< 11 この世界に就任した神 十二柱目 05 >
私は海に向かっています。
海に魔物が出たと言う噂を聞いたので。
海には危険がいっぱいあります。
ですので、その恐怖心から魔物が生まれることがよく有ります。
いつかはこの日が来ると思っていました。
【ファイヤーボール】の出番の予感がビシビシします。
楽しみでs…、げほんげほん。漁師さんたちがシンパイデス。
海に来ました。
一隻の舟を見付けました。
魚を運んでいる様です。
特に何の異常も無い様ですね。
別の舟を探しましょう。
西に向かいます。
一隻の舟を見付けました。
これも魚を運んでいる様です。
舟の周りを魚が跳ねていますね。
ちょっと近付いて見てみますか。
跳ねている魚は魔物の様です。
漁師さんたちに向かって飛び掛かっていますが、殴り飛ばされています。
それほど大きな魔物ではありませんね。
これでは【ファイヤーボール】の出番は無さそうです。
いや、でもこの状態が長く続いたら、疲れて動けなくなりそうです。
きたい…、げほんげほん。 もう少し見守りましょう。
跳ねている魔物が少なくなりました。
狙いを、漁師さんから漁師さんに殴り飛ばされて浮いている魔物に切り替えた様です。
漁師さんたちは警戒しつつ舟を進め、この場所から離れて行きました。
魔物を撃退できたのは良いのですが、魔物が魔物を食べるのは問題ですね。
魔物が魔物を食べると、魔物が強くなっていってしまいます。
なんとかしなければいけません。
うん、なんとかしなければいけません。
【ファイヤーボール】の出番ですね。(ニッコリ)
しかし、いきなり【ファイヤーボール】を放てる人間など、この世界には居ないでしょう。
それ以前に、【ファイヤーボール】を放てる程の魔力を持っている人を、まだ見たことがありません。
今は地道に【ファイヤー】と【ファイヤーアロー】から教えていくことにしましょう。
夢の中で、魔物が魔物を食べると強くなってしまうので、燃やすように教えて、魔物を燃やす【ファイヤー】と魔物を倒せる【ファイヤーアロー】を教えましょう。
うん、そうしましょう。
漁師さんたちに【ファイヤー】と【ファイヤーアロー】の魔法を教えました。もちろん夢の中でです。
これらの魔法は、思いの外、急速に広まっていきました。
舟の上で暖を取るのに【ファイヤー】の魔法が、特に歓迎された為です。
【ファイヤー】と【ファイヤーアロー】の魔法は、漁師さんたちを通じて、南西の森の村にも伝わり、倒した魔物を焼いて処分する様になりました。
魔物を燃やす習慣と火属性魔法が広まった事を喜びます。
【ファイヤーボール】へ一歩近付きました。
やったね。
南西の森の村を訪れる、武装した集団が居ました。
武装した集団は、北の森の村から来た男たちでした。
南西の森の村の事は、川を使って交流している村から伝わった様ですね。
熊を狩る事に飽きた腕自慢の男たちが、魔物を狩る為に南西の森の村を訪れたとのことです。
北の森にも村が在る事は、あの村の漁師さんたちを通じて知られていた為、北の森の村から来た彼らは、南西の森の村の人たちに迎え入れられました。
彼らと村の男たちは、一緒に魔物を狩ったり、武器や魔法についての意見交換を行ったりして過ごしています。
北の森の村人たちからは【バインド】と【気配察知】の魔法が。
南西の森の村人たちからは、【ファイヤー】と【ファイヤーアロー】の魔法が、それぞれ伝えられました。
北の森の村から男たちが来てから、大分経ちました。
かなりの数の魔物が狩られて、焼かれました。
しばらくは、魔物の脅威が低くくなりそうです。
北の森の村から来た男たちが、村に帰ることになりました。
南西の森の村の村人が二十人ほど付いて行く様です。
彼らは、熊を狩る事に興味を持った男たちとその家族です。
その男たちは、魔物を狩っても食料にはならない為、見返りの無い命懸けの狩りに不満を感じていた様です。
彼らは、どうせ狩るのなら肉や毛皮が得られる熊の方が良いと思い、移住する事に決めたのでした。
私は、北の森に向かう彼らを見守る事にしました。
彼らに付いて行きます。
荒野を歩いて三日目。雨が降りました。
彼らは、雨が降った事に喜んでいる様です。
不思議に思い様子を窺がっていると、雨を貯めて飲み水の確保をする様です。
そう言えば、この辺りには川が在りませんでしたね。
乾燥した荒野だけですし、水の確保は生死を分けると言っても過言ではありませんね。
魔法の出番です。
【ファイヤーボール】でないことは残念ですが、彼らに必要な【クリエイトウォーター】の魔法は大歓迎されるでしょう。
【ファイヤーボール】でないことは残念ですが。(大事なことなので二回言いました)
雨が降った日の夜。
彼らの夢の中で【クリエイトウォーター】の魔法を教えました。
魔力切れで倒れない様に、魔力を上手に使う方法も併せて教えました。
翌朝。
早速、【クリエイトウォーター】で水を作り出す人たちが居ました。
水の大切さを理解している様で、丁寧に水筒に入れています。
これなら北の森に着くまでの間、水不足で困る事は無いでしょう。
南西の森を出てから十二日後。
北の森の村に着きました。
南西の森の村から来た村人たち全員で、村長に挨拶をしています。
移住を願い出て、この村の仲間として迎え入れられました。
良かったです。
これを切っ掛けに、南西の森の村と北の森の村との交流が盛んになっていくことでしょう。
私は、村と村との交流が広まる事を喜びます。
彼らの交流で魔法も広まりましたし、私は嬉しく思いました。
私は今回の成果に満足して、あの村に帰りました。




