『悪役令息』なんて言葉、あったっけ?
↑
検索すればあります(笑)
「貴方との婚約は破棄させて頂きますわ!!」
「…………………………はぁ??」
実に三か月ぶりに顔を会わせた『元』婚約者が、衆人環視のど真ん中で、堂々と男と腕を組んで現れて、開口一番にぶっ飛んだ台詞を言われて、これ以上の台詞を言える人が一体この世に何人いるのだろうか。僕は真剣に問い合わせたい。
「~~~~~~~っッ!! とことん人を馬鹿にするのがお好きなようね、貴方は!!!」
どっちかっていうと馬鹿にしているのは貴女で、馬鹿をやっているのも貴女なんですが……、言わないでおこう。
「……理由をお聴きしても宜しいですか?」
婚約破棄に問題は無い。っていうか、今さら破棄なんてする必要も無いので、実は全く意味の無い話だったりするのだが…、どうも彼女の発言には非常にくだらない理由がありそうな気がする。
「理由ですって? なんて白々しいッ。貴方でしょう? アルフレッドの礼服を切り裂いたのは!! それだけじゃないわ、これまでのアルフレッドに対する嫌がらせの数々、知らないとは言わせませんわよ!!!」
「…………………………知らんわ、そんなモン」
嘘は言ってない。本当に知らないんだから。でも相手にそんな事は分からない。開き直っただとか何とか逆上して騒ぎ出し、隣の男が上手くいったとばかりにこっそりとほくそ笑みながら善人面で女を慰める。………なんだ、この妙にテンプレートじみた展開。これはアレか。『前世の日本』に有ったあのネタか。そうなのか。…あれ? でもおかしいな。
「『悪役令息』なんて言葉………、あったっけ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…………とりあえず。あまりのアホらしさに真っ白になった頭を無理やり再起動して、状況説明に入る事にする。
とはいっても、状況の馬鹿馬鹿しさは説明するのも面倒臭い。大雑把に過ぎる説明になってしまう事は勘弁して欲しい。
まずは自己紹介。僕の名前は、『ハインケル・フォン・ゲイルズバーグ』。この『ランドグリーズ王国』の公爵家嫡男であり、現在はこの国の貴族や優秀な人間達が集まる『王立学院』の生徒である。……そしてこの馬鹿馬鹿しい騒ぎの真っただ中で晒し者になっている。
続いて……目の前の元凶である男女二名の説明に入る。
男の方は名を『アルフレッド・ヴェイン』。僕と同じく『王立学院』の生徒であり、優秀な成績でこの学院に入学した平民出身の特待生である。……良くある話ではあるが、貴族階級が幅を利かせるこの学院では平民階級は優秀でなければ入学できない。よって、学院の平民とは『エリート』と同義である。さらにこの男、顔も良い。具体的には、美形の両親のおかげでかなり良い出来の僕も彼の前では若干かすんでしまう。なので相当にモテる。その所為なのかどうかは知らないが、実はこの男…かなりプライドが高い。貴族を見下している雰囲気が感じられる。……もっとも、今目の前にいる彼が僕を見下している一番の理由は隣の女が原因であろう。
そう、男の隣に寄り添うどころか腕を絡ませて仲睦まじさをイチャコラサッサと見せつけているこの女…、名を『クレア・アズ・ランドグリーズ』と言い、この国の第二王女にして……嘆かわしい事に僕の『元』婚約者であったりする。
ここまで説明すれば賢明なる皆様(?)にはこの状況が、ほぼ理解して頂ける(あるいは予想出来る)のではないだろうか?
婚約者のいる身でありながら他の男と深い仲になり、それを詫びるどころか有りもしない罪をでっち上げて大勢の人の前で糾弾し、婚約の破棄とあわよくば僕を実家から追放して破滅させる……。
その通り! これは明らかにいわゆる『悪役令嬢モノ』と呼ばれるお話を男女逆にしただけの話なのだ!! これを馬鹿馬鹿しいと言わずして何と言えば良いのだ!!! いや、無い!!!!(反語)
……以上がタイトルにも使った(ん?)台詞を呟いてしばらく真っ白になってしまった理由である。…一応自己弁護させてもらうと僕は決して次期公爵として恥となるような事はした覚えは無い。その辺りの努力は惜しまないどころか、周囲の人間達が『それ以上はお止め下さい!』と言われてもやり続けた。おかげで僕は学問・武芸・礼儀作法・魔法……、その他色々な面で優秀な成績を修め、『貴族の鑑』とまで言われるまでになった。
それだけでなく、既に僕は学生の身で病床の父に代わって領地の経営にも携わっている。持てる限りの知識(前世含む)を駆使して荒れ地を開拓し、税制を改め、領民の生活を安定させる為に様々な改革を行い、公爵領を王国一の豊かな土地にしてみせた。
さらには父の代理として国政にも(一部ではあるが)関わっている。はっきり言って忙しい。なのに何故僕は久しぶりに…本当に久しぶりに来た学院で、こんな馬鹿騒ぎに巻き込まれているのやら。納得いかねぇ。……すんげぇ納得いかねぇ。屋敷にはまだ目を通していない書類が山とあるというのに。それを置いてでも出なきゃいけない行事だというから来ているというのに。来なきゃ良かった。うん、そうだね。帰ろう。さっさと帰って仕事をしよう。馬鹿に関わっている暇は無いんだ。ましてやコイツ等もうお終いなんだし。
……………とはいっても、これ以上この馬鹿共に喋らせるのはいい迷惑でしかないな。とっくの昔に、陛下が話を進めていた筈だったんだが、向こうは知らないようだから仕方ない。黙らせる為にこちらの主張を通しておこう。何も知らない人が勘違いでもしたら困るし。
「漫才はそれ位にして頂けませんか?」
「っッ!? な、何が漫才ですか!! 失礼なッ!! ~~~まったく、どこまでも見下げ果てた方ね、貴方という人は! ご自分のやった事に対して謝罪はおろか反省さえしない! もういいですわ! 貴方の様な方に公爵家を名乗る資格は無いものとみなします! お父様に言って貴方の継承権を――――」
「まず婚約破棄についてですが、、貴女との婚約は一か月も前に陛下の名のもとに解消されております。勿論その書状も貴女の元に届けられている筈ですが……、どうやら、お読みになってはいらっしゃらないようですね?」
「………………………へ?」
…やっぱ見てなかったなコイツ。…ていうか、よりにもよって父親であり、一国の王でもある陛下の書状を読んでないって。まったく、恋は盲目とはよく言うが、ここまで馬鹿になるとはねぇ。あーぁ、周りの野次馬共もすっかりシラケた目をしちゃってるよ。
「続いて、貴女が仰られているヴェイン殿への嫌がらせとやらについてですが、僕は一切関わっておりません。そもそも、この一年間、僕は試験日と重要な校内行事以外は学院に一切顔を出していません。貴女と違って領地経営や王宮での公務があって忙しいのでね。嘘だと御思いなら出席簿を確認して下さい。出席日数なんて完璧に足りていませんよ。卒業までの単位は取得済みで陛下の口添えもありますから、学院長から特別に御見逃し戴いているというだけで。
さらにこの三か月間僕は外務大臣のお供で『ベスティア帝国』に行っておりまして、我が国の国境まで戻ってきたのが一週間前、王都の屋敷に帰って来たのが今日の午前一時。五時間ほど仮眠を取って、二時間ほど溜まった書類にサインをしてから、大急ぎで身支度を整えて登城して、九時頃に国王陛下に謁見して報告書を提出。城内でも溜まった書類を片付けてから屋敷に戻って、着替えて学院に来たのが十二時十分前、という訳です」
ちなみに、『ベスティア帝国』とは正式名称を『ベスティア霊獣連合帝国』と言い、『霊獣』の名の如くエルフ・ドワーフといった精霊族とワーウルフ・ワーキャット等の獣人族によって構成される大陸屈指の巨大国家である。
この『ランドグリーズ王国』とは国境を接している上に割と好戦的な連中が多い為、過去には幾度も小競り合いと呼ぶには控え目とも言える戦闘行為が殆ど年中行事のように行われていたそうで歴代の国王は常に頭を悩ませていたという。
もっとも、僕が生まれた頃に現在の皇帝が即位してからは目立った戦闘は起きておらず、現在王国首脳陣はこれを恒久的平和への足掛かりとして日夜奮闘しているという訳だ。
…………実は婚約を解消しなくてはいけなくなった理由もそこに有ったりするんだが……、今はそこのバカップルをシメる事に専念しよう。
「…さて。以上が僕のアリバイですが……御二方? 礼服とやらが切り裂かれたのは、何時頃の話で? 僕を犯人扱いするという事は、当然明確な証拠があるから仰っているんですよね? あ、勿論誰かに命じてやらせたっていうのも無しですよ? その誰かっていうのもちゃんと名前を出して僕がやらせたっていう物的証拠も出して戴きませんと。……おや、どうしました? 黙り込んじゃって。あるんですよね、僕がやったという証拠は? まさか証拠も無しに僕を犯人扱いして、こんな大勢の人が見ている前で僕を侮辱したんですか? お答えください、クレア・アズ・ランドグリーズ『元』第二王女殿下?」
「……え? ちょ、ちょっと待ちなさい。なんですか、『元』って! 説明しなさい!!」
「質問しているのはこっちなんですが?」
出来るだけさらっと言ったつもりだったんだが……、見事に喰い付いてきやがったなこの女。やっぱりクレアにはまだ言わない方が良かったかな? でも、どうせすぐに発表される話だったしなぁ…、まぁいっか。
「別に説明するのは構いませんが…、理由は貴女が一番良く分かっている事ではありませんか?」
ニッコリ笑顔で言ってやると、情けない位にクレアは狼狽え始めた。あまりの狼狽ぶりにアルフレッドの方が驚いている。訳も分からずにクレアを落ち着かせようとしながらこちらを睨み付けてくるが、そんなのちっとも怖くない。むしろこっちの笑顔が止まらない。なんだかヤバい人みたいだ。
「僕が貴方達の動向を把握してないとでも思ったんですか? まあ、貴方達は僕が何処で何をしていたのか全く知らなかったようですが。残念でしたね。僕との婚約は解消されているのですからヴェイン殿と婚約するのは構わないんですが、それにしたって順番というモノがあるでしょう? 駄目ですよ、婚姻前どころか、婚約すらしていない相手と、しかも当時は婚約者のいる身でありながら肉体的関係に及び、しかも妊娠までしてしまうなんて。法王猊下が怒ってましたよ。『王族が神を冒涜するとは何事か!!』って。
もちろんこの件は陛下もとっくにご存知の話でしてね。王妃殿下と二人揃って頭を下げられましたよ。『馬鹿娘には相応の処罰をするので許して欲しい』と言ってね。……ちなみに処罰の内容は王族の姓を剥奪、身分を平民とした上で修道院に生涯幽閉だそうです。御腹の子供はどうなるか分かりませんが少なくとも貴女からは引き離されますからね」
クレアは見事なほどに顔面蒼白になって崩れ落ちた。ようやく自分のしでかした事の重大さに気が付いたらしい。愚かな事だ。……もっとも、未だ理解してない馬鹿よりはマシだけど。
「ふざけるなぁッ! なにが身分を剥奪だ! 生涯幽閉だ!! そこまでする必要が何処にあるんだ、このヒトデナシがぁっッ!!!」
…………ハァ??? なんだか物凄い馬鹿な事を言ってるよ、この男。必要な事だからやってるんだってば。っていうか………まさか、本当に知らないのか? この程度の一般常識を??
「何を寝ぼけた事を言っているんですか、貴方は。この学院に入学できる程に優秀な貴方が、どうして御存知ないのかは謎ですが、この国、だけに限った話ではありませんけど、法律上は婚姻前の男女が肉体関係に及ぶ事は、たとえお互いの同意があったとしても双方共に姦通罪、犯罪扱いなのですよ? …………まさか、本当に知らなかったんですか? 御自分達のした事が犯罪だという自覚も無かったんですか??」
「…………………………………………は?」
……うわぁ。マジに知らなかったんだ、コイツ。…って事は、これまでの調査で分かっているコイツの数々の所業についても、コイツは知らずにやらかしてたって事……だよね。やれやれ…。呆れてモノが言えなくなりそうだ。とはいえ、言わないと話が進まないので頑張って話そう。
「……貴方、本当にどうやってこの学院に入学したんですか? 無自覚で犯罪を犯さないで下さいよ。…まぁ、折角ですから全部お話ししましょう。無自覚なままだと『冤罪だァ!!』とか言い出しそうですからね。
……先程も言った通り、婚姻前の男女が肉体関係に及ぶ事は姦通罪が適用されます。これは互いに同意の上でも、婚約者同士であっても同様です。ちなみに…この話は貴族・平民の身分差は関係無しに学ぶ一般常識なんですけど、優秀な筈の貴方が御存じ無いとは不思議な事もあるものです。
……ですが、貴方の場合は少々話が異なります。具体的には姦通罪では軽すぎるんです」
「ど、どういう意味だ!?」
「……その質問は、あの方々が答えて下さる事でしょう」
視線を向けた先には、実に良いタイミングでこちらに向かって駆け付けて来た憲兵隊の皆さんの姿。
彼らは僕達の前に整列すると一斉に僕に向かって一糸乱れぬ敬礼をした。僕も彼らに敬礼を返した。…御勤め本当にご苦労様です。そうしたら一番前にいた隊長さんに『お互い様です』という感じに苦笑いされた。どうも顔に出ていたらしい。…ちょっと恥ずかしい。
憲兵隊が一斉に敬礼を解くと、彼らはこれまた一斉にクレア達に視線を向けた。……そりゃあもう、視線を向けられて無い僕でさえ、ビクッとしてしまう程侮蔑と軽蔑に満ちた冷たい目線で。アルフレッドは完全に腰が引けてしまっているし、クレアに至っては気を失う寸前である。そんな二人に向かって隊長さんが口を開いた。……冥府の入り口から吹き込む風のように凍った声で。
「――――――アルフレッド・ヴェインだな?」
「ななな、なんでしょうか?」
……うわぁ、ビビッてるビビッてる。無理もないけど。実はこの隊長さん、一度怒れば泣く子も黙り、やくざ者でさえ平謝りするほどの強面である。実際、彼がまだヒラの憲兵でしかなかった頃でさえ、街のチンピラ共約三十名程が『お疲れ様です!』と一斉に頭を下げた所を見た事がある。
そんな彼が憲兵隊長に就任して以降、失脚した官僚・貴族は数知れず、国王陛下でさえ『アイツに怒られる位なら、怒らせた奴を切り捨てる方が百億倍マシだ!!』とまで言い切る程に怖れられている――――ていうか、怖れ過ぎです陛下――――この人に逆らえる人間など王国全土を探しても隊長の奥様位のモノだろう。
ちなみにこの奥様、かつては平民の中では数少ない『王都美女百選』に選ばれた程の美貌で知られた女性で、隊長とは恋愛結婚(!)で結ばれた。……のだが、それを納得出来ないor信じられない街の人達には当時『魔王(隊長の異名である…)に手籠めにされた』とか『街の女神が生け贄にされた』だとか酷い言われ方をしたものだ。ついでに二人の仲を取り持った少年A―――実は僕だ―――も随分と恨まれたものである。もっとも結婚後の二人の仲睦まじさと隊長が奥様に向ける優しい笑顔―――イイ顔なんだこれが―――の前にはあっさりと払拭されてしまったのだが。
閑話休題。
「王立司法院の命により、貴様を婦女暴行及び詐欺の現行犯として逮捕する! 大人しく縛に付くが良い!!」
「ひ、ひぃょぇぇええええっ!!???」
何とも珍妙なアルフレッドの悲鳴が周囲のどよめきを掻き消す様に響き渡った。
「取り押さえろ!!!」
隊長の号令に憲兵たちはあっという間に二人を取り押さえた。クレアは二人の憲兵に両手を抑えられて。アルフレッドは両手を後ろに回されてから手錠を掛けられて。クレアは大人しくしていたが、アルフレッドはまだ状況が分かっていないのか無様に叫び声を上げた。
「ちょっ、ちょっと待てぇ! 暴行ってなんだよ、それに詐欺って!! 僕はそんな事した覚えは無いぞぉぉっッ!!!」
…………ハァ。やっぱり馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だコイツ。自分がどれだけ豪快に勘違いをしてるのか、まだ気付いて無い。そしてそれがどれだけ大きな罪であるのかを全く理解していない。……うわぁ。隊長のこめかみの血管がビキビキいってる。
「しらばっくれる気か貴様ァッ!! 貴様がそこにいるクレア様以外に、結婚を餌に六人の女性に対して猥褻行為を行った事は既に調べが済んでいるッ! 言い逃れは効かんぞッ!!!」
「な、何ですってえええぇぇぇッッ!?」
隊長の発言にクレアが悲鳴じみた叫びを上げた。周りの野次馬達も騒然となった。そしてアルフレッドは…、狼狽えはしてもやっぱり全然分かって無かった。
「ちょっ、ちょっと待てっ。僕は嘘は言ってないぞ! 僕は真剣に彼女達との結婚を考えて交際をしていたんだ! 本当だ、信じてくれッ!!」
……後にこの場に居合わせた人達は言う。『時間が止まったような感覚とはこういうモノか』と。僕も本日二度目の『真っ白』となった。そりゃあもう、前世で有名だった拳闘漫画のラストのように崩れ落ちそうになりました。イヤ、ホント。
「……隊長。申し訳ありません。実はこの男、婚前交渉は姦通罪が適用される事も知らなかったらしくって。しかも今の発言から察するに、この国が一夫一婦制である事も知らなかったようですよ」
「ハァッ!?」
多少は耐性が付いていたのか一番早く再起動した僕が、頭痛を堪えながら隊長にそっと耳打ちすると、隊長はこの人にしては珍しい素っ頓狂な声を上げてこちらを向いた。そして隊長はギギギという擬音が聞こえてきそうな感じでアルフレッドの方に顔を向けた。
「冗談……だろう……?」
否定したいよね、うん。分かります、分かりますとも。
「残念ながら事実です。実際そう考えるとこの男の行動にも辻褄が合うんですよ。ちょっと失礼しますね」
これ以上この馬鹿を放置すると此処にいる全員の精神が持たない。そう判断した僕は半ば石化した隊長から離れ、
「騙したのね!」
「騙して無いよ! 僕は本当に………!」
「そんな事出来る訳無いでしょうがあぁぁぁッ!!」
……等と取り押さえられた状態で罵り合う馬鹿二人の前に立ってニッコリ笑顔を向けてやった。そりゃあもう、下級悪魔が鼻白む程に清々しく。
「喧しい」
一瞬で周囲を沈黙が支配した。っていうか、何故静かに後ずさりしてんだ隊長まで。……とりあえず無視して話を進める。
「アルフレッド君……。これは何処の国でも通用する、知らなかったじゃ済まされない常識なんですけど、極一部の例外を除いては一国の王でも複数の女性を妻とする事は認められていませんし、結婚をほのめかして関係を迫るような行為は犯罪行為とみなされているんですよ。だから君の一連の行動は『結婚詐欺罪』と『婦女暴行罪』が適用されるという訳ですよ。
…真剣ですって? ナニ寝言言ってんですか? 君のやった事は未来ある女性達の人生を滅茶苦茶に踏み躙って下種な欲望を満足させる為のハーレムを作ろうとしただけでしょうが。…………まったく、一体何処の世界で、そんな頓珍漢な御伽噺を読んだのかは知りませんが」
最後の呟きにアルフレッドが一瞬で顔色を変えて何かを叫ぼうとするのを視線で黙らせ、
「他人の人生をさんざんに踏み躙った以上、覚悟して下さいよ? 楽に死なせるなんて甘い未来は与えませんからねぇ? 最低一億回は生まれて来た事を後悔してもらいますよぉぉォ??」
後半からはインテリヤクザ風の恫喝口調。ついでに魔力を込めた全力の威圧。自分でもちょっと過剰かと思う脅迫の前にアルフレッドとクレアは、
「「………………………………………………………………ひゅう」」
二人揃って失禁込みで失神した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あぁぁ~~~~~、つっかれた~~~~~」
憲兵隊に護送される二人を横目に、僕は自分でも笑ってしまう程盛大に溜め息を付いた。正直帰国して早々にこんな馬鹿馬鹿しい茶番劇を演じる事になるとは思わなかった。おかげで抜けきっていない旅の疲れに精神的疲労が上乗せされてしまった。
…読みが甘かったのは事実だろう。本来ならもう少し穏便に片付けなければいけない案件だったのだ。まさかクレアが王族の権威を貶めるような真似をあそこまで堂々としでかすとは予測出来なかった。
「お疲れ様です」
隣の隊長もほんの僅かな時間に疲れ切った顔で苦笑を滲ませていた。予定では僕が学院に入る前に二人を拘束して王宮まで連行、そのまま逮捕、クレアは修道院、アルフレッドは刑務所送りとなる筈だった。それが今日はたまたま二人揃って時間よりも早く学院に向かっていて、慌てて駆け付けた時には茶番劇が始まっていたという訳である。
「まぁ、何にしても面倒事も片付いた事だし、さあぁぁって、帰って仕事仕事」
こんな所で遊んでいる訳にはいかないのだ。仕事が僕を待っている! そう言って家に帰ろうとした僕の右肩をがっちりホールドした人がいたので振り返ると、そこには…ニッコリ笑顔でこめかみをピクピクさせる隊長さんの顔があった。
「どこへ行くんですか? 学校行事をほったらかして?」
「大丈夫ですよ。こんな有り様では出来やしませんよ。中止です中止っ」
実際、周囲を見回してみると、そこには気絶したり、失禁したり、恐慌状態に陥っていたりと、なんだか別の凶悪事件の発生現場のような様相を呈していた。死体が無いのに死屍累々といった感じである。
「誰の所為ですか誰のッ!! あんな豪快に周囲を威圧するからこんな事になったんでしょうがッッ!!! っていうか貴方当事者なんですから勝手に帰れる訳無いでしょうがッ!!!!」
ちょっとちょっと、撒き散らしてる、アンタも威圧を撒き散らしてるってッ! ほらっ、目を覚ましたばかりの娘がまた気絶しちゃったじゃんかッ!!
とりあえず距離を取ろうとして右肩の拘束を解除しようとしたら、左肩も何者かにロックされた。振り向くとそこにはこれまたこめかみをピクピクさせている小太りの爺・・・もとい学院長様がいた。
「ハインケルくぅぅぅん。この不始末、一体どのように付けてくれるのかなぁぁぁァァ?」
え? ちょっちょっと待ってよ、言っとくけど僕被害者ですよ!? だけど大人二人はどんどん勝手に話を進めていってしまう。僕が悪い事前提で。何で?
「学院長殿。とりあえず此処では何ですから場所を変えましょう」
いや、場所変えなくていいからっ。放してっ。マジ放してっっ!
「そうですな。では院長室までご一緒頂けますかな?」
「承知いたしました」
承知しなくていいっ! 助けて。誰か助けてっ! ヘルプ! ヘェルプ!! アイ ニイィド ユゥア ヘエェェルプウゥゥゥ!!!
・
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・
・
……………………………………………………………………………………………………………で。
売られた仔牛の様に引きずられていく僕を助けてくれる人がいる訳も無く。
僕は無惨に院長室まで連行された後、実に小一時間ほど理不尽なお説教を受けた上に、無情にもこの一件で無駄になってしまった、料理等の学校行事の費用を全額弁償させられる事になってしまった。解せぬ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数日後。
「あらあら。それはまた災難でしたこと」
憲兵隊長の家の食卓で、隊長の奥方にけちょんけちょんに笑われる僕の姿がありましたとさ。めでたくなし。めでたくなし。
「……シル姉ェ。発言に乳姉弟への愛情が感じられないんだけど」
「だって、愛しの旦那さまと比べたら血の繋がらない弟分への愛情なんてたかが知れてるわよ、仕方無いでしょ?」
……だっても、正宗も無ェよ。仕方無いでしょ? じゃ無ェよっ。かわいらしく言っても駄目だよッ。それ以前に次期公爵に対する態度じゃ無ェよッ! ………ハァ。とは言っても、そんな肩書きが通じる相手じゃないんだよね、僕の姉貴分は。
シル姉ことシルフィア・オークレイは隊長ことアラン・オークレイ―――――今頃になって名前が出たのは、僕も彼も公私混合はしない主義だからだ―――――に嫁ぐ前は、彼女の母親が僕の乳母であった事から僕専属の侍女をしていた。
物心が付くか付かないかという頃―――正確には前世の記憶が戻った五歳以前―――から既に(僕の前でだけは)お姉さんぶっていたものだから、僕の方もごく自然に弟分のポジションについていた(刷り込まれたとも云う)。だからという訳でも無いのだが、シル姉がアラン兄さんに一目惚れ(!)してからは二人の仲を取り持つ為に随分と扱き使われたものである。…うん、やっぱり普通じゃないね、僕の姉は。僕にとっては外部の人脈作りも兼ねていたから丁度良かったといっても、公爵令息を顎で使う侍女って色々な意味でどうかと思う。
「兄さん……。いい加減笑うの止めてくんない? 泣くよ、終いにゃ」
さっきからずっと笑っている義兄(この表現が正しいのかどうかは脇に置く)にジト目を向けるとようやく笑いを収めてくれた。……口元は相変らずニヤついているが。スゲェムカつく。ちくせう。
「すまん、スマン。まあ、色々あったが目出度くコブも始末出来た事だし、これでお前も堂々と花嫁を迎えに帝国へ行けるというモノじゃないか」
「…まあ……ね」
…………そうなのだ。実は僕に新しい婚約者が決まったのだ。なんと帝国の第三皇女ローナ殿下と。
事は一か月半ほど前、王国の使節の一人として帝国を訪れていた僕を見初めた皇女が『私のご主人様になって下さい!』などと盛大に叫んだのが始まりである。……ええ。見事に思考停止しましたけどそれが何か?
実は、帝国において恋愛というモノはまず第一にフィーリングが合うかどうかが重要となる。要するに野生の勘(!)が求められる。もう、流石だとしか言えない。んでもって、僕を見た瞬間に皇女はピンと来たという。
「この方こそ私の理想のご主人様です!!!」………と。
ちなみに、何故皇女に生まれたくせに『ご主人様』を求めてしまうのかというと、皇女曰く、狐獣人と金色狼獣人の血が色濃く出た事が原因、なのだそうな。……つまりイヌ科の動物的な本能の成せる業、という事なんだろう、多分。
それから後がもう大変だった。
熊の獣人の皇帝陛下には『娘はやらん!』というお決まりな台詞と一緒に素手のタイマン勝負を挑まれ自家製ベアナックルをズタズタになるまでしこたま頂戴した。
高位半妖精の皇妃殿下には『孫は最低三人ですよ?』と勝手に決められた。反論しようにも背後に大魔神を背負っているようにしか見えなかったので逆らえなかった。
獅子の獣人の第一皇子と、地霊族の第二皇子、そして竜人族の第三皇子にはそれぞれ剣・酒・魔法の勝負をさせられて、全部死に掛けた。
有翼人の第一皇女と人魚の第二皇女に至っては、結婚前の夫婦喧嘩―――ナンと帝国には結婚前に夫婦で剣(もちろん木剣です)を交える事で双方の理解をより深めるという慣習があるのだ―――の際に妹の介添え、つまりは助太刀するという死刑宣告のような御言葉を戴いた。
ちなみにこの慣習の期間は全部で七日間あるが、基本的に男は四日目までには花嫁に勝って身に着けている首飾りを貰い受ける―――それが勝利の証となる―――のが理想で、逆に花嫁の側は四日目以降に負けてやるのが作法なのだそうな。要するに女の怖さを旦那に教えつつ、嫁の方も旦那の立て方を体で覚えさせる為の慣習なのだろう。………最初に考えた人の顔が見たい。出来れば頭の中身も知りたい。文句が言いたいから。
……まあ、話が脱線しまくってしまったが、とにかく色々と頭の痛い話ではあるが両国の友好関係を強化するという意味では実に都合の良い結婚話ではある訳で。
紆余曲折というには凄まじ過ぎる―――ほとんど暴力だった―――すったもんだの末に僕は何とか『私の一存では決められない。この件に関しては国王陛下の指示を仰ぐまで待って欲しい』という感じに話を持って行く事が出来た。
…で、大急ぎでこの一件を書状にしたためて、王都の陛下の元に送ったところ。
なんと陛下を含む重鎮一同が『それはめでたい。是非とも結婚したまえ』とあっさり了承の返事が。
陛下に至っては『どのみち馬鹿娘とは婚約を解消しなきゃならんのだし、ちょうど良い』等とぬか……げふんげふん、仰られた事で僕はめでたくローナ殿下と婚約する事が決まったのである。
………ちょっぴりドナドナを歌いたくなったのは内緒だ。
ちなみに、ローナ殿下に不満は無い。どちらかと言うと犬好きの僕にとっては、髪同様に綺麗な金色の毛並みをした尻尾は襟巻きに出来そうなくらいにふわっふわで、これが頭の上の大きな三角の耳と一緒にピコピコパタパタ動くさまは見ていて可愛い。しかも、彼女は実にスタイルが良い。いわゆるドンッ・キュッ・ボンッ、という奴である。…実の所、告白された時に思考停止してしまった理由の一つには彼女の可愛らしさにときめいてしまった事も有ったりする。
実際、あのふわふわでふかふかなボディを思う存分堪能できるという事実に比べたら、多少どころでは無い面倒事もなんとか耐えられる気がしないでも無いのだから相当だ。
堪能。ぬふ。堪能。嗚呼、なんと素晴らしい響き。
「鼻の下、伸びてるわよ」
「うっせぇ」
要らないツッコミに思わず鼻を押さえてしまった。不覚。
「そう言えばさぁ、コブに付いてた病原菌については、どうなったの?」
また笑いの発作が出始めたアランに牽制の意味で質問をする。……照れ隠しじゃないぞ。
「うん? あぁ、アイツか。アイツだったらお国の為の生産活動従事してもらっているよ。なにしろ、七人の女性を孕ませようとした豪の者だ。搾りがいがあると魔法局の連中も息巻いてたよ」
「うわぁ………」
言葉に出来ない。アランが言う『生産活動』とは正確には『魔石生産業務』と呼ばれるモノで、本来なら魔物を狩る事でしか得られない魔石を、人工的に作ってしまおうという物である。
……で、その方法はというと…言葉で言うと実に卑猥である。簡単に言うと男性には雌の、女性には雄の魔物を用意し、雌or女性に子供では無く魔石を『産む』(!!)術式を仕込み……、済みません。これ以上は言いたくないです。察して下さい。とにかくおぞましいの一言に尽きますです、ハイ。
…ちなみに、大抵は男の方が先に『壊れ』ます。死刑より残酷と言われてます、ハイ。
「そう言えば、私気になってる事があるんだけど」
「なに?」
アランの話に僕同様に嫌な顔をしたシルフィアが、心の底で冥福を祈っていた僕に質問してきた。
「以前、ハインから聞いた話だとアルフレッドって人も貴方と同じ『転生者』って奴だったんでしょ? なのに何でソイツはそんな馬鹿をやらかしたのかしら?」
「『転生者』もピンからキリまでって事なんじゃないのか?」
夫のツッコミに「そうなのかしら……?」と首を傾げる姉貴分。ちなみにこの二人には僕が『転生者』である事を話してある。その時の感想は二人とも概ね『どうりで変な子(奴)だと思った』の一言で片づけられた。酷ぇ。
「兄さんが半分正解。もう少し正確に言うと、『前の世界』で間違った情報を覚えて、それがこっちの世界で通用すると信じてしまった、っていう所だろうね」
僕の言葉にキョトンとする二人。僕は何となく天井を見上げて言葉を続けた。…天井にあの世界が映ってる訳でも無いのに。
「…例えばの話。今僕たちがいる『この世界』とそっくりな世界を舞台にしたお伽話が『向こうの世界』にあったとしたら? しかもそのお伽話の主人公にそっくりな人間に転生していたとしたら? おまけに周りの人間達や環境もそのお伽話にそっくりだったら? …二人だったらどう思う? そのお伽話の筋書き通りに行動すれば、お伽話の通りに幸せになれる…なんて考えちゃったりしない?」
「「はいぃぃィ??」
流石は夫婦。前世の刑事ドラマを彷彿とさせる声を息ピッタリにかまして来た。しばしの沈黙。ようやく話が呑み込めてきた二人は次第に何とも言えない顔つきになった。
「それは…まぁ、有りない話じゃないと思うけど……ねぇ?」
「確かにそう考えれば納得は行くが…。その…お伽話か? その話はそんなにも信用出来るモノなのか? 今回の件に限って言えば、とてもそうには思えないが?」
理解は多少出来ても、どうしても納得は出来ない。そんな二人に僕はバッサリと言い切ってやった。
「信用? 出来る訳無いじゃん。だって、そのお伽話を書いた人は『この世界』の事なんてこれっぽっちも知らないで書いてたんだから。そのお伽話はあくまでも作者の想像に過ぎない。似てるのは単なる偶然の一致って奴だったのさ。…だから、あのバカは間違えた。そのお伽話の内容が本当に正しいのかを調べもしないで鵜呑みにしちゃったから、その中に含まれていた『一夫多妻制有り』なんて嘘が現実に出来ると信じ込んでしまったんだ。」
そう。いわゆる『ゲーム転生』と呼ばれる話の一番の問題点がこれなのだ。
大本となる情報自体が、その世界の事を全く知らない人間が妄そ…もとい、想像だけで書いたという事実を、すっぱりと忘れているのが失敗に繋がる事に気が付かない人間が実に多いのだ。
確かに偶然の一致の一言で片付けるには難しい所は有るのかもしれない。もしかしたら、異世界の情報を受信(?)出来たから書けた話なのかもしれない。でも、それでも敢えて言いたい。
――――――世の中には『誤報』『偽情報』って言葉も有るんだよ?―――――――って。
例えば、テレビ、新聞、週刊誌、インターネットといった情報媒体。これが百パーセント信用して良いと断言出来る? 事実を捻じ曲げたり、隠蔽したりしてるなんて話はゴロゴロあるでしょ。疑い出したらキリが無いからとりあえず聞いてるだけ、って人もそれなりの数がいる筈。他にも根も葉もない噂だけで勝手に話を作っちゃって、それが真実として独り歩きしている事は『何処にでもある良くある話』。
例えば、歴史小説やノンフィクション小説。数々の資料・文献を元に書かれているだけに信頼性は高いだろうが、性格やら趣味嗜好やらが明確に記されている訳でも無い。当然だ。人の心というモノは本人でさえ把握しきっているとは言い難い。つまり結局は筆者の手による脚色が多少なりとも関わってくる事になる。
結果、実在する同一人物でありながら、作家によっては別人の様に書かれてしまうという事態が発生する。
結論として、得られた情報の何処までが嘘で、どれが真実か。それを見極めるのは情報を得た人の知恵と努力次第。それが現実なのだ。
なのに。なのにだ。なんで情報としての信頼性には著しく欠ける『異世界で書かれたこの世界の物語』なんていうモノに限って、疑う事をしない奴が多いんだか。…疑わなきゃ駄目なんだ。百歩譲ってこの世界の事を知る事が出来たから書けた物なんだとしても、書いた人間の理解を越えていたり、興味が無くて切り捨てられたり書き換えられたりしている箇所が無いとは言い切れないんだから。
「まあ、要するに一から十まで『そのお伽話』を覚えていたなら、一から十まで間違い無いのか確認を取れば良かっただけなんだ。出来ない環境では無かった筈なんだから、それを怠ったアイツの自業自得さ」
そう言って僕がテーブルの上の料理をあらかた食べ終わり、冷めかけたお茶を飲み干すと夫婦揃って呆れ果てて脱力した顔をしていた。
「偽情報……ねぇ?」
「そんなあやふやなモノに振り回されてたのか……俺達は…」
テーブルに半ば突っ伏してしまった夫婦に苦笑していると、家の外で馬車の停まる音が聞こえた。どうやら迎えが来たらしい。……休憩時間も終わりか。
「それじゃあ兄さんシル姉、御馳走様。迎えも来たしそろそろ帰るよ」
「おぉ~~~、お疲れ~~」
「達者でね~~~」
突っ伏した状態で何ともスゴイ雑な見送りをする二人に苦笑しつつ、コートを羽織って外に出る。
外は雲一つない満天の星空だ。明日はきっと良く晴れるだろう。一か月後に迫った帝国への出発もこの位に良い天気だといいな……等と、それまでの間寝る暇も無いほどに忙しくなる現実から逃避するための些末事を考えつつ、膨大な量の書類が待ち受ける屋敷へ向かう為に目の前の馬車に乗り込むのだった。
ベスティアの皇族についての補足ですが、帝国では混血が進み過ぎた結果、親と子の種族が異なるケースが当たり前にあります。だからあんなバラエティ豊かな家族構成になる訳です(笑)。
それと、感想にありました姦通罪などに関する補足ですが、実の所は宗教上の建前で犯罪扱いになっているだけで、本来は『ばれなきゃオッケー♪』というのが実情です(笑)。実際、そこまで厳しくやってたら性犯罪の件数がすごい事になりそうですし。という訳で、そういう事は見つからないようにこっそりと行い、避妊や発覚した際の事後処理もしっかりとする事、といった感じになります。
今回の件がやたら厳しくなったのは、当事者が国の『顔』である王族であり、隠すそぶりさえ見せている様子が無い為に揉み消し様も無く、婚約解消以前から不埒な行いをしている事が明白であった事、加えて交際相手が結婚詐欺を行っていた等が原因です。
ちなみに、婚約者同士の婚前交渉の場合は、婚儀を速めれば見逃されるパターンが多いです。
それにしても、書き始めたのが去年の五月でようやく書き上がるなんて遅すぎですね(苦笑)。おかげで文章的におかしな所があちこちにあるような気がして仕方が無いです(汗)。ですので、もし見つけても適当に流してください。お願いします(必死)。




