
その瞬間僕のこぶしに巻き付いた帯は膨張して大きな拳となりプラプラの穴を一瞬で吹き飛ばした。
ひぃぃ…。これ僕がやったのか。そう安堵していると、少し離れていたところにいた彼女が来た。
「よくやったわね。初回としてはいいやる気になってくれたかしら」
「むしろやだよ…。でも安全なら…」
そう言いかけたとき、穴から3つの黒い影が飛び出してきた。
驚いて尻もちをつくと、三匹の黒いオオカミは僕らを見ずに飛び出していった。
「追いかけるわよ」
「…。」
「あぁ…そうだったわね臆病者。行くわよ紅蓮」
「…。ああいこうぜェ相棒」
二人の影が遠ざかっていく。
今の彼女の目それは先ほどの僕をのごみを見るような目ではなく、もっと失望に値するものだった。あぁ…僕はなんて弱いのだろう。夢の中の僕はまだかっこよかったのに。
人はなぜ戦えるのだろう。誰かを守るため?負けられない敵がいるため?生き残るため?カッコいいな憧れるよ、
誰かを守れるのだろう?敵に勝てるのだろう?生きて喜べるのだろう?そうさ戦うのに必要なのは強さだ。覚悟じゃない。
だから僕は戦えない。弱いから。
ホントにそれでいいの?心の正義感が僕に尋ねる。もう一度彼女の傷つく姿を見るの?
「言い訳ないだろ」
既に傷ついた彼女を夢の中の僕は何もできなかった。迫りくる敵に夢の中の僕は何もできなかった。
じゃあ今度は?弱いを理由に傷つく彼女見て、敵にまた負けるのか?
違うだろ今の僕には強さがある。傷つくまでに追いつける足がある。あんなに強い紅蓮がいる。
必要なのは強さだ。心の強さだ。
「くっ、躱すわね」
「ただでさえ握るのもつらいだろうに、それに体に無理して天使に近い走りをしている。あのオオカミも誰かが討ってくれるはずだぜェ」
「逃げた敵はより強くなって現れるわ。そうなる前に殺さないと誰かが傷つくのよ」
「本末転倒になってるぜェ相棒。だが、そこがイヴてめぇのいいところだ」
息を荒くし少女は走る。誰かが傷つかぬよう。しかしその背後から黒い影が抜かして行った。その影は少女が傷つかないように駆けてくる少年の影だった。
「あんた!…」
「紅蓮!!力を貸せ」
「おうよ、今のてめぇが欲する力は…」
僕の実家代々受け継いできた剣術があるんだ。僕は少ししか使えないけど
役に立ったぞ夢の自分
「「刀」」
「紅蓮一刀流 一刀断」
刀身が伸びオオカミの首目掛け横に一刀する
ぐきゃきやややああ。狼達の首は吹っ飛び体は崩壊が始まっていた。
「驚いたわ。あなたみたいな腰抜けが来るとは思わなかったわ」
「僕はいまだに腰抜けだし、今でも怖いと思っているよ。でも見たくなかったんだ」
「見たくなかった?」
「夢の中で君が傷ついていた姿を見たから。もうそんな姿見たくなかった」
「ふ、あはははは。あんな雑魚平気だったわよ私一人でも」
「え」
「まぁ苦労はしただろうけどね。助かったわ夕」
そう彼女は微笑み僕の名を口にした。
「もっと前から教えてたらよかったのにイヴ」
「あらあなたが私の名前を呼ぶのは100年早いんじゃない?」
「いやそこは10年だろ、いやもしかして天使って割とお歳よ・・」
「紅蓮ー」
「おぼおおぼおおお」
会心の一撃が僕の腹にクリーンヒットする。どうやらイヴは紅蓮は僕を新たな天使だと認めてくれたようだ。
「あ、そうそう報告とかあるから、少し建物でも入って待ってて。」
「わかった。」
「あ言い忘れてたけど、いいこと?あなたは特別。本来ならあり得ないことよ、だからこそあなたも天使だということもなるべく隠さなければいけないわ」
「隠すって誰に?」
「追々わかるわよ」
?まぁあ、僕も疲れたし少し休もう。付属校だし中に入ってもそんなに怒られないかな。というか懐かしいな一応内部進学て言っても母校だからな。確か南棟の屋上の踊り場は人が少なかった気がする。久しぶりに行ってみるか。
とことこと歩きたどり着いた。
まぁすることはないから寝そべるだけなんですけどね。すると階段下から上がってくる音が聞こえる
うん、誰だろう知っている後輩ならうれしいかな、なんて思っていたら思いがけない言葉が飛んできた
「あなた所属を言いなさい、この学校は私達C-25班が担当している地域よ。部外者であるあなたのような天使は名乗る必要があるわ。出てきなさい」
次回ヒロイン登場