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第2話 船旅

 ☆★☆★☆★☆




 今回の魔鉱鉄の採掘依頼は、俺が冒険の拠点にしている港町ナールから海を渡って2日の距離にあるオスター島が目的地となる。港町ナールはこのゴート大島の東端に位置する。つまりは、港町ナールより東は広大な海原が広がるだけ。


 そんな海原にポツンと浮かぶオスター島は、伝承とか事件、事故など話題には事欠かない。オスター島には、その昔、迷宮があったとされる伝承が残っている。現在は、迷宮を発掘する為に島の至るところが掘り返されており、島中に洞窟が点在する。幾つかの洞窟からは希少な鉱石が採掘され、一時期、採掘ブームで沢山の人が集まっていたこともある。三十年前、洞窟の一つから有害なガスが噴出したらしく、今では無人島となっている。近年、有害なガスの噴出が止まったことが確認されている。資源が豊富な島であり、本来ならもっと採取や採掘の依頼があってもおかしくない島なのだが、良くない噂が多く、オスター島での依頼が少ないのが現状である。


 というのが、昨日、依頼を受けてからの半日で俺が調べた情報。朝の遅刻の理由は、夜遅くまで情報整理していたから...なんてことは遅刻の理由にはならないか。本来ならもっと日にちに余裕を持って依頼を受けて、その間に色々な準備や情報収集をするべきなのだから。


 それはそうと、朝の遅刻を取り返そうと意気込んで船に乗り込みはしたが、船旅は俺が頑張っても旅程が短くなる訳ではない。むしろ、2日もの期間、どうやって暇を潰すかの方が問題かもしれないし。まぁ、とりあえず、挨拶と自己紹介をしよう。


 そう広くもない甲板を見回すと4人のグループと6人のグループに分かれている。今回の依頼は、俺を含めて全部で

 11人で遂行するとこになる。それで、4人のグループには比較的接しやすそうな竜の牙のリーダーとあの美人がいる。まずはそっちから挨拶しようと思ったのだが、竜の牙のリーダーが6人グループを指差し、あっちから挨拶しとけとこっそりとジェスチャーしてくれる。イケメンなだけでなく、そういった細やかなところにも気が配れるなんて凄い人だ。6人のグループには、鋭い目付きの女、俺に遅刻と言ってきた黒髪黒瞳の男、それとオッタがいる。間違いなく苦手なタイプが集まっているのだが、仕方ない。これも仕事だ。割り切っていかなければ。




「先程は遅れてすみませんでした。冒険者二年目の中級冒険者ノルです。そこのオッタとは冒険者養成学校の同期で同い年の16歳です。若輩者でまだまだ新米の冒険者なので道中ご迷惑をおかけするかもしれませんが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」




 頭を下げ無難な挨拶をし様子を見てみる。が、しかし!特に反応なし!俺に全く興味がないようだ。




「種族は狼系の獣人族で、魔術はからっきし、その代わり戦闘系の無手格闘術技能☆二つを所持してます。それと索敵技能も☆二つです。戦団には所属してないので、普段は単独で依頼を受けてます」




 自分の能力を説明するが、まるで反応なし。いや、6人の後ろで大人しくしている猫系獣人族の二人は反応したいのを無理矢理抑えているようだ。尻尾がピクピクしている。


 これは、俺のことを無視するよう、あの鋭い目付きの女かその横の男が指示したのではないだろうか。ホント面倒臭いなこいつらは。


 その後、しつこく話し掛け、少しずつ少しずつ、この6人の情報を集めた。6人分の情報を聞き出すだけでもう正午だよ。信じられないね。


 6人は戦団・鉄の扉(アイアンゲート)のメンバーである。正確にはオッタだけが臨時のメンバーらしいが。聞いた情報をひとまず整理してみる。


 ◆フェム、年齢不詳、種族不明(多分妖精(長耳系)族)、女、中背、茶髪、茶瞳、多分魔術師、戦団・鉄の扉のリーダー、鋭い目付きの女


 ◆セクス、26才、普人族、男、中肉中背、黒髪、黒瞳、双剣、戦団・鉄の扉の一員、俺に遅刻を宣告した男


 ◆フュー、24才、普人族、女、背低め、黒髪、黒瞳、多分魔術師、弓矢、戦団・鉄の扉の一員、無口


 ◆オッタ、16才、普人族、男、長身、茶髪、茶瞳、複数属性魔術、棒使い、戦団無所属、臨時の団員、ギルド期待のルーキー、俺と冒険者養成学校の同期


 ◆ニオ、20才、獣人(猫系)族、男、背低め、灰色髪、蒼瞳、小盾、片手剣、戦団・鉄の扉の新人、おどおどしている


 ◆ティオ、20才、獣人(猫系)族、女、背低め、灰色髪、蒼瞳、小盾、片手剣、戦団・鉄の扉の新人、ニエの双子の妹、こちらもおどおどしている



 以上が戦団・鉄の扉(アイアンゲート)所属の6人だ。戦団・鉄の扉はもっと大人数の戦団であるのだが、今回の依頼はこの6人が対応するらしい。ニオとティオの二人は中級冒険者になりたてで俺と近い。オッタは数ヶ月前に中級になっている。他の3人はもしかすると上級冒険者かもしれない。教えてくれてもいいのに。




「よう、遅刻くん。自己紹介は終わったか?」

「なんとか。こんなに時間がかかるとは思いませんでしたよ」




 竜の牙のリーダーであるイケメンが俺に話し掛けてきた。やっぱり、俺はこの人達の方が接しやすいな。




「じゃあ、キミの自己紹介と俺らの紹介は昼食をとりながらといこうか」

「いいっすね~、お願いします!」




 それから、竜の牙の4人と昼食を食べながらお互いに紹介しあった。午前中の苦労が嘘のように、あっという間に情報が集まった。竜の牙の4人の情報を整理してみる。


 ◆エット、20才、竜人(金竜系)族、男、長身、金髪長髪、金眼、火属性魔術、長剣、戦団・竜の牙のリーダー、イケメン、気がきく


 ◆トヴォ、21才、竜人(金竜系)族、男、大男、金髪坊主、金眼、大盾、戦棍、戦団・竜の牙の壁役、エットの従兄弟


 ◆トレ、18才、竜人(金竜系)族、男、大男、金髪坊主、金眼、小盾、長剣、戦団・竜の牙の壁役兼アタッカー、トヴォの弟


 ◆フィーラ、18才、竜人(金竜系)族、女、長身、金髪、長髪、金眼、火属性と水属性魔術の魔術師、戦団・竜の牙の紅一点、エットの妹、超美人



 この4人は皆、従兄弟か兄弟姉妹らしい。この時代では珍しく全員が純血の金竜系竜人族だという。この時代では、純血なんて、相当珍しい。俺も狼系獣人族ではあるが、普人族やら何やらと色々な血が混ざりあっていて、一番濃い血脈が狼系の獣人族ということだ。で、戦団・竜の牙は、この4人が全員らしい。今のところ団員を増やすつもりはないそうだ。トヴォとトレの兄弟は二人ともかなり体格が良く、身長七尺程度はあるだろう。俺やオッタが六尺程度なので、見上げることになる。エットも俺より少し高いし、フィーラも俺より低いが女性の中ではかなり高い方だろう。竜人は体格に恵まれているからな。


 結局、その後も竜の牙の面々とご一緒させて貰って船旅の2日を過ごすこととなった。本当は鉄の扉の面々とも、もっとお互いに歩み寄り、今後の作業がスムーズに捗るようにしたかったが。まぁ仕方ないよね。




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