いつの間にか雨は小降りになっていた
更新遅くてごめんなさい......。
頑張りますので!
この作品はフィクションです。実在の人物、出来事等には一切関係ありません。
「僕の......」
「僕のことは全部これに書いてあるよ。僕が死んだら君も見ていいから」
言いながらポケットから遺書を取り出す。っと濡れちゃう。それなのに女の子は横に首を振った。
「ううん。あなたから直接聞きたいな」
......なんなんだ、この子。いや――この人。言い直したのには訳がある。それはこの人が先輩だと一目見て分かるからだ。
そういえば、この学園のことを説明するのを忘れていたな。この学園――東京にある私立田梅学園は三つの校舎からなる。体育館や柔道場はあるが、プールは無い。三つの校舎は本館、北館、南館で、本館には大職員室が、北館には食堂や図書館、パソコン室が、そして最近建った中学生だけを集めた南館がある。
屋上に出れるのは全ての校舎から可能だが、前からある本館と北館の屋上には四方八方フェンスが張られていて僕じゃムリだ。となると南館だけだがここには鍵が掛かっている。そして南館の屋上は天文部が天体観測が出来ると聞いた。つまりはフェンスがそこまで酷くないということだ。だから僕はここにきた。鍵は盗めばいい。そんなことも考えて――。
田梅学園の南館は中学生だけを集めていると言ったけれど、それは最近中学部が出来たわけではない。高校が出来たわけでも。それなら一体何が起きたのか......共学化だ。
元々田梅学園は男子校だった。そして今年から共学化した。ということだ。
共学化したのは中学高校どちらもだが、制服が少し違うし、男子は学ランからブレザーへと変わった。女子は見て色で見極める。
つまりはこの人は先輩ということが分かる。
「僕から直接聞きたい? 」
「ええ。名前は? 」
僕の家はいたって普通の家だ。でも昔から漫画や小説など作り物の物語や新聞、説明文等の、ざっくり言うと本が好きだったため知識は少し偏っている。けれど多少のマナーくらいあるつもりだった。
「名前を聞くときは自分から名乗るもんじゃないの? 」
少しムッとして言い返したのだが彼女はクスクス笑いながら答えた。
「それは礼儀の問題よ。それにもしそうだとしてもそんなことをいい続けても時間の無駄じゃない? 」
畜生。本当になんなんだ。
「もう、飛び降りるつもりなんだ。構わないでくれ」
そうだ。降りてしまえばいいんだ。この世界からもおさらば出来る。
「そっか......じゃあねバイバイ」
は? えっちょっ......。普通止めるんじゃないの。まだ君には未来があるとかなんとか。
「止めてほしいの? でもね、死にたいのでしょう? それならその人のやりたいことをやらせてあげなきゃ。なんなら背中も押してあげるわ」
やはり、彼女は微笑いながら言う。こう言うことを平気で言える人なのだろうか。独自の世界観を持っている人なのだろうか......。
いつの間にか雨は小降りになっていた。
注意点、誤字脱字、指摘は小説をより良くするので随時受け付けています。
気がついたら教えてください。