異世界到着、ステータスがおかしいです
「……ぅん……はっ!」
ガバッと勢い付けて起き上がる。
「ここ……は森の中?」
キョロキョロと辺りを見回す鈴霞を、緑の匂いが包み込む。
日差しが木々の隙間から降り注ぎ、心地よい空気に包み込まれる。綺麗に拓けた所だ。
小さな泉があり、その側に小綺麗な小屋が建っている。
ゆっくりと立ち上がった鈴霞は、緩やかな足取りで小屋に近付く。
小さな日本家屋のような造りの小屋だ。
「綺麗な所だ……ナビゲーターってどこに居るんだろう?」
辺りを見回すが誰もいない。
小屋の中かもと思い、ゆっくりと扉を開ける。
「すみませーん、誰かいらっしゃいませんか?」
声を掛けたが反応が無いので中に入ってみる事にした。
中にはキッチンと2人掛けのテーブル。所謂ダイニングキッチンだ。キッチンの側にある扉の奥はバスルーム。
ダイニングから繋がる短い廊下の奥の方にある扉を開けると、ベッドとサイドテーブルが見えた。寝室だ。
「誰もいない……。取り敢えず、ナビゲーターさんが来るまで待つしかないようね」
溜め息混じりに呟くと、寝室のベッドに腰掛けた。
「うわぁ……ふかふか‼」
柔らかな感触に顔が綻ぶ。ぽすん、と鈴霞は横になった。
ナビゲーターの姿は見当たらない。
ベッドで仰向けに寝そべって天井を見上げた。
「まさか、私が異世界に来るなんてねぇ……。あ、そう言えばステータス確認しないと。『ステータス』」
他に人がいるわけでも無いため、鈴霞は声に出す。
開いて覗いた瞬間、
「えぇぇぇぇぇ~!?」
鈴霞は思わず叫んだ。
「ちょっとどういうコト?私が頼んでないスキルまで有るんだけど⁉」
ステータスを凝視する。
名前:遠宮鈴霞
性別:女
AGE:15
種族:人族
職業:魔刀剣士
LV:1
HP:700《+500》
MP:950《+500》
属性:火 水 土 風 聖 闇 無 時空
スキル:刀剣術 武闘術 魔闘気術 無詠唱 練気 隠蔽 鑑定 威圧 家事 索敵 状態異常無効 精神耐性 全言語理解
称号:創世神が後見する者 転生者
加護:創世神ラムネアの加護《孫娘》
「火と時空の属性以外は希望してない…………で、何で威圧?要らなくない?年齢が15ってどういうコト?創世神の加護って……リーシア様の加護じゃないの⁉創世神様なんて会ったこと無いんですけど‼」
色々と違う部分に突っ込みを入れても変わることはない。
はぁ……と鈴霞は溜め息をついた。
「ステータスを見て色々考えたって減るわけ無いよねぇ……頭痛いわ。ふかふかベッド気持ちいいし、ナビゲーターさんが来るまで寝よっと。これからどうするかなんてナビゲーターさん来ないとどうしようもないし……何か疲れちゃった」
ふあぁ……と欠伸をした鈴霞は眠気に身を任せ──────そのまま意識を手放した。