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"友だち"ってなんだろう?

「へえ、シノちゃんも友だちそんなにいないんだ?!」


便箋の上に右手でペンを走らせながら、アプリコットが左手で豆の塩茹でを摘まみながらそんな事を言う。


「はい、というか、でも残って付き合ってくれているのも、友だちよりも幼馴染みといった方が近いかも。

でも、別にあんまり寂しい事が、キツいとも思わないんですよね」


シノはかつて、この店に訪れたやんちゃ坊主と、ウサギのぬいぐるみを抱えていた女の子に進めた飲物を、"客"の立場として交代に飲みながら、そんなことを言う。


そして自分の進めた味が、2人の子供たちに合っていたと、自信を持ちつつアプリコットの話すことにも耳を傾ける事に余念がない。


「そうなんだよね~、1人が慣れてたら、それは傍目には寂しそうにみえるかもしれないし、まあ寂しいんだろうけれど、気楽なんだよね。

かといって、波長が合う方と話すのも全然嫌いじゃないし、楽しいよね~」


「でも、そうなると日頃のお付き合いが、疎かにしていると"調子の良い時だけ使われている?"みたいな考えを、互いにもってしまいそうで遠慮してしまうんですよね~」


先程から、語尾に"よね~"をつける会話を繰り返す2人の婦人を眺めながらシュトは、炭酸水に柑橘の実を搾った汁を垂らした物を飲んで眺めていた。


「シュト兄、アプリコット様と"シノちゃん"、お酒を飲んでいますか?」

「いや、1滴も飲んでないからな、うん」



「"しょう"くん、リリのウサギさんと同じくらいフワフワしてそうです。

でも、初めてはびっくりするから、いきなり触ったらいけません。

それに"くちばし"はとっても尖っています、触ったら痛そうです」


アトはそんな事を言いながら、居酒屋の奥座敷ではなく、外にある座席でリリィが飲んでいたと言う、野菜とフルーツのミックスジュースを飲み、揚げたてで熱いポテトを慎重に摘まむ。


可愛い動物は大好きだけれども、初めてであるものは怖いのが本当はアト・ザヘトの方なので、店の外にある座席の背凭(せもた)れに、行儀よく止まっている名前が兄に少し似ている白いフクロウを、興味深そうに見詰めていた。


フクロウの方は、何処かの耳の長い賢者以上に円らな瞳を、パチパチ瞬きをするぐらいで特にびっくりしているようにも見えなかった。


ただやはりフクロウというのは珍しいらしく、夕暮れの宿場町で屋外の居酒屋の前で食事をしている4人連れのよりも眼を止める事になっている。


道すがら通る旅人に指を指されたり、中には手を伸ばすものもいるがその時には、器用に羽ばたき場所を向かい合わせに別れて座っている間を移動するので、フクロウを触った人は未だにいなかった。



「フクロウの"(しょう)"君に注目が集まるから、私も気兼ねなく"仮面"を外せるわあ~」


そんな様子を眺めながら複製品(レプリカ)の仮面を外してはいるが、一応"ケロイド"が薄くある顔を造り、アプリコットは笑顔を浮かべながら、こちらはシュトと同じ炭酸水に、更に擦りおろした生姜を足して飲んでいる。


「ウフフフ、可愛いですよね。もう一匹、真っ白なミミズクの"(すず)"がいるんですけれど、先に手紙をもって行ってもらっているんです」

「"先に"って、さっき俺等―――というよりは、アプリコット様を強引に店のなかに引き込んだ時の事でも、王都の誰かに報せにでもいっているのかよ」


相変わらず見習い執事の状態で接する相手でもないので、“素”のシュト・ザヘトのまま、向かい合わせにシノの眼前に座り、"何か"あったなら直ぐにでも武器である銃を抜けるようにしている。


そしてそのシノ横に座っているのは、弟のアトで"悪いことをしたら、銃で撃ちなさい"と少々物騒な事を、兄から申し使っていた。


その事は敢えてシノにも聞こえる様、シュトは口にしている。

けれど、”鳶目兎耳”だと自称する”お姉さん”は、困った表情を浮かべた以上の反応はしなかった。


今は“居酒屋のお姉さん”を印象的に演出していた、名札とエプロンも外したなら、こざっぱりとした印象の、20歳だという年相応の女性に見える。

ただ、頭にも巻いていた布巾を外したなら、結構な量の纏め髪が姿を現し、降ろしたなら腰ほどまで長さがありそうだった。


(あと、髪形とか変えたなら、変装とかも得意そうだな)


そんな事を考えながらも”鳶目兎耳”とい自己紹介を聞いてしまって、シュトが思い出すのは鳶色の眼と髪をした、紅黒いコートを身に着けた、今は人の姿をしていない筈の存在。




『シュト君、今からの私の呼び方は把握しているね?』


人としての姿を数名の人物に配慮の上で秘密をするにあたって、確認された時、見習い執事として自分の口にした言葉を顧みる。


『心得ております。国王陛下ダガー・サンフラワーからが勅命を賜り、ロブロウに派遣された、諜報部隊に所属しておられる鳶目兎耳ネェツアーク・サクスフォーン様』



(鳶目兎耳の時のネェツアークさんは、どっちかといえば変装とかからは、縁遠い感じだったもんな。

諜報活動をするにしても、人知れずに難でも蒐集して、疑問を見つけて、情報を拾って、それをくっつけ解明する”やり方”で―――。

この姉さんみたいに、相手と打ち解けて、情報を得るタイプにはあの悪人面だと向かないだろうし)


けれど、情報を集める方法として変装をし、潜入して得る方法が常套な物でもあると、考え及んだ。

それについ先程、”居酒屋の陽気なお姉さん”として、接触して”アプリコット・ビネガー”の事を探る―――というよりは、実際見守っていた。


(まあ、アプリコット様に”返り討ち”にあって、この状況だけれども)


シノが口にした”アト・ザヘトの大好物”の名前に釣られて、興奮した弟が、始めてくる場所で戸惑っているアプリコットを居酒屋に引っ張り込んだ。

ただ奥座敷の個室に向かう前に、アプリコットが手洗いに行きたいと口にすると、アトも行きたいとなる。


『そうですか、それでは最初にそちらに。うちのトイレは清潔さには自信がありますから、どうぞ使ってください。

ただ少し奥にあってわかりづらいのと、男女兼用なのが難点です』


この居酒屋における、決まり切った台詞の様に店員としてのシノが口にしながら店内を進む。


『”アト君”は初めてではないですけれど、そちらのお姉さんは気がつきにくいかもしれませんし、案内しますね』


元から承知していたように”弟”の名前を口にする店員を訝し気に感じた時、店内という事もあって4人の身体が比較的接近した。

店の通路の中で一番背の高いシュトが、流れ的に最後になる。


だがそのお陰で、前の3人の動きが良く見えて―――先頭のシノに続いてアトに引っ張られる様な形になっているアプリコットの小柄な身体が、素早く動くのが判った。

丁度、アトを”隠れ蓑”にするようにシノとの間に挟んで、掴まれていない利き腕を”店員”に伸ばしていた。


一瞬の動きであったけれど、確実にシノに届き、アプリコットの手が何かを掴んで戻るのが判る。

そして伸ばした手を戻している用心棒の護衛対象の方が、少々薄暗い店内で仮面をつけている状態ながらも、戸惑っているのが見て取れた。



アトを”隠れ蓑”にしたけれども、自分が持っていた何かしらを掠め"盗られた"の察した”店員”が今までの愛嬌のある”居酒屋のお姉さん”という雰囲気から一転して、鋭い目元で振り返る。


それはネェツアークという人が、丁度髪と瞳の色を表現をする”鳶”なら、今までどことなくあった愛嬌を携えたまま、鋭い爪や嘴を持っている猛禽類を感じさせる目元になっていた。


『シュト~、”アト"と”これ”を持っててくれるかしら―――』


飄々とした声で、一度戻った小柄な身体が再び前進したなら、先程アプリコットが掠め取った何かが、投げつけられたのがシュトの胸元に当たり、跳ねる。


その跳ねた物が、落下する前に、アプリコットがシノとの間にいるアトと立ち位置を入れ替わる様にして、その場所に立つ。


入れ替わった後は、シュトにははっきりとはわからないが、恐らく仮面をつけた女性が体得している体術で、自分より背の高いアトを”投げた”。


その弟は、先程投げられるようにして当てられた物が落ちる前に、シュトの胸元に飛び込んできた。


『痛っ』

『シュト兄、痛いです!』


今度は丁度投げられた物が、銃の兄弟の胸板の間に挟まれる形になり、互いに痛みの声を出している間に、アプリコットがシノの腕を捻り上げ、動きを奪い壁に押し付けていた。


『あ、ごめんね、で、シュトさっき投げたの物の正体を確認して貰える?。

それと、お姉さんの方は本当の名前も教えてもらえるかしら?。

で、事は大きくしたくないから、皆、大きな声を出さない様に』


《それとシュトは、ウサギの賢者殿の事を含めて”鳶目兎耳のネェツアーク・サクスフォーン”―――、鳶目兎耳はいいけれど、ネェツアークのという名前を決して口に出さない事。


それと、アトにも”ウサギさん”はよくても、”ウサギの賢者さん”とは言わない様に、”約束”させておいて》

シノを抑え込んだまま、アプリコットが口早にそう言った後に、テレパシーで告げられる。


(判りました、けれど無理はしないでくださいよ、アプリコット様)


魔法を使う事は出来ないけれど、テレパシーの"具合"は判っている少年はそう返事を返していた。


『―――――』


一方で、本当ならシュトが護衛しなければいけない相手に抑え込まれた店員の方は、アプリコットの言葉に従うのか、それまで快活に喋っていた事が嘘の様に、言葉を口にしない。


『―――"隙”を狙っても、駄目だからね』

『シュト兄、”これ”痛いです』


アプリコットが牽制をしている間も、相変わらず雰囲気を読むことが出来ない弟は、兄との間に挟み込んでいる、アプリコットが投げつけた物を取り出していた。


『とても大きいバッチです、シュト兄』


弟の手の中にあるのは、一言でいうのなら"銀の勲章"のだった。

鳶の羽と鋭い瞳、兎の長い耳をモチーフにした物で、先程思い出した人物が紅黒いコートの胸元に着けていた。


『な、何で"鳶目兎耳"のバッチをこの店員の姉さんが持っているんだよ?!』


思わず弟の表現に釣られて、そんな言葉を口にしたなら今まで抑えられていた店員が柔軟に身を(よじ)って振り返る。


『ええ?!、何で鳶目兎耳の事を知ってるの?!。

それともシュト・ザヘトがセリサンセウム王国軍のマニア?!。

……でもそんな話は聞いていないし』


『だーかーら、大きな声を出さないっでって前以て言ってるのに』


《まあ、ネェツアーク殿の名前をださないだけオッケーかしら》


シュト、シノ、アプリコットの声に続いて、最後にテレパシーとなる。


『シュト兄、アプリコットさま、アトはご飯の前にトイレに行きたいです。

バッジ持っててください』


そしてこの状況を締める様に、アトの声が居酒屋の店内で響いてから、アプリコットは店員を抑えていた手を離しす。


弟にバッジ―――"鳶目兎耳の勲章"と記憶しているの物を渡され前方を見ると、女性同士は向かい合って、聞き取れない程の小さな声で、何かを話して、その前をアトが通り過ぎ、トイレに入って行った。


(俺がどうこういう事じゃないだろうけれどーーーん?)


勲章を利き手でない方に持ち替えて、自分が割り込む事ではない考えながらも、胸元に親友にサイズを合わせて貰ったホルスターに納まる銃の銃把グリップを強く握った。

けれど、握る力は直ぐに弱める。


薄暗い店内でも、判るぐらい、顔面の出ている場所が口元にぐらいなのに、今は先程抑え込まれた手首を擦りつつ、"店員"の恰好を解いている、シノを前にアプリコット・ビネガーが赤面しているのが、判った。


その赤面の様子は、丁度この居酒屋に来る前にアプリコットが、ある人物を思い出している状態だと判り、それから手にしている勲章を見つめて、ある予想が浮かんだ。


(思えば、王都に向かう旅の途中に国王陛下ダガー・サンフラワーからが勅命うけて、将来花嫁にする(かもしれない)相手を、護衛する様に命令された諜報部隊に所属している、”ネェツアーク・サクスフォーン以外の鳶目兎耳"がいてもおかしくはない)


そんな事を考えていると、アプリコットが赤面している事に、"シノ"も気が付いた様子でシュトの方に視線を向ける。


『……どうすっかな』

『シュト兄!トイレ、終わりました!お腹すきました!ごはん食べましょう!』


『そうするか』


と、えらく早い速度で用を足し、手を拭きながら戻って来た弟がする提案に則って"取りあえず夕食を取りながら"という事で、話を進める事になる。


そして"店員のフリをして潜入していたと思われる鳶目兎耳”はどうやら、居酒屋には”仕事を辞めて地元に帰る前に、友だちと個室で食事をする”と話を、既に通していたらしい。

シュトは一応"用心棒"として、まだ"シノ"の詳細な情報を知らずに個室になる事は危険だと、まだ顔が赤いアプリコットに申し出る。


『そう、じゃあ店の外にも席はあったから、そちらで話をすることにしましょう。

折角”友だち”として、お店の方に紹介をしてくれているなら、喜んでご相伴に預かりましょう』


そう言いながら、アプリコットが仮面を外すとそこには、顔の赤さは抜けないが滑らかな肌の状態の素顔がある。

その滑らかな素顔に、シノという名札を外した店員のフリをしていた女性は、見事に丸い形に口を開けて見つめていた。

その”驚き”の表情に、アプリコットは”イタズラが成功した”とばかりに満足そうに”ニッ”と笑みを浮かべる。


次に自分と性根のよく似た友人から教えてもらった、祖父である賢者が仕掛けたという”スイッチ”にもなる、右手のケロイドを見つめたなら、滑らかな顔面に薄いケロイドが浮かぶ。

その移り変わりに継続し驚き続けている人に、今度は”貴族の婦人”としての笑みを浮かべた後に、確認の言葉を向けた。


『これで、貴女の知っているアプリコット・ビネガーになったかしら?』

『え、はい、そうです』


その素直な返事に、小さく頷いてから小さく火傷の痕が残る右手を、申し訳程度に紅を乗せている唇にあてた。


『思えば、私の”ケロイド”の情報は”ある”とされているぐらいで、正確な具合は、知られてないんだわ。

シュト、このくらいのケロイドはどう思う?』


それから振り返り、前のケロイドの状態を知っている背の高い用心棒に尋ねてみると、シュトは銃の銃把グリップから手を外して、先程のアプリコットと同じ様に、口元に手を当てて頷いた。


『あー、前よりも”良い感じ”じゃないですか。国王陛下の事思い出して、赤面したのも丁度ケロイドみたいな感じでええええええっと?!』


シュトが"国王陛下"という言葉を口にし始めたと同時に、アプリコットは自分の口元に当てていた手を外し、人差し指と中指を2本揃えて、アッパーカットの要領で振るった。


自分の"皮肉"の応酬とは判ったが、自分の鼻に甘んじて2本の指を突っ込まれる程の”制裁”ではないと思い、シュトはのけぞって避けたが、一応最低限の爪の化粧のケアをしている堅い爪が、鼻先を掠る。


『いって!』

『―――チッ』


貴婦人らしからぬ小さな舌打ちをした後に、この場にいる誰よりも鋭い目元で、シノを見つめる。


『で、"鳶目兎耳"だという店員さん、世間では"ロブロウ代理領主だった女がその役目を罷免され、領地ロブロウを旅立ち遊学に出たという情報は、どういう風に流れているのかしら。

それとお名前を教えてもらうついでに、友だちになってもらいましょうか―――』


『あ、ありがとうございますぅ……』


アプリコットとシュトのやり取りに、すっかり恐れ入った返事を返すシノの腕に仮面を外した元領主は腕を搦めて、店の出口へと歩き始める。


その途中で、"本物の店員”から親し気にシノが話しかけられていて、アプリコットが"友だちでーす"と怪しい調子(テンション)発音(イントネーション)で返事をしていた。


『……からかい過ぎて、”ヤケ”になったかな』


ほんの僅かだけれど反省をしていると、弟が傍にやって来て兄の赤くなった鼻先にを見つめて心配をする。


『シュト兄、お鼻大丈夫ですか?。お薬つけますか?アトのカバンに入ってますよ』


そんな事を口にしながら、ロブロウで大好だった執事さんが、見習い執事の"アトの仕事”の為に手作りしてくれた白い麻で出来たカバンに手を突っ込む。


”大きめに作りましたから、他の荷物も入ります”


そんな言葉と共にくれたカバンの中には、小さな怪我をした時の為に執事さんが用意してくれていた、傷薬の軟膏があるのでアトが出そうとするのを、シュトが手を出して制止する。


『それは、”アトが大切な時に使ってください”。俺の鼻の傷なんてすぐに治るよ、それに、飯の間中、薬の匂いがするのは嫌です』


最初に弟に判り易く丁寧に断わりの言葉を出して、次に”ご飯の時に薬の匂いは嫌だ”と口にすると、嗅覚が敏感でもあるアトは”判りました”と直ぐにカバンに差し込んでいた手を外に出した。

そんなやり取りを終える頃には、アプリコットとシノは既に店外に出ているみたいなので、兄は弟を誘い外に出ようとする。


『にしても、あの身のこなしとというか、さすが、ネェツアーク・サクスフォーンとそっくりじゃなきゃ使えない魔法を使っただけはあるわけだ』


シュトはぼやく様に言った後に、

”アトにも”ウサギさん”はよくても、”ウサギの賢者さん”とは言わない様に、”約束”させておいて”

と、護衛対象から頼まれていた事を思い出し、口にする。



『わかりました、シュト兄、リリのウサギの賢者さま、言いません。ウサギさん言います』

『俺も、”ネェツアーク・サクスフォーン”の名前には気をつけないとな』


預かったままになっている”鳶目兎耳”の勲章を懐にしまい、弟を連れ立って居酒屋の外に出てみれば、既に最初の飲み物のオーダーを終えている御婦人2人がいた。


そこからはアプリコットの良い意味で拘りのない性格か、それとも"鳶目兎耳"としてのシノの話術の技術(スキル)なのかは、判断できないが、話は酒を飲んでもいないのに大いに盛り上がっていく。


シュトの見た限り、こうやって話が弾んでいるのは2人が進行形で行っている”友達談義"の中に出てきた、波長が合うと表現していた部類に感じた。


ただ、流石に"鳶目兎耳"の勲章を奪い、シノの動きを封じる現場は見られなかったとはいえ、店を出る直前までのアプリコットの振る舞いには、わざとらしさが溢れていた。


恐らく、仕事仲間の幾人はシノが店を辞める前に、"友だちとこの居酒屋で呑む"と耳にしていたのに、その友だと思えわれる、アプリコットに"銃の兄弟”の3人との間に漂う不穏な雰囲気を察する。


加えてシノとは居酒屋の店員や、馴染みにもなっていたらしい客からは、訝し気な視線も、先に予約していた個室をキャンセルした事でも注がれる。


しかしながら、店外に出てから"先ずは、何か腹に入れながら話をしましょう"とアプリコットが店員を掴まえて明るく注文し、それから会話を始めたなら、訝しむ雰囲気は徐々に薄れていく。


やがてシノに対する、あくまでも"一時は共に働いた仲間への店側からの心配"は、"よね~"を繰り返し始めるアプリコットとの会話と共に取り除けていた。

ただ、話が弾むのは一向に良かったのだが、鼻先を少しばかり紅くしたシュトが呆れの視線を注いでもいた。


アプリコットとシノを近距離で2人を並べて座らせたなら、危険を避ける為に店内の個室を避けた意味がないので、シュトが自分と弟の分の追加注文を終えた後に、護衛対象に銀の勲章を投げ渡しながら、ぶっきらぼうに口を開く。


『……とりあえず、俺達も夕飯を食いたいから、俺らも混ぜた席順にして貰っていいっすか、アプリコット様?』


薄くケロイドを浮かせる"仮面"を作っている状態のアプリコットは、投げられた銀の勲章の方を見向きもせずにキャッチして、頷いた。


『じゃあ、アプリコット・ビネガーの用心棒さんが納得するように、本名"シノ・ツヅミ"さんを含めて、私達の席順を決めましょうか』


それまでの会話で"シーノ"は愛称で、本名は”シノ・ツヅミ”というのを聞き出したアプリコットが品よく微笑んだ。

自分の用心棒が、納得する様に席順を簡潔にシノを基準に、手早く決める。


元々居酒屋の外にある4人掛け卓上で、背後の背凭れが、(ボックス)席の役割を果たしている場所で、店の壁と接している奥の座席の方に、シュトとシノが相対して座る。

シノの相席となる場所に、宿場町の街道に繋がる場所にアトを座らせ、その際には"悪いことをしたら、銃で撃ちなさい"と言いつけている。


これならアトが道側に退くか、余程の跳躍力でもって卓上を蹴って正面突破か、背凭れを超えて跳ねなければ、シノは拘束はされてもいないけれど、囲まれていて”逃げ道はない”状態だった。


だが、決められた席にシノは素直に座り、逃げるつもりはない様子で、一番動きに関しては自由なアプリコット・ビネガーとの会話を続けるつもりらしかった。


やがて注文した食事が運ばれ、アトが特に大好きなフライドポテトが運ばれてきた時に、白いフクロウの”笙”が、殆ど音もさせずにシノの座る背凭れに上に姿を現したのだった。


突然姿を現した、日常ではあまり見かけない鳥の姿に話題も自然とそちらの方に流れて行く。

そんな中で、アプリコットは、アトに例のカバンから便箋を取り出せて何やら手紙を書き始めていた。


「フクロウの"(しょう)"君に注目が集まるから、私も気兼ねなく"仮面"を外せるわあ~」


シュトが自分の横に座る女性が器用だと感心するのは、会話をこなしつつも手紙を認めている事で、その会話の相手には用心棒として油断せずに鋭い視線を注ぎ続ける。


「ウフフフ、可愛いですよね。もう一匹、真っ白なミミズクの"(すず)"がいるんですけれど、先に手紙をもって行ってもらっているんです」

「"先に"って、さっき俺等―――というよりは、アプリコット様を強引に店のなかに引き込んだ時の事でも、王都の誰かに報せにでもいっているのかよ」


”鳶目兎耳”の勲章をもっていた人は、困った表情を暫く浮かべ、固まった様に見えた時に漸く口を開いた。



「”鈴”は飼い主でもある、国最高峰の仕立屋でもある、キングス・スタイナー様が、もう戻っている筈の王都飛んでいる筈です。

それと、最初に立場を”店員”って偽って側に寄った事は、本当に不躾でごめんなさい。

でも、早く認められたくて、手柄をたてたかったんです」


正直な気持ちを言葉を口にしているのを感じ取れたので、シュトも取りあえず自分の現在の心境を腹を割って告げる。


「認められたいとか、手柄を立てたかったという気持ちがあるっていう話は信じる。

それに、俺は王様が"必要はないだろうけれど、万が一を考えて"で、アプリコット・ビネガー様に、護衛の話を自分の直轄の部下に告げているのも判る。

けれど、認められたいからって護衛するならこんな周り諄い、強引な客引きの方法取らなくても良かったんじゃないのか?。

それに、時間の流れからみたら、シノさんはこんな事になる前には、グランドール・マクガフィン様の、この宿場町で護衛みたいな事を頼まれている事になるんだよな?。

それに、多分グランドール様の事もあったんだろうけれど、リリィ嬢ちゃんに関しても何か気を付けて欲しいみたいな事でも、あったんだよな」


"初めて会った時"の事を考えたなら、今回はシュトがアプリコットの用心棒という事もあって必要以上に用心していたし、多分自分より強い護衛対象の方も、その強引さにひっかかるものがあったのだと思う。

だから、個室に入る前に"トイレに行きたい"という言葉を出して先手を打ったのだ今なら判る。


それにトイレでの初対面に関しては、ロブロウで見習い執事として知り得た情報を重ね合わせる事で掘り起こされる様に、思い出したのは、最後に口に出した通りに"リリィ"の事もあった。

シノもシュトの最後のリリィの件には、固まっていた表情を和らげて頷いた。


「そうですね、説明の順番は前後しますが―――私も正直に言わせてもらいますと、アプリコット様の護衛については、功績を焦った私の失敗です。

護衛の方法は私に任せられていたから、自分の考えたやり方でやったらこの様です、出しゃばり過ぎました。

それと最初に会った時の事はグランドール・マクガフィン大将を護衛というよりは、シュトさんの言う通り、陛下からリリィちゃんの成長に関して出来る範囲で注意を払って欲しいと命が下りました。

私は、リリィちゃんの素性はよく知らないのですけれど、名前だけは、良く聴いていましたから」


「どうして、名前だけはよく聞いていたのかしら?」


アプリコットが大分書き込んだ便箋の方に視線を移し尋ねると、瞬きをしてから人差し指を出したが、直ぐに掌の形に直してその先をロブロウからやって来た面々に向ける。


「え、皆さんは、"鳶目兎耳のキングス・スタイナー"の伝手で勲章の事やらを知っていた訳ではないのですか?。


わあ!ちょっと、どうしたのよ”笙”?、頭を踏まないでよ!それに髪の毛絡まっちゃうでしょ!」


それまで背凭れに止まっていたフクロウが羽ばたいて、シノの頭の上に移動してから彼女の言うとおり、数度足踏みを繰り返したが、器用なのか髪が鳥の巣の様になっても、絡まる事はなかった。

それから初めて”ホー”という鳴き声をあげて、それなりに注目を浴びた後に、そのまま鎮座してし、仕上げとばかりに、大きな丸い目を半分にして、シノの頭の天辺を恐らく加減して、嘴で突いた。


「あいた!」

「ショウくん、怒ってしまいましたか?」


シノが短い悲鳴を上げたなら、アトがポテトを摘まむ手を止めて、首を傾げながら尋ねたが、フクロウは応えずに今度は完璧に眼を閉じてしまっていた。


「怒っているかどうかは知らねーけれど、”もう喋るな”っぽい、フクロウの意志を感じたな」


動物の感情や、気持ちなどは読める程好きでもないが、シノの言葉を遮りまるで呆れて指導する先輩の様なフクロウの振る舞いを、代弁する様な気持ちで正面にいるシュトが口にする。


「え?どういうことですか?」


シノのこの言葉で、この”鳶目兎耳”の勲章を持っていた女性と、自分達の認識と多少の齟齬がある事が、シュトの中では判って、横で手紙を書き終えて最後の確認をしている雇い主を見る。

確認を終えた雇い主は、少しだけ気の毒そうに微笑む。



「残念ながら、シノさんが考えている事は”ハズレ”。

確かに私の祖父が、東の国の文化に軽く傾倒していて、私も好きな方だけれども、その国出身のキングス・スタイナー卿をロブロウに招いたことも、正式に訪れたこともないのよ。

先代のシャクヤク・スタイナー卿は、かつて訪れた事はあったらしいけれどね。

勿論、私の用心棒君達も、キングス・スタイナー卿の名前は聞いた事があっても、会った事はないわよ、ね?」


アプリコットが確認する様に”銃の兄弟”に視線を向けたら、兄の方は静かに頷き弟の方は、”アト、わかりません、しりません!”と快活に答えて、最後のポテトに手を伸ばしていた。


「正直、俺は名前を知っている程度になるかな」


”キングス・スタイナー”の名前は、ロブロウにいる間、英雄を含めて耳の長い賢者から幾度か話は聞いていた。


ロブロウからの一行が”キングス・スタイナーと逢った事がない”という事実を告げたなら、シノはアプリコットの素顔を見た時より、やや大きめに口を丸く開いていた。



その丸い口を何とか動かしながら、フクロウを頭に乗せたまま先程、向けた手を胸の前で、開いたり閉じたりを繰り返し、眼に見えて落ち着きがなくなり、立ち上がる。



「ええ?!じゃあ、その……?あいた!」



急に立ち上がった事で、シノの頭にいるフクロウは少しばかりバランスを崩して、半分程丸い眼を開き、またシノの頭を嘴で突いていた。



「ショウくん、またシノさんの頭をつつきました?。


怒ってますか、シュト兄?。


ポテトお代りをしても良いですか?」


シノの横にいるアトは、それを見つめて頭の中で纏め口にだしながら、次に視界に入った空になってしまった皿も関しても、兄におっとりと語りかけていた。



「あー、フクロウの笙君は、起こるよりも”落ち着け”って感じだろうな。


ポテトのお代わりは、野菜サラダを食べたら、ハーフサイズでオッケーです」



この兄弟のやり取りを聞いた後に、アトの不満そうな”……ハイ、サラダ食べます”という返事のと共に、突かれた部分を指で撫でながら、頭にフクロウを乗せたシノが着席していた。



「え、じゃあ、その、キングス様が―――」

「ええ、国最高峰の仕立屋さんが鳶目兎耳なんて私達は”知らなかった”わよ」


アプリコットが苦笑いをしながらその事を告げたなら、シノは自分の顔を両手で挟み込むようにした上で、口の形は丸から楕円形に形を変えていた。


相当な”衝撃”の様な物は受けていた様子にも見えたが、少しばかり間を開いたなら楕円形の口の形を丸に戻し、顔を挟んでいた手を膝の上に拳にして置いて、


「それじゃあ、皆さんは、キングス・スタイナー様以外の鳶目兎耳の方と面識があるって事なんですよね?。

その、勲章を見て鳶目兎耳だって判ったのは、他の鳶目兎耳の方を知っているからですよね」


シノの確認する様な言葉には、向かい側の席に座る2人が揃って頷いた。


(これが”鳶目兎耳のネェツアーク・サクスフォーン”さんの名前を黙っていろっていった理由ですか?)

《そういう事》


アプリコットがシュトにそんなテレパシーを送った後に、先程シュトから渡された鳶目兎耳の称号を取り出し、”返した”。


「まあ、そういう事になるわね。でも、シノさんが"キングス・スタイナー様の正体をばらしてしまった!"と慌てているのと、同じくらいに、私達の知っている"鳶目兎耳の方"も、正体を隠しているのだと思うから、友達だけれども、"秘密"でいいかしら」

「あ、はい、それはもう……。ああ、またキングス様から、扇子で頭をしばかれる……」


アプリコットからの提案と、返された勲章を素直に受け取りながら、シノは溜息を吐き出した。


胸元に勲章を仕舞い込みながら、敬愛はしているのだけれど、怒ったならいつも師が身に着けている、般若の面以上の気迫と怒気で、シャクヤクから譲られた扇子を握りしめながら、小言を口にするキングスの姿が頭に浮かぶ。


"シーノッ!貴女はまた、向こう見ずで無手法な事をして!。

御父上のツヅミ殿が、どんな気持ちで大切な一人娘の貴女を、隠居先から王都に送りお出し

たと思っているのですか?。

努力を怠らない事は前提ですが、何よりも貴女が無理をして傷つくことだけは、避けなければいけないのですよ"


だから、国王陛下から"鳶目兎耳"に誘われた際には、師は真っ向から反対する様な態度も言葉も出さなかったけれども、先ず心配をされていた。


誰にも優しく寛容で、そして恥ずかしがり屋でもある仕立屋の、"師"としても尊敬するキングスが、"妹"の様に思っているという自分の為には、己のらしくない部分まで晒して―――"無理"をして心配のお小言を吐き出す。


数年前に一度"キングスの方が無理をしている"事を、シノは自分でも生意気だと思いながらも、反抗期という時期の勢いに乗せて言ったなら、寂しそうな笑みを浮かべられた上で、直ぐに返答された。



"それは、”シノ・ツヅミ”がとても恵まれた家族の元に産まれているからです。

困難と出逢ったとしても、それを今まで結んできた家族との絆の上で、自分の才能と努力で乗り越えるような生き方をしている。

そんな生き方が出来ているお嬢さんが、一時の感情で無手法な事をして傷つく事が、出来ればあって欲しくないんですよ。例え、私が無理をしてでもです"


「”無手法”って事は判っていたんですけれど、アプリコット・ビネガー様がキングス様の親友である、この国最高峰の賢者殿と同じくらい強いと、国王陛下から伺って、どうしても試してみたくなったんです」


"妹のシノ"とはまた別の形で、キングス・スタイナーに無理をさせる存在。


同じぐらい強いというだけであって、同じ性格や性質をしているわけでもないのに、どうして相対してみたくなった。


孤独を好むというよりは、外からの干渉を好まないという、シノはあった事はないけれども、障りのない程度の賢者の情報を話して貰える。


そして、その賢者の事を話す時に浮かべる表情には、妹の様に思っている自分に向けられる情とはまたちがった、寂しそうな笑みを浮かべている事が幾度かあった。


その寂しそうな微笑みを自分の師にさせている賢者を思い出した時、"叱られる"と悄気(しょげ)ていたシノの眼に、鋭さが再び籠るのを察知したシュトが懐に手を伸ばす。


「―――成程、キングス・スタイナー殿と親友と極一部の界隈では有名な賢者殿の繋がりで、リリィちゃんの話は知っていたわけね。

で、賢者殿やリリィちゃんの存在や話題は知ってはいるけれど、会った事はなかったわけだ。

この前までロブロウにいたんだけれど、新しく護衛に入ったアルス君は、春の季節が半ばを過ぎた頃に、賢者殿とリリィちゃんの所に入ったと聞いているから……。

キングス殿とは、あった事がないかもしれないわね。

ああ、そうだ、儀式の前にキングス殿の名前が出た時に、そんな反応をグランドール殿の所のルイ君相手にしていたわね、うん」


シノの浮かべている表情から、何やら思いつめている物があるのは、シュトは感じとれてはいた。


けれども、護衛対象が"友だち"になったばかりの相手に、眼に携えている鋭さの所まで踏み込むつもりはないのは感じ取れる。


ただ、アプリコットが押し留める様に長々と語る中に、登場した少女の名前に、懐に伸ばした手をそのまま膝の上に置いた。

シュトの隣にいる人が自分の正面にいる人の、眼の鋭さを自覚している上で、この場を納めようとしているのなら、必要最低限の警戒以外は、それこそ"出しゃばり"になる。


そんな事をシュトが考えている内に、斜向かいに座る弟が口を閉じて、もぐもぐとさせながら、空の皿を差し出してきた。


食べ物が口に入っている間は、喋ってはいけない。

そう躾けられている弟はそれでも、大好きなポテトが早く食べたいので、約束を守った事を兄に主張していたなら、アプリコットが薄いケロイドの中でニコリと笑った。


「あら、アトがんばったわね。

シュト、約束通りお代りを頼んであげて、私も食べるから一人前を頼んでいいわ。

そうだ、アト、ポテトがくるまでリリィちゃんにお手紙書く?。

”もうすぐ、王都に行きます”って書いたら喜ぶんじゃないかしら。シュトもアルス君に書いてみたら?」

「いや、俺は手紙はいいですよ。じゃあ、一人前っすね」


シュトが苦笑いを浮かべながら、呼び出しのベルを鳴らし、アトの方は、まだ苦手な野菜を飲み込めないでいるが、大きく頷いた。

空となったポテトの皿をどけて、自分のカバンから新たな便箋と鉛筆を取り出す。


「―――――~♪」


本当なら字を書く時には、いつも声を出しながら一文字、一文字、字と判別出来るものを何とか書いている男の子は、口に食べ物がある為に今は出さずに、上機嫌で鉛筆を動かしていた。


"ぽてとおいしいです。こんにちわ、リリ、アトです。げんきです"


結構な大きさのある便箋だけれども、大きな文字で書かれている為に、それで一杯になってしまった時、呑込む音が広がった同時にアトが口を開いた。


「アプリコットさま、お手紙かけました!」

「はい、よくできました。じゃあ、シノさん」


アトから差し出された手紙と、自分の手紙を重ねて器用に折りたたみ、斜向かいにいる女性に差し出した。


「フクロウの笙君に、王都で待っているだろうキングス様に私が書いた手紙を送って貰っていいかしら。

それに、"リリィちゃん宛のアトの手紙"も一緒に送ったなら、キングス殿から賢者殿経由で、きっと渡るから。

それに、シノさんについては悪い事書いてないから。

"お願いします”」


「おてがみ、リリにお願いします、シノちゃん!」


いつの間にか、名前の呼び方を決めているアトがニコニコしながら、頭を丁寧に下げる。


「判りました、笙おいで―――」


”アト・ザヘト”の情報が、今回のアプリコットの護衛をすることで、どのように伝わっているかは、ロブロウの一行にはわからない。

ただ、シノの中にあった鋭さはその素直なことばと行動に、優しく布をかけられるように、潜められてしまう様に見えた。


「じゃあ、お願いね、笙」


アプリコットとアトの手紙を結びつけて、白いフクロウは宿場街から羽ばたいた。


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