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森からの旅立ち

夜も明けきらぬ薄明かりの森の入り口に、2つの人影が向かい合って静かに佇んでいる。

薄明かりのなかに佇んでいるのはこの森に来た鈴霞とネアだ。


「気を付けて行くんじゃぞ。そうじゃ、これが最後のプレゼントじゃ」

ネアが懐からペンダントを取り出し、鈴霞の手のひらに乗せた。

「これは?」

三日月のペンダントトップと一緒に小さな長方形の銀色のカードが付いている。

「そのペンダントに魔力を流すと、そのカードが身元証明になる。利用すると良いぞい。こちらの不手際で不自由な思いをさせて済まんの。それから名前なんじゃが、この世界では地球での名前は使わん方がよい。新たに人生を始めるんじゃから。名前は『リン・トウヤ』じゃ。ステータスの名前も同じじゃからな?」


「はい。こんなに、色々と有り難うございます。そこまで不自由な感じはありません。むしろ楽しいんです。今まで時間に追われるような生活してましたから。───ネアお爺ちゃん……いえ、『創世神様』お世話になりました。女神様にもお礼を伝えてください」

「なんと!バレておったのか……。ふぉっふぉ、いつからじゃ?」

「ネアっていう名前から何となく、です」

「そうかそうか。ワシもまだまだだの。リン、ワシはお前さんを可愛い孫だと思っておる。気を付けて行くんじゃぞ?」

「はい!では行ってきます!」

ペンダントを首につけて深々と頭を下げると、鈴霞は街道に向けて歩き出す。ここから──────新しいスタートだと、気を引き締めて。『リン・トウヤ』として生きていく。──リンは後ろを振り返って大きく手を振り再び歩きだす。どんどん小さくなってネアからは見えなくなった。



「行ってしもうたの……。さて、ワシは上から見守ることにするかの」

ニコニコしながらネアはそう呟くと、姿を消した。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



森から出て歩き、数時間。リンは街道に続く獣道を歩く。途中で魔物と出くわし戦闘しつつ、暫く歩いていると拓けた場所に出た。綺麗に整備されている場所の中ほどに出て辺りを見回すと、右と左に道が続いている。


「結構歩いたなー。っと、街道に出たら左に行くと和国オウラだったわね。あ、その前に辺境都市レグリアだっけ。カードの確認しておかないと不味いよね」

リンは呟きながら一旦足を止め、先ほど貰ったペンダントに魔力を流す。

プレートが大きくなると、浮かんだ文字を読んでみる。どうやら冒険者ギルドのギルドカードのようだ。



名前:リン・トウヤ

年齢:15

性別:女

種族:ヒューマン

LV:50

HP:3500(+25000《隠蔽》)

MP:3450(+25000《隠蔽》)

属性:火 聖 (水 風 土 闇 空間《隠蔽》)

スキル:刀剣術 武闘術 家事 (魔闘気 索敵 鑑定 隠蔽 威圧 転移《隠蔽》)

称号:無し(創世神が後見する者 転生者《隠蔽》)

加護:女神リーシアの祝福(創世神ラムネアの加護《隠蔽》)

ギルドランク:C



「リン・トウヤか……。うん、良いわね。ギルドカード登録は必要無いから助かった。隠蔽されてるけど、バレたらちょっと面倒かも……。」

疑問を持ちつつもカードを仕舞うように念じると、カードはペンダントトップに戻った。

「取り敢えず、先に進んでみないと分からないよね」


リンは小さく息を吐き、索敵を始める。マップが出てくるが、マッピングのスキルを持っている訳ではない。不思議だ。

辺境都市までは、歩いて20日程。リンの歩行スピードでは15日程だ。

街道は馬車が行き交うのに余裕があるくらいの広さがあり、今のところは行き交う人もいない。

マップを確認すると、ここから3日かけた場所に野営地点があるようだ。


「急ぐ旅でもないし。アチコチ鑑定しながら行こうっと♪」


フードを目深にかぶり直して鼻歌混じりに歩きだし、先ずはそこを目指すことにした。





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