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第十三話 帰り道
後輩「あ、ここまでで大丈夫ですよ。すみません。わざわざ送っていただいて」
男「待って待って。まだお店から出て一歩じゃん。早過ぎるとかそういうレベルでさえないよ」
後輩「冗談ですよ」
男「それにしてはずいぶんと丁寧なお辞儀だったね……」
後輩「すっかり暗くなっちゃいましたね。やっぱり楽しい時間は早く感じるものです」
男「……そいつは光栄の至りだよ。重畳、重畳」
後輩「次は先輩がどこかに連れていってくださいね」
男「まあ、気が向いたらね」
後輩「だからそれ系の台詞は」
後輩「ああ、ここまでで大丈夫ですよ。今度は本当です」
男「そうみたいだね。別に僕は家まで送ってもいいんだよ?」
後輩「いえ、さすがにそこまでは。今日はありがとうございました。先輩で遊ぶの……おっと。先輩と遊ぶの楽しかったです」
男「分かってはいたけど、さてはキミ、僕のこと相当嫌いだね?」
後輩「あはは。じゃあ、まあ、こんなところで」
男「うん。おやすみ」
後輩「おやすみなさい。先輩」