< 01 この世界に就任した神 ~五柱目 >
< この世界に就任した神 二柱目 >
とある世界の神に就任した。
「ここは、造られたばかりの、つまらん世界らしいな。」
「やることが無いんなら、めんどくさがりの俺には、ちょうどいいな。」
数々の太陽が生まれる瞬間などを眺めて過ごす。
飽きたので寝ることにした。
寝ている間に任期が終わっていたが、引き続きこの世界を任されたらしい。
「いい加減だな。」
寝てただけの俺に、言われたくはないだろうが。
「そう言えば、人間たちの様子を一度も見ていなかったな。」
人間たちの様子を見てみた。
森の近くに村を作り、狩猟生活をしていた。
人間たちの暮らしの様子を、ぼんやりと眺めた。
「これを眺めていても、つまらんよなぁ。」
少し眺めた後、俺はまた寝ることにした。
< この世界に就任した神 四柱目 >
「つまらない世界を押し付けられてしまった。」
「はぁ。」
「この世界の、人間の居る星の様子を見てみるか。」
荒野ばかりの大地に、点々と森が在った。
それらの森の近くに村が在り、村の周りに畑が在った。
「随分とレベルの低い生活をしているな。」
二日眺めた後、俺はこの世界への興味を失った。
< この世界に就任した神 五柱目 >
「やったね! 神に就任できました!」
「この世界で、ガッツリ神レベルを上げて、姉がしている様に、ステキな眷属を侍らせます! ぐへへへ。」
ステキな眷属を作る為には、私の神レベルを上げなければなりません。
その為には、人間たちの住む星の文明レベルを引き上げれば良いでしょう。
伸び代のある星だと聞いています。
「ガッツリと文明レベルを引き上げて、私の神レベルもガッツリと引き上げましょう。」
「私のステキな眷属の為に!」
「おー!」
この世界の人間たちを見てみます。
森のそばに村を作り、村の周りに畑を作って暮らしています。
狩猟と農耕を併せた暮らしの様です。
皆、質素で簡単な服を着ています。
服装に気を掛けるほどの余裕は無い様です。
「伸び代がある星ですか…。」
誰でしたかね? そんなことを私に言ったのは…。
「騙された!」と、言いたい気持ちを、グッと抑えます。
”伸び代がある”と、言うのは、一応間違ってはいないと思えるので。
くそう。
人間たちが暮らすこの大地を、上空から眺めます。
荒野が広がるばかりの大地に、点々と森が在ります。
そして、森のそばに村が在ります。
他の森にも、そばに村が在りますね。
森が生活の中心になっている様です。
そして、森と森とが離れている為に、村と村との交流が無い様です。
森を広げて繋げれば、生活圏が広がり、村と村との交流が行われる様になるでしょう。
他の村との交流が行われる様になれば、競争や協調がうまれて、文明レベルを引き上げることに繋がりそうですね。
うん、良いですね。
さらに、森を広げるのを一晩の内に行い、神の存在と、その圧倒的な力を示し、崇拝する気持ちを抱かせましょう。
人間の、神を崇拝する気持ちが、神たちの力、”神力”になるのです。
この星の文明レベルを引き上げる為には、多くの神力が必要になるでしょう。
その為の神力を集める、第一歩としましょう。
私のステキな眷属の為に。
早速、行動を起こします。
沢山の神力を使って、一晩の内に、広大な森を作りました。
頑張って、四つの森を繋げました。
よし。
これで、生活圏が広がり、村と村との交流が行われる様になるでしょう。
そして、広大な森を作った神の、その偉大さを知った人間たちが、神を崇め、崇拝する様になるのです。
そして、それが私の神力になるのです。
「さぁ、私を崇めるのです。人間たち。」
私のステキな眷属の為に。
そして………。
人間たちの生活圏が広がることは、ありませんでした。
私を崇める人間も居ませんし、私の神力が増えることもありません。
沢山、神力を使ったのに…。
くううぅ。
人間たちの声を聞きました。
私が作った森を、人間たちは”不気味の森”と、呼んでいました。
私の持つ、多くはない神力で、頑張って広大な森を作りました。
木の一本一本にまで、気を配る事が出来なかったのは、仕方が無いことです。
その為、森の中の木が、すべて同じ形をしているのも、仕方が無いことです。
同じ形をした木が規則正しく並ぶ様子を見て、人間たちは”不気味の森”と、私が作ったその森を呼んでいました。
人間たちに、私を崇める様子はありませんでした。
………。
………。
私のステキな眷属がぁぁ。
夜。
私は、天と地上の間の”曖昧な場所”で、森を見下ろしながら、ヤケ酒を飲んでいます。
この星ではお酒が造られていないので、天界で購入してきたお酒を飲んでいます。
美味いお酒が造られている星では、お酒が造られる度に、そのお酒をお供えし、神に感謝しているんだそうです。
その世界の神は、お供えのお酒を飲み放題の上、神力も沢山得られると聞いています。
別の世界の神は、「お酒を飲んだ後の”らーめん”は最高だ。」と、言っていました。
私の世界には、お酒も”らーめん”も有りませんし、神力が得られることもありません。
私のステキな眷属が………。
諦めきれない私は、泣きながらその言葉を言っていました。
「くりえいとぉぉさぁばんとおおぉぉぉぉ。」
「うぇぇぇぇーーん。」
”不気味の森”を恐れた人間たちの負の感情から、森の動物が魔物に変化する現象が起きました。
私は神をクビになりました。
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次回投稿は、9/24(一週間後)18:00を予定しています。