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ある小さな恋の物語⑨1度目のcatastropheに向けて②

「結婚しないにしても、そういう付き合いの噂もないからあっちの方の趣味かと思ってコイツと心配していたんだぜ?」


「それで、そんな事を酒を呑みながらはなしていたのを母上に見つかって、大目玉喰らったんだぜ?。

俺達、もう三十路超えたってのに相変わらず子供ガキ扱いだもんよ、まあ、相変わらず、母上は怖いけれどな」


少しばかり下世話な内容ながらも、どうやら恋愛(そちら)の方面で、家族に本当に心配をかけていたのだとスパイクは腹違いの兄達から挟まれた状態で確認する。

それに特に義母に心配をかけたという言葉が、何気にスパイクの胸に突き刺さる。


腹違いながらも、愛情深く育てて貰ったという自覚は十分あるし、気のせいでなければ腹違いの兄達よりも、扱いが"末っ子"という事もあって可愛がってもらった。

注がれた愛情に関しても、裏も表もなくて、スパイク・ストラスを自身が産んだ息子達と変わりなく、今も慈しみ愛してくれている。


―――スパイクは、兄弟の中で賢さと思慮深さでで言えば一番ですね。


厳しくもあったけれども、認めて貰える活躍は見逃しなく全て見つけだし、褒めて肯定して貰っている事の再確認が、出来るれば出来る程、胸が痛んだ。


特に、昨夜"サブノックの賢者"となっている人との本当の繋がりを、確信を得たばかりなのも相俟って、義母への申し訳なさと裏切りを行った様な気持ちを抱いた複雑な心境というものになれる。

そしてその義母の子となる兄達が、純粋に心配の為にかけてくれている言葉に、少なからず非難が込められている様に、勝手に感じてしまっていた。


「……スパイク、世話になったのも判るし、出世にも確かに繋がったけれどもあの賢者の所ばっかりに行っているみたいだけれども」


「母上の所にも顔を出してやれよ。

俺達の妻が孫を連れて行ったりして、寂しくはないだろうけれどさ、孫と子どもはやっぱり違うみたいだからさ。

スパンコーンも、てっきり母上が預かるもんだとばっかりに思っていたんだけれどもなあ。

面倒はかけなかったが、母上には懐かなくて、父上に同行していたお前の提案で賢者殿に連れて行ったなら落ち着いたしな」


賢者の名前が出される度に、勝手に裏切ってしまった気持ちは膨らみ、スパイクの胸の内で罪悪感は重くのしかかって来るのでした。


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