表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/50

< 06 この世界に就任した神 十一柱目 03end >


一晩ひとばんうちに川を造り上げました。

まさに、神の御業みわざです。

神の偉大さ触れた人間たちが、神を崇拝する様になったことでしょう。

そう思っていました。

それなのに……。


私のしたことは、笑い話になっていました。

なぜ、こうなってしまったのでしょう。

私が休息している間に、何が起こったのでしょう。

休息と言いながら、10年くらい甘い物を食べ歩いていたのが、マズかったのでしょうか?

そんなことはありませんよね。

働いた体に甘い食べ物は必要です。うん。


人間たちの様子を観察します。

人間たちが神を崇拝する様子は見られません。

それどころか、”うっかり者”と、思われている様です。

「また何か失敗したら、また俺たちが何とかしてやるぜ、がははは。」

そんなことを話す人間も居ます。

どうして、こうなったのでしょう?

分かりません。


困りました。

神力しんりょくが、なかなか回復しません。

人間たちに、神を崇拝する様子が無いからです。

川を利用した交流のお陰で、人間たちの生活レベルが向上し、私の神レベルも少し上がりました。

その分、私の神力しんりょくも回復しましたが、まだまだ十分に回復したとは言えません。

もう一本の川を造る計画は、実行出来そうにありませんね。

人間たちの生活レベルを上げる、別の方法を考えましょう。


人間たちの生活レベルを上げる為、少ない神力しんりょくで済む事を、色々試しました。

しかし、私の神レベルが上がることはありませんでした。

もちろん、私の神力しんりょくが回復することもありませんでした。


川を完成させた後は、十分な成果を上げることが出来ないまま任期が終わり、異動することになりました。

異動先は、この世界よりも生活レベルが低い世界だと言われました。

トバされると言うことなのでしょうか?

湖を造り、川を一晩で造った私を?

川のお陰で交流が生まれ、生活レベルが向上しました。

功績としては十分なはずです。

私は抗議しました。

「異議があるなら、書面で議会にする様に。」と、言われました。

天界の議会に盾突たてつくのは、得策とくさくではありません。

書面で抗議すれば、その事実が永遠に残ってしまいます。

私は従うしかありませんでした。



<  ???  >


力が足りません。

力が集まりません。

世界に漂う、力の欠片かけらを集めるだけでは、足りません。

苦しみから逃れ様とする私に、ある感情が芽生えます。

知識としては、知っていました。

これは、”焦り”なのだと。


その感情を振り払うかの様に、私の心が叫びます。

「何か有りませんかっ。」

「力をっ。」

「神さまのお手伝いをするためにっ。」

「神さまのためにっ。」

「何か有りませんかっ。」


心を落ち着けて、私に出来ることを考えます。

私は、まわりに意識を広げます。

世界に私の全てを薄く混ぜる様に。

私の全てを世界に広げます。

………何かを感じます。

私の本能に寄り添うかの様な”何か”を。

私はその”何か”が、うっすらと世界に漂っていることに気が付きます。

私はその”何か”に、慎重に触れます。

その”何か”に、私の本能に近い何かを感じます。

私はその”何か”を、慎重に集めることにしました。


私はその”何か”を、慎重に集めて、気が付きました。

これは、この星の人たちの”想い”なのだと。

神さまが、この星の人たちから想われていることに喜びを感じます。

この”想い”を集めます。

私の力にする為に。

神さまのお役に立つ為に。


私は、集めた”想い”を読み解きます。

「神さんはしょうがねぇなぁ。」

「また何か失敗したら、俺たちが助けてやるぜ。」

「俺たちに任せておけ。」

そんな”想い”ばかりでした。

この星の人たちの考えている神さまと、私の想像していた神さまとは、かなり違う様です。

戸惑います。

しかし、神さまの為に何かしたいという想いを感じます。

この”想い”が私の本能に働きかけたのでしょう。


私はこの”想い”も力に変えて蓄えます。

神さまのお役に立つ為に。


設定

天界の議会が神たちに一番期待しているのは、神を崇拝する人が増える事です。

世界を発展させるのも重要ですが、それだけでは駄目なのです。

神を崇拝する人が減る様な事になってしまうと、トバされたり、クビになったりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ