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リレビュー・四百文字のその先  作者: 稲村某(@inamurabow)
第一部・秋山エルザ(巨乳眼鏡)編
3/5

へのゐ・作【ぼくはおっぱいがもみたい】

【へのゐ様作・ぼくはおっぱいがもみたい】は完結済み小説です。へのゐ氏のパトス溢れるエネルギッシュな小説の一端でも御紹介出来ることに感謝致します。あと、読め。



 ガタガタ、ゴトゴト……。


車に載せた荷物が微振動で音を立てる中、彼はハンドルを握り締めながら前方を注視している。

傍らには強張った表情で遥か彼方を眺める黒髪眼鏡の女性が、無言で座っていた。……あー、折角の美人が勿体無い!!


【秋山エルザ。三度目の登場だが、今回も稲村某のレビューに付き合うことになった某出版社新人編集部員。編集部内では稲村某が何時口説くか賭けが行われている位の美人。黒髪眼鏡でGカップならば……無敵だろう?】



何処にでも在るような、ありきたりなワンボックスカーがひた走る。振動の度に助手席の秋山嬢の豊満な箇所がどすんばすんと踊り、ついでに運転席の彼の脈拍も上がるのである。


【稲村某。顔面偏差値は痩せれば凛々しいとか嫁には言われるが、呪いが解ければ蛙から王子に戻れる、に近い話ではある。……勿論その予定は無い】



……さて、手短にどーしてこうなったか?を説明すると、




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「センセぇ~!……その節はお世話様でした……で、聴いてくださいよぅ私のドジっぷり……」


模範的な社交的微笑を浮かべて挨拶をしたかと思えば、急転直下でダメッ子アピールを始める秋山嬢。何でも前回の飲み会は何とか経費で落ちたものの、その時に間違えて宿泊したホテルの領収書を提出してしまったらしい。

当然その分は経費で落ちる訳は無いので、彼女はだからこそ忘れていたのだが、何の因果か通過してしまいゴタゴタが発生……気がつくと上司共々経理に呼び出され、「二度とこのようなことは無いように!」と釘を刺されたそうだ。


「……別に経費を不当に使おうとかなんて、ちっとも思ってなかったのに……【本当は妙なホテル(笑)に行こうとしたんじゃないの?】とか言われちゃうし……」


「それ、完璧なセクハラなんじゃないの?」


「あ、女の上司なんで……」


「あ、そう……」


うん、御愁傷様としか言えないや……会社とか嫌になったから自由業(苦笑)になった自分から見れば、そう言うのは面倒の一言に尽きますな。



言葉少なに車を走らせる俺は、そんな風に消沈している彼女を元気付けようと目的地を決めて走り出したのだ。

田舎道をひた走り、次第に山間部へと差し掛かる街道筋から外れ、沿道のコンビニ駐車場に車を停めて、俺は車のドアを開けて彼女に声を掛ける。


「この先はコンビニ無いから、この辺りで飲み物とか買っていこう」


「……?……ところで、何処に向かっているんですか?私が駅に到着して直ぐに連絡したら車で拉致されて……」


「しとらんしとらん、つーか店内で迂闊なこと言わないで……」


踏み入れたコンビニ内の店員に、一瞬だけギラリと睨まれてしまった……そりゃそーだ。スーツ姿の秋山嬢とラフな格好の俺は、あまりに釣り合わない。買い物を済ませてそそくさと退店し、車を更に走らせると、


「あ!牛が居ます!可愛い……♪」


いや、牛よりも確実に君の方が可愛いが……それはともかく、車は山道を抜けて山間部に有る目的地へと到着した。


「……管理……釣り場……ですか?」


「そう、管理釣り場。来たこと無い?」


「う~ん、私……昔からインドア派だったからこう言うのは初めてです……練り餌とか使うんですか?」


それはヘラブナ釣りね……ここはルアー使用のマス釣りだから餌は一切御法度でござんす。さて、どうなることやら……?



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



管理棟で格安の半日券二枚を購入し、整地された池の畔で道具の準備をし、何回か彼女にルアー釣り用の竿とリールの使い方を教えて釣り開始……。


「きゃ~ッ!?釣れたのッ!?こ、これどーしたらいいんですか!!」


「うん、まずは落ち着いて池から離れてね……それとリール巻くの逆だから……あと竿は立てましょう……」


ここは穴場中の穴場だから……平日の昼間なんて客は俺達以外居ない。騒いでもまぁ問題ないし、擬似デート気分を味わうには……いやいやそうじゃない!これは秋山嬢を励まして元気を取り戻す為に……あれ?何か忘れているような……。



そうやって暫く釣りに興じ、何匹かのマスを手にした秋山嬢の表情は、いつにも増して輝いていた。そりゃそーだ。魚釣りに来てバラした(針には掛けたが逃げられた意味)魚が数十、釣り上げた魚は二人で十匹に到達したのである。先生がよかったのか、自作の違反スレスレのチートルアーがハマったのか、いやいや生徒役の秋山嬢が優秀だったからだろう。


此処には釣ったマスを自分で塩焼きに出来る設備が在る為、俺はマスやヤマメ、イワナ等をさっさと(はらわた)抜きし、持ってきた塩を振ってバーベキュー場で新聞紙を使って木炭に火を起こす。


「……やたら手際が良過ぎませんか?何だか売られている塩焼きみたいに波打って串に刺さってるし……」


「踊り串のこと?こーすると見た目もいいし、魚から簡単に串が抜けるんだよ。勿論、一度竹串は水に浸けてから使うとか色々とお約束はあるけどね」


「……やっぱり素人じゃないですよね、センセって」


頬杖しながら穏やかに微笑む秋山嬢を見ていると、我知らず胸の内に去来する(もしン十年前に出会っていたら……)なんて想いも過るが、今の俺の年齢からすれば……親子に近い年の差である。悔しいがオタ娘が居るおかげで変に若い女性に対する免疫力がついた気がする。ホント、全然要らない能力なのに……。



車のクーラーボックスから持ち出した泡の出る飲み物を彼女に差し出すと、苦笑いしつつ受け取りながら「酔わせてどーするつもりなんですか?仕事で来ているのに……」と言いつつ秋山嬢は受け取って、プシッ!と快音を立てて栓を切った。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳


「それで、レビューする作品は決まってるんですか?」


焼きたてのイワナ、そしてヤマメを食べ比べしながらビールで口中を洗い流してから、彼女が訊いてくる。


「うん。【ぼくはおっぱいがもみたい】なんだよ」





「……センセ、酔ってます?」


「いや、全然酔ってないし、タイトルが【ぼくはおっぱいがもみたい】なんだよ。今現在の自分の心境を駄々漏れさせた変態紳士とかじゃないからね?」


「……なーんだ……でもよくそんなタイトルの作品を見つけましたね……やっぱり変なこと考えてたんじゃないですか?」


……なーんだ……って!ま、まさか揉まれてもいいとか言うつもりだったとか……!?まぁ、実際はとっても揉んで揉んで揉みしだきたいんですが、それはレビューと全く関係ないしこんな場所でやったら犯罪(猥褻罪)である。


「タイトルに関しては作者のへのゐ氏も【直接過ぎるタイトルはウケが悪いとよく言われた】と明記しているし、君だってそのタイトルで読みたくなる系列だ、なんて想像出来るかい?」


「無理ですね……あ、でもこのタイトル、全部平仮名なんですね?う~ん、こうやって見てみると……絵本のタイトルみたいですよね!」


「そう!そこ!実は俺も児童書のタイトルみたいだなぁ、って思ってあらすじを見てみたんだけど……」


【人間文明が衰退し、地上からその姿を消して約2000年。

天空に浮かぶ人工島で最後の人類の世話をしていた白熊型人工生物『フルーフ』は、ひょんなことから地上からやってきた新しい人類『亜人』の少女に出会い、汚染されていた大地に降り立ちます。


地上に降り立った彼が見たのは、亜人たちが新しい世界を営み、魔獣やグールといった怪物たちと生存戦争を繰り広げている、黎明の時代。


かつての文明が遺したコミックやノベルを読んで、本の中にあるような冒険や出会いに憧れていた10歳の人工生物はさっそく亜人たちに接触を試みようとします。

ですが、彼は農作業用のユニットとして生み出された人工生物で、とてつもない力と頑強さを持ち合わせていますが、その見た目は恐ろしい獣の姿です。ときに亜人たちに恐れられることも。


「いやああっふうううう! そんなことより冒険だ!」


だけど、自重を知らない人工生物は気にすることもなく、能天気にロストテクノロジーの力(主に腕力)で旅をする。

そうして無垢な生命は未知の世界を冒険し、様々な出会いを重ね、やがて己の自我を確立していくのです。】(ぼくはおっぱいがもみたい・あらすじを転載しました)



「……主人公、シロクマなんですね……爪があるからおっぱいが揉めませんよ?」


「あ、そこなんだ……って確かに!!まぁ、それはともかく、この物語の要は《自分探し》と《失われた文明の片鱗を探す旅》なんだけど……この主人公にとっての失われた文明ってのは、ラノベ主人公達みたいにキャッキャッうふふしたい、ってことなんだよね」


「人工生命体ってよりも小学生男子みたいですね」


「それも修学旅行の夜系のノリのね。でも、彼はその満ち溢れるエネルギーと持ち前の頑丈さで、ひたすらラノベ的な出会いや冒険を夢見て邁進していくんだ。それはそれは実に潔く、そして熱血的にね」


俺がそこまで語ると、聞きながらタブレットを読んでいた秋山嬢は不意に顔を挙げて此方を見つめ、


「ところで、この主人公……やっぱりシロクマなんですよね?」


と再度尋ねてくる。残念ながら中のヒトとかは存在しない。毛皮に包まれたいわゆる獣である。ちなみにシロクマ、北極熊の毛皮はとんでもなく高い。一センチ平方辺りで千円近くする。何に使うのかと言うと、毛鉤の材料に使われるのだが、水に濡れるとやや水色がかった透明な色彩を放つのだ。その透過性が魚を妖しく誘うのか、かなり有効な素材である。蛇足だが。


「シロクマだよ。でも、彼の知性は限り無く人間そのもの。つまり、シロクマの姿をした十歳の少年って感じだね。あとコンビを組む人工生命体はもう一体いて、そっちは大きなカメレオン型のロボット。主人公いわく【素直になれない皮肉屋のツンデレタイプ】だって」


「うふふ……♪彼女は居ないのに、ツンデレの相方は居るなんて面白いですね!」


「そうだね。でも、ちゃんとヒロインは存在してて、その彼女は犬耳尻尾ちゃんの【魔法使い】なんだよね。」


「うむむ……人類が限り無く少なくなった世界で、亜人種の魔法使いかぁ……突飛な設定で付いていくのが大変そうですね」


「いや、そんな心配は要らないよ。話の進行に合わせて主人公視点で柔らかく噛み砕きながら、世界設定は判るようになっていくし、敵役の存在は単純明快な【グール】と呼ばれる全生命に憎悪を抱く変異体のみだから、しつこいだけの戦闘描写も少ないよ。異世界紀行に近い冒険譚として楽しめるさ」


「なるほど……で、センセはこの作品のどこに惹かれたんですか?」


「うーん、それはね……こんなタイトルにも関わらず全年齢対象、ヒロインは五話程度しか出てこなくて、おまけに二代目ヒロイン格の女の子は痩せた12才位のひねた亜人種の少女……なんだけど、みんなみんな《生きる為に必死になって頑張っている》姿がハッキリと描写されてて、希望を持って生きて、望まぬ死を迎える者は……キッチリと残したい者に向かって《自分の分まで生きてほしい!!》って訴えて死んでいくんだよ……でも、だからこそ!!……生きて……笑って嬉しい時は元気になるみたいな……そんなことが文面から滲み出て、読み手に浸透するみたいなお話なんだよね」


「…………なんか、スゴいですね……」


「そう……なんか、スゴいんだよ。二代目ヒロイン格の娘も、最初は笑うことは《庇護を受ける為に必要な演技》として身に付けているだけ、只の擬態に近いんだけど、話が進むにつれて主人公から無理矢理にぐにぐにと顔をいじられたりしていくうちに……笑う意味を見つけるんだ」


「笑う意味を見つける……?」


「いや、単純な理由なんだよ。俺達だって笑う意味を考えながら笑ったりはしないんだけど、笑えないような環境に長く居ると、そんな単純な理由すら希薄になる。しかし、周りの大人達が彼女を暖かく迎えて、本当の気持ちを晒し出して生きることを教えていくんだ」


「……ち、ちょっと待ってください!主人公の存在意義は!?」


「ん?……あぁ、そうだね……この小説は、主人公の視点の前半と、二代目ヒロイン格の視点の後半で成り立っている、と言えるよ」


「あ、そうなんですか……じ、じゃあ……まさか、ロリ細な少女の胸を揉みしだくようなお話には……なりませんね?」


「うん、全くならない。あ~、全裸待機の皆様にお知らせします。この小説は、一切の全裸要素は御座いません!!この物語は清々しい位にラノベ主人公に憧れる偽シロクマと、ロリ細少女の成長そして主従関係を描いた爽快冒険譚です!!」


「うわっ!!センセが珍しく言い切った!!レビューじゃ絶対にやらない一刀両断説明!!」


「うん、あんまりそう言い切ってレビューすると、先入観で読み手の想像力の邪魔をするからね。俺、想像力なくして小説は成立しないと思ってるから」


「じゃ、何でここでは言い切ったんですか?」


「それはね……へのゐ氏の文章構成について少しだけ言っておきたくてね……新作の小説でも一人称の軽妙なテンポで進行しているんだけど、一貫して若干低年齢に振った視線を維持しながら、物語が破綻しない程度までは自然な説明になっていたり、神経が行き届いた読み易い構成で読者層を限定しない強さがあるんだよね」


「スゴい褒め方ですね」


「うん、俺には真似できない。ただ、俺みたいな硬い書き方の小説表現も全くしない訳でもないし、検索除外非公開になってしまった【ご機嫌!魔王様チャンネル!!】って小説ではキチンとオッサン視点の書き方をしているし、書き分けは出来るかと思う。ただ、やっぱり現在のネット小説ではそうした書き方の方が人気が出るみたいだね」


「じゃ、センセも魚の捌き方みたいに練習してミリオンセラー目指してくださいよぅ」


「うむ、出来たらね……」


毎度ながら辛辣な彼女の言葉は、魚のはらわたのように苦みばしった後味を稲村某に与えたのでした……。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



【ぼくはおっぱいがもみたい】は、稲村某が初めてレビューした作品です。その成果は……まぁ、レビュー日時と閲覧数を参照してみてください。


この場をお借りして、作者の暖かいご厚意によって再レビュー出来たことを感謝いたします。そして……ありきたりの一辺倒な潮流に、少しでも変化が生まれるように祈ります。


ちなみにタイトル表示面のランキング欄が改編されて、数年間ずっと過去の出版作のカンバンと化していたランキングが動きを持つ物になりました。やー、やれば出来るじゃん!!とか思ったりして……ま、俺には縁無いけど、何だか嬉しい。運営様に感謝。


最後に、作中の小説あらすじ等の転載は作者の許可なく勝手にすることは著作権侵害に当たります。へのゐ様、これからも稲村某が御迷惑お掛けしますかもしれませんが、許してくださいませ……。




読んだ?でしたら氏の感想欄に何か残していってください。こちらは……まぁ、気が向いたらでいいです。次回は【中々中作・ムッチ打ちの少女】を再レビューいたします。うーん、秋山嬢とキャラが被る……訳ないか。

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