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ある小さな恋の物語⑦振り返る影③

「―――それで、アングレカム・パドリックとやらが考えたという、1国に4人までの英雄の仕組みを、うちの国も受け入れちまったという事かい、レナンセラ王。

というか、あんたは"現場"にいたんだろう、どうだったか話しておくれでないかい?」


自分の国の重鎮に訊くよりも、南国への帰り道に寄ってくれた異国の王をもてなし、詳細を尋ねた方が早いと判断した賢者は、自分の天幕に小さな宴席を作っていました。

とはいっても、本当に南国の王とサブノックの賢者が差しで飲むくらいで、護衛も南国の王の直属の護衛である、褐色の肌をした美女を入り口に立たせているぐらいです。


「平定された新しい国の宰相殿は、どうだった?」


南の国の王が土産に持ってきたライスを蒸留して作ったという酒が入った、"カラカラ”というガラスの容器を持ち上げ、サブノックの賢者が彼が手にする猪口という小さな器に注ぎながら、尋ねます。


サブノックの賢者としては、自分に色んな物を押し付けて、この世界から旅立った異国の宰相の"後釜"が少しばかり気になっていました。


「それはそれは、見た目麗しい青年―――というには、少々年を取り過ぎていたかな。

まあ、見た目は新しくセリサンセウムの英雄となったイキガ(男)の中じゃ、一番男前だった。

うちの”ニービチ(結婚)はしない”と豪語する護衛のミルトニアですら、少し見惚れたぐらいだ。

それと、うちの国の者かと思うくらい、肌が褐色色をしていたな」


そう言うと、今度はレナンセラ王がカラカラを持って、賢者に酒を進めますが、掌を見せて断りました。


「酒は19の時に悪酔いしてから、2度と口にしない決めたんだ、進めないでおくれ」


「……サブノックの成人は20だった気もするが、まあいい。

それで、今回のセリサンセウム王国の"新しい宰相"も、結婚する気はないと豪語していたな。

まあ、子どもを作らんとは言っていなかったし、あの色男ぶりなら、相手に苦労はしないだろう。

ある意味、次世代を1つも残さないのも勿体ない話でもある。

"四ツ葉の血"も、途絶えた事が誠に残念よ」


そういって、酒豪でもある南国の王様は酒を呑み、そして"トリフォリウム"の血が、残っている事はどうやら本当に知らない様でした。



「……ふん、色気のない話だが、賢者として賛同しようかね」

賢者はそう口にして、次の話題を考えていました。

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