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プロローグ

改訂前の物ですが、楽しんで頂ければ嬉しいです。


真っ白い空間にショックを隠せない女性─────遠宮鈴霞は辺りを見回す。

自分はバス停にいたはずだ。何時ものように会社に行って、今日は珍しく定時で終わった。バス停に着き、明日は久し振りの休みだからまったり過ごそうと。

そんな事を考えながら、高校生が3人で仲良く話してるのを少し離れた場所から見ていたのだ。

私にもあんな時期があった。18歳の夏、4人の友人達が姿を消すまでは。


友人達の飲み物を買いに、教室から出た瞬間だった。幾何学模様の魔法陣が出現し、魔法陣の外側にいた自分は何かに阻まれて中には行けず……4人の友人達は幾何学模様の魔法陣に飲み込まれて消え、助ける事すら出来なかった。

教師や友人達の親に説明しても信じてもらえないだろうと思い、どうすることも出来ず……ただ知らないと言うしかなかった。

あれから10年の月日が流れた。

そういった思いに耽っている時に、事は起きた。

バス停にハンドルを切り損なった車が結構なスピードで突っ込んで高校生3人を跳ね───それと同時に魔法陣が出現して高校生3人を飲み込んだのを見た。その後自分の方へ向かってきた車に跳ねられた所までの記憶しかない。

自分は死んだのだろうか。


「……誰もいないなんて───誰かいませんか⁉」

────静寂。小さく溜め息をつき、鈴霞は考える。

まさか、自分の身に小説───ラノベの定番が降りかかったのでは?と。

確かに、ラノベは好んで読んでいる。こういう世界に行ってみたいなぁ程度に思ったことはあるが、まさか現実に起こるなんて。

再び溜め息をついたとたんに声を掛けられた。


「─はい。こちらにいます」


鈴霞の後ろに気配。勢い良く振り向いた先に────見目麗しい女性が静かに立っていた。


「遠宮鈴霞さん、ですね?私はこの異世界アークスライドを統括する女神でリーシアと申します。貴方は今回、別の異世界の勇者召喚に巻き込まれ、召喚の余波で死亡しました。申し訳有りません」


女神リーシアは鈴霞と呼ばれた女性に深々と頭を下げた。

「死亡しましたって……じゃあ私、地球に帰れないんですか?」


「……生き返りとしては帰れません。完全なこちらの不手際です。なので、私の担当世界の者たち───貴方の世界の言葉を借りるならば、上司と部下ですね。その話し合いの結果、鈴霞さんに異世界アークスライドへ転生して頂こうと言う話になりました。地球の神にも謝罪致しました。地球の神は、貴方が転生を選ぶならば好条件で、と仰いました。選ばないときは、此方に魂を戻し、記憶を消した上で新しい命として輪廻転生させるからとも仰いました」


リーシアは淡々と説明。

鈴霞は呆然と聞くしか出来なかった。

だが、鈴霞に身寄りはいない。両親は高校生の時に事故で失った。近しい親類もいない。


「そんな……まぁ良いですよ。向こうに大した未練も有りませんし。あ、気になることと言えば、異世界へ転生する場合の私の記憶ってどうなりますか?」


少しの沈黙の後にそう言うのだった。


「鈴霞さん、何だか随分軽い感じが……」


「そうですか?だって、こうなったものはどうしようも無いじゃないですか。地球に戻って記憶消されてまた赤ちゃんから……なんて、嫌ですから」


「そうですか……では、お答えします。────私の統括する世界に転生する条件として、記憶、地球で培ったスキルのうち実用性のあるスキルを持ったままの転生になります。この世界は剣と魔法の世界ですので、他に希望のスキル等を付与致します。ただ……」


「ただ?」


「私が管理している地上の森へと降りて頂きたいのです。そこにナビゲーターを少しの間ですが置きますので、色々と学んで下さい」


神妙な面持ちのリーシアを見て、鈴霞は頷いた。


「……お願いします」


「はい。では、スキルと魔法のリストをお見せします」


リーシアが出したのは……タブレット。

鈴霞は少し驚きながら受け取ると、画面を見た。

「まさか、タブレットとは」

「地球の神に融通していただきました。とても便利です」


その言葉を聞きながら、鈴霞はタブレットを覗き込んだ──────

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